みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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「ねこ内科チャンネル」開設のお知らせ

カテゴリ : その他

 https://www.youtube.com/@ねこ内科ch

このたび当院では、猫の健康や暮らしに役立つ情報をお届けするYouTubeチャンネル

『ねこ内科チャンネル』
 を開設いたしました。

日々の診察のなかで感じていた

「もっと気軽に相談できたら」

「病気やケアについて、わかりやすく知りたい」

そんな飼い主さまのお声に応えるかたちで、動画というかたちで少しずつ発信をはじめています。


 
どんな内容が見られるの?
 
「それ、うちの子にも当てはまるかも」

そんなふうに思っていただけるような内容を、日常のひとコマからゆっくりと形にしていきます。

まずは、ワクチン接種やマイクロチップ、フィラリア予防、避妊・去勢といった予防医療の基本的なテーマを解説しています。

そして今後は、慢性腎臓病・甲状腺機能亢進症・心筋症・高血圧・糖尿病・関節炎など、猫によく見られる慢性疾患を中心に

その特徴や治療、日常でのケアについても丁寧に取り上げていきます。

さらには、そうした病気と向き合いながら過ごすシニア猫の生活の工夫や、

看取りの時期に感じる迷いや不安に、そっと寄り添えるような内容
もお届けする予定です。

「これでよかったのかな」と思うようなとき、

気持ちの整理がつかないまま時間が過ぎていくようなときに、

静かに寄り添える動画を目指しています。

 
ぜひ一度、のぞいてみてください 
 
チャンネルはこちらから
 https://www.youtube.com/@ねこ内科ch
(または「YouTube ねこ内科チャンネル」で検索)
2025-06-26 12:56:23

保護猫7兄弟の軟便と療法食:子猫のうんちトラブル、意外な原因とは?

カテゴリ : 消化器

※軟便の映像が流れます。苦手な方はご注意ください。


ある日、保護された子猫が7匹やってきました。

黒猫が3匹、黒白(ハチワレやマスク)が4匹。

体重や乳歯の状態から、みんな生後1か月ほどの月齢と思われました。
 
 
最初のステップ:性別チェックとウイルス検査
 
 
まずは性別判定。これがなかなかてんやわんやで……

すでにもらい手が決まっていた2匹については、猫エイズや白血病などのウイルス検査を実施。

どちらも陰性でひと安心。
 
 
誰かが軟便ぎみ?検査で診えたヒント
 
 
その後、「誰かわからないけれど、軟便っぽい子がいる」とのことで検便を行いました。

寄生虫(回虫やコクシジウム)は確認されませんでしたが、「芽胞菌(がほうきん)」と呼ばれる菌がやや多めかな?という印象。

この菌は通常の腸内にもいる常在菌ですが、数が増えすぎると腸内環境が乱れ、軟便や下痢の原因になることがあります。
 
 
まずは整腸剤と子猫用療法食で様子見
 
 
月齢が若いため、刺激の少ない整腸剤と、子猫の軟便・下痢に対応した療法食で対応することにしました。

その後1週間──
 
 
「元気も食欲もあるけれど・・・」届いた動画は激しい下痢
 
 
「元気・食欲はありますが、何匹かがこんな感じで」と動画が送られてきました。

かなり激しい下痢の様子に、「これはまずい」と判断。

そこで子猫軟便スペシャル薬駆虫薬など3種を組み合わせた独自処方)を1週間分お渡ししました。
 
 
薬のあとも軟便?原因は・・・ごはんの与え方だった
 
 
内服終了後、「元気も食欲もあるけれど、便がまだやわらかい」という連絡が。

ちょっとおかしいなと思い、改めて食事の詳細を確認。

すると、
  •  
  • 療法食の食いつきが悪いので、まずチュールを1/3本与えている
  •  
  • その後、療法食を自由給餌している
    とのこと。

「これが原因かも」と思いました。

というのも──
  •  
  • チュールは美味しいけれど、脂質などでまだ幼い腸に負担がかかることがあります
  •  
  • 自由給餌だと腸が休まる時間がなく、慢性的な消化不良を起こしやすくなります
 
 
与え方を工夫したら・・・「うんちがかりんとう」に!
 
 
そこで以下をお願いしました。
  •  
  • チュールはストップ
  •  
  • 療法食は1日の必要量をきっちり量って
  •  
  • それを5回に分けて与える

するとしばらくして、

「うんちがかんりんとうみたいな形になりました!」と報告が。

ようやく正常便に戻ってくれました。


 
 
まとめ:子猫の療法食、与え方も大事なんです
 
 
今回のケースで感じたのは、療法食を「出すだけ」で終わらせないことの大切さ。

特に月齢が若い子猫では、 与える内容だけでなく回数もしっかり伝える必要がある と改めて実感しました。

軟便や下痢が続く場合は、食事内容とあわせて「与え方」もぜひ見直してみてくださいね。
 
2025-06-25 05:00:00

【猫が突然倒れることも】心臓の病気が原因かもしれません

カテゴリ : 循環器


うちは朝の早い時間にも診察を受け付けています。

ただしその時間は私ひとりですので、重症例には十分な対応が難しい場合もあります。

そんな朝に、「猫が水を吐いて倒れました。すごく苦しそうなんです」というお電話がありました。

「私ひとりでの対応になりますが、それでもよろしければ」とお伝えすると、
「とにかく診てもらえたら」とおっしゃったので、受け入れることにしました。
 
呼吸していない。でも心臓は動いている
 
キャリーに入れられてやってきた猫ちゃんは、すでに意識がなく、呼吸も止まっていました。

口や鼻のまわりには泡のような液体がついており、体の右側の毛もびしょびしょに濡れています。

もう厳しいかもしれない、と思いながらも聴診器を当ててみると、心臓の音はまだしっかり聞こえました。

ただし、かなり強い雑音も混じっています。「やっぱり心筋症だな」と思いました。

気管チューブを入れて人工呼吸をするのが理想ですが、一人ではすぐには難しい。

とにかく酸素を早く届けたかったので、酸素ホースを口に当ててみました。
表現はよくないですが、ぐっと差し込むような形です。

すると、数十秒後に自発呼吸が戻り、しばらくして自力で伏せる姿勢が取れるようになりました。

そこからはフェイスマスクでの酸素供給に切り替え、利尿剤の注射を行いました。
 
吐いたのは胃液や腸液ではなく「肺に溜まった水分」
 
飼い主さまには、こう説明しました。

「おそらく心臓の病気が関係しています。

吐いたのは胃の内容物ではなく、肺に溜まった水分かもしれません。

嘔吐ではなく、喀出(かくしゅつ)といって、肺に水がたまることで起こる症状です」
「えっ、さっきまで普通だったのに」と、飼い主さまは信じられない様子でした。

でも、動物は本能的に不調を隠そうとします。

猫も例外ではなく、どうしても発見が遅れがちになります。

特に心臓病は、外からの変化がとても分かりにくい病気です。
 
心臓から肺へ「血液の渋滞」が起きていた
 
その後、簡易的に心臓のエコー検査を実施しました。

一人で行ったものなので十分な画質とはいえませんが、ある程度の情報は得られました。

前出の動画ですが心臓の左心室から血液が大動脈へ流れる左室流出路という部分に、「モザイク血流」と呼ばれる乱れた血流が見られました。

これは通路が狭くなっており、血液の流れに抵抗があることを示しています。
また、左心房には血栓のような影も見えました。

このように心臓から血液がスムーズに流れないと、「血液の渋滞」が起こります。

その結果、心臓のすぐ後ろにある肺に水分がにじみ出てしまい、まるで溺れたような状態になってしまうのです。

肺エコーでも「Bライン」と呼ばれる所見が確認され、これは肺水腫のサインのひとつとされています。




 
利尿剤で肺の水を抜きたい。でも体がもたない
 
治療の第一歩は、肺に溜まった水を尿として体の外へ出すことです。

そのために利尿剤を使います。

ただし、前提として全身の血液循環がある程度保たれていなければ、薬は腎臓まで届きません。

尿も作れませんし、水分も排出されません。

この子の体温は35℃とかなり低下しており、全身の循環がかなり悪い状態でした。

利尿剤を投与しても60分経っても尿は出ず、膀胱も空っぽ。

もう一度投与しても、反応はありませんでした。

最終的に、循環を助ける薬を最低用量で持続投与しました。
(この薬は、左室流出路に狭窄のある猫では悪化することもあるため、最初からは使いにくい薬です)

案の定、呼吸がさらに苦しそうになったため、投与速度を落としながら様子を見ました。

飼い主さまに状況をお伝えしていた最中に、呼吸が止まり、残念ながらそのまま旅立ってしまいました。
 
心臓病は「突然」のように見えることもあります
 
腎臓病や糖尿病、甲状腺の病気などは、

  • 水をよく飲む
  •  
  • 尿が多い
  • 食べているのに痩せてきた


などのわかりやすいサインが出ることが多いのですが、心臓病はそうではありません。

  • 呼吸が少し速い?
  •  
  • 横になるのを嫌がる?
  •  
  • 抱っこすると嫌がる?
  •  
といったサインがある場合もありますが、それが見える頃には病気がかなり進んでいることも。

また今回のように、本当に突然、発症するケースもあります。
 
じゃあどうすればいいの?
 
やはり定期的な健康診断がいちばんの予防になります。

  • 聴診で心雑音がないかをチェック
  •  
  • 心エコー検査で構造や血流の異常を確認
  •  
  • 血液検査で心臓マーカーを調べる(最近はこれも可能になってきました)
  •  
年齢や品種によっては、心筋症のリスクが高い猫もいます。

「なんとなく元気だけど……」というときこそ、早めに診ておくのがおすすめです。

心臓の病気は、本当に「見た目ではわからない」ことが多いです。

でも、早く見つけられれば対処できることもあります。

「ちょっと気になるな」「定期検査しておいた方がいいかな」と思ったら、
お気軽にご相談くださいね。
 
2025-06-18 07:00:00

猫の糖尿病とケトン体の話

カテゴリ : 内分泌:ホルモンの異常や糖尿病

※リブレによるケトン体測定

〜βヒドロキシ酪酸って聞いたことありますか?〜

糖尿病の治療中、私たち獣医師は「血液中のケトン濃度」に注目することがあります。

というのも、ケトン体の量はその猫ちゃんの糖尿病の深刻さや、治療の進み具合を見極める重要なヒントになるからです。


ケトン体ってなに?


糖尿病になると、体の中のインスリンが不足してしまいます。

インスリンがないと、体は糖分をうまく使うことができません。

そこで体は「じゃあ脂肪を分解して、代わりのエネルギーを作ろう」と動き出します。

そのときに作られるのが「ケトン体」です。

ケトン体は、インスリンがなくてもエネルギー源として使えるため、
一見すると「代わりのエネルギーができてよかった」と思うかもしれません。

でも実は、ケトン体が増えすぎると、体にダメージを与えてしまうんです。

ケトン体は酸性の物質で、血液が酸性に傾いてしまう「アシドーシス(酸血症)」の原因になります。

この状態が続くと、脱水や嘔吐、意識の低下、さらには命の危険につながることもあります。

つまり――
ケトン体が多く出ている=糖尿病が進んでいて、体もダメージを受けている状態

だから、治療の中でケトン体の量をチェックするのはとても大切なんですね。


ケトン体の測定方法:じつは種類がある


以前は、動物病院では尿試験紙を使ってケトン体の有無を調べていました。



血液や尿を試験紙に垂らすと、ケトン体がある場合には紫色に変わります。



その色とカラーチャート見て、「これは+かな」「+++かも」などと判定していたんです。




ただ、この方法にはちょっとした弱点があります。


  •  
  •  
  • 人によって判定に差が出る(主観が入る)。
  •  
  • 検出できるケトン体の種類が限られる。


実はケトン体にはいくつか種類があります。

この中で尿試験紙が反応するのは「アセト酢酸」というタイプのケトン体。

ところが、**糖尿病で特に問題になるのは「βヒドロキシ酪酸」**と呼ばれる別のタイプなんです。

糖尿病が一段階進んでくると、アセト酢酸はβヒドロキシ酪酸に変わってしまいます。

つまり、病態が進行しているのに、試験紙では「出てない」と誤判定するリスクもあるんですね。


リブレによるケトン体測定


ここで活躍してくれるのが、**持続型血糖測定センサー「リブレ」**です。

リブレにはケトン体の測定機能もついていて、
βヒドロキシ酪酸が直接測定できます

これにより、これまで曖昧だった部分も数値として見えるようになり、
より細やかな治療判断ができるようになりました。


βヒドロキシ酪酸で見る糖尿病のステージ


ある研究によると、βヒドロキシ酪酸の値と病態の進行度は以下のように考えられています。
状態 βヒドロキシ酪酸(mmol/L
軽度(食欲・元気あり) 0.9
中等度(ケトーシス) 1.02.3
重度(ケトアシドーシス) 2.4以上

これによって、たとえばこんなふうな判断もできるようになります。


  • 血糖値もケトン体も高い場合 → インスリン不足が深刻。インスリンの増量を検討。
  • 血糖値は高いがケトン体は下がってきた場合 → インスリンが効き始めてきた証拠。

もちろん、尿試験紙でも目安にはなりますが、数値でしっかり見えるのはやっぱり安心です。


糖尿病の猫ちゃんのケアは、毎日の観察と記録がとても大切です。

体調の変化や、ちょっとした元気・食欲の波も、こうした数値と一緒に見ていくことで、
「今どの段階なのか」「治療が合っているのか」の判断材料になります。

もし、猫ちゃんの糖尿病治療やケトン体について不安があれば、いつでもご相談くださいね。
2025-06-11 06:00:00

小さな体にマダニが……見逃しやすい寄生虫にご注意を

カテゴリ : 感染症・予防


保護猫活動で出会った、まだ生後1か月ほどの子猫ちゃん。
身体検査をしていると──ん? 汚れかな?
よく見ると、それは「マダニ」でした。
 
 
ノミと違って見逃されやすいマダニ
 
ノミは動き回るので、飼い主さんも「あ、ノミがついてる」と気づきやすいのですが、
マダニはじっとしているため、発見が遅れることも多いです。

気づいたときには、すでに血を吸ってパンパンに膨れている……
というパターンも少なくありません。

今回の子猫には、
まだ血を吸う前のマダニと、吸ったあとのマダニの両方がついていました。



画像では拡大しているのでわかりやすいのですが、
血を吸う前のマダニは本当に小さくて、じっと動かないため見逃しがちです。

実際、この子には5匹のマダニが確認されました。

すぐに駆虫薬を使用して、すべて駆除しました。
 
 
マダニが媒介するSFTSとは?
 
マダニは、**SFTS(重症熱性血小板減少症候群)**というウイルス感染症を運んできます。

人にも猫にも感染し、命にかかわることがある怖い病気です。

2025
年現在、北摂地域ではSFTSの報告はまれなようですが、
猫を保護したときや、外に出る猫ちゃんがいるご家庭では注意が必要です。
 
 
まとめ|マダニにも目を配りましょう
 
ノミだけでなく、マダニも猫の健康に大きく影響します。

とくに保護直後の子猫は、免疫力も弱いため注意が必要です。

小さな寄生虫でも、命にかかわる病気につながることがあります。

・保護した猫ちゃんの身体を丁寧にチェックする
・見逃さないように、よく観察する
・見つけたらすぐに駆虫薬で対処する

こうした心がけが、猫ちゃんと飼い主様の健康を守る第一歩になります。

「これってマダニかな?」と不安なときは、どうぞお気軽にご相談くださいね。
 
2025-06-04 05:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

  1. 動物園勤務から病院へ
  2. プロフィール
  1. 週齢はどれくらい?
  2. まず行うこと
  1. ワクチン接種
  2. 寄生虫予防
  3. 避妊去勢
  4. デンタルケア
  5. 体重管理・食事管理
  6. 定期健診

詳しくはこちら
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