
今回は、猫白血病ウイルス(FeLV)感染症に対するワクチンについてのお話で
す。
FeLVワクチンがコアワクチンに?
2024年に改訂された**WASAVA(世界小動物獣医師会)**のワクチンガイドラインでは、FeLVワクチンが新たにコアワクチンに加えられました。
コアワクチンとは、「すべての猫ちゃんに接種が推奨されるワクチン」のこと。
従来は、
- 猫パルボウイルス(FPV)
- 猫カリシウイルス(FCV)
- 猫ヘルペスウイルス(FHV)
の3種混合ワクチンが基本でしたが、これに**FeLV(猫白血病ウイルス)**が加わるかたちになりました。
でも、日本ではどうなの?
このガイドラインは**義務ではなく、あくまで「推奨」**の位置づけです。
つまり、「各国・地域の感染状況に応じて、最適な接種プランを考えてくださいね」というスタンスなんですね。
たとえば、少し古いデータにはなりますが、2013年時点の調査では日本はFeLVの好発地域とされていました。
とはいえ、完全に室内で飼われていて、外に出ない子やFeLV陽性の猫と接触しない環境であれば、感染リスクは非常に低いと考えられます。
そういった場合には、従来どおり3種混合ワクチンをコアワクチンとして考えても問題ないと思います。
FeLVワクチンはどうやって打つの?
FeLVワクチンは、以前は単独でも接種できましたが、現在は「4種混合」または「5種混合」ワクチンとしての形でしか入手できません。
- 4種混合:3種混合+FeLV
- 5種混合:3種混合+FeLV+クラミジア
初年度の接種スケジュール(FeLVワクチンを含む場合)
- 生後8週齢:4種または5種混合ワクチン
- 12週齢:4種または5種混合ワクチン(初年度ブースター)
- 以後は:年1回の追加接種が推奨されています。
外に出る猫ちゃんの場合は?
最近は「うちの子、外にも出します」という飼い主さんは減りましたが、
外出の可能性がある子猫を保護した場合など、FeLVの予防が必要なケースでは、
以下のようなスケジュールが一つの目安になります。
接種時期 | 内容(ワクチン) |
生後8週齢 | 4種 or 5種混合 |
生後12週齢 | 4種 or 5種混合 |
生後16週齢 | 3種混合 |
生後26週齢(約6か月半) | 3種混合 |
12週齢から1年後 | 4種 or 5種混合 |
以後毎年 | 4種 or 5種混合 |
これは、
- FeLVワクチンは初年度に2回接種
- 3種混合ワクチンは16週・26週でのブースター接種が推奨
ちょっと複雑に感じるかもしれませんが、これはあくまで一例に過ぎません。
猫ちゃんのライフスタイルや環境に合わせて、無理のないスケジュールを一緒に考えていければと思います。
ご不明な点があれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。