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瞳の違和感から見つかった猫の高血圧、その後の経過

カテゴリ : 循環器



 以前(3月18日のブログ)、爪切りをきっかけに高血圧が見つかった猫ちゃんについてお話ししました。

https://ibaraki-harimau.com/blog/bct/1768727

「念のためもう一度測りましょう」とお伝えし、3日後に再来院していただきました。

その結果は240mmHg台。



やはり一時的な上昇ではなく、持続的な高血圧と判断しました。

「降圧治療の開始」

そこで、降圧剤としてアムロジピンを10日分処方しました。

10日後に再度血圧を測定すると、130mmHg台まで低下。



正常範囲ではありましたが、下がり方としてはやや強い印象もあり、過度な降圧を避ける観点から一度減量することにしました。

「減量後の変化」

1週間後に再チェックすると、今度は170mmHg台。



再び上昇してきたため、元の量に戻す判断をしました。

「現在のコントロール状況」

さらに約2週間後に再測定すると、140mmHg台。



安定してコントロールできていると考え、現在はこの用量で継続しています。

「血圧は“ちょうどいい”を探す治療」

猫の高血圧は、下げればいいというものではなく、下げすぎてもよいとは限りません。

そのため、測定を繰り返しながら、その子にとっての適切な血圧を探っていくことが大切になります。

今回のケースでは、240 → 130 → 170 → 140と推移しながら、少しずつ落ち着くポイントを見つけていきました。

「まとめ」

最初のきっかけは、やはり瞳の違和感でした。

猫の高血圧は気づかれにくい病気ですが、目や腎臓などに影響を及ぼすことがあります。

小さな変化でも、気になることがあればご相談ください。
2026-05-06 05:00:00

高齢猫の“爪が太くなるサイン”、変形性関節症の可能性があります

カテゴリ : 運動器:関節や骨


鼻汁のご相談で来院された高齢の猫ちゃん。

診察のついでに「爪切りもお願いします」とのことで四肢を確認しました。

そのとき気づいたのが、4本すべての脚で爪が太くなっていることでした。

「爪が太くなる理由は年齢だけではない」

高齢になると、爪とぎの回数が減ったり活動量が落ちたりすることで爪が伸びやすくなることはよくあります。

ただ今回は少し気になりました。飼い主様に伺うと、どこの足とは言えないが、なんとなく歩きづらそうとのことでした。

「関節が痛くて爪とぎをしなくなっている可能性」

猫は痛みをとても隠す動物です。

実際には、ジャンプが減る、爪とぎをしなくなる、動きがゆっくりになるといった変化として現れることが多いです。

そこで今回は関節の痛みを疑い、レントゲン検査を行いました。

「レントゲンで見えた変化」

画像は左肘のレントゲンです。

注目してほしいのは、関節の受け皿側、つまり体重を受ける側の部分です。

この部分が、他の場所よりも白く強く写っています。


     ※高齢猫の肘関節。受け皿側の白さが強くなっています

「白く見えるのは何が起きているのか」

これは軟骨下骨硬化と呼ばれる変化で、長年の負担によって骨が硬くなっている状態です。

「なぜこれが痛みにつながるのか」

関節は本来、骨と骨の間にクッション(軟骨)があり、衝撃をやわらげながらスムーズに動く構造になっています。

しかし、軟骨がすり減る、骨同士が近づく、当たる力が直接骨にかかる、骨が防御反応で硬くなる(=白く見える)という変化が起きると、衝撃を吸収できなくなり、動かすたびに負担がかかる状態になります。

つまり、白くなっている部分は負担が集中している場所であり、その分、動かすと痛みが出やすい状態です。

「たとえると」

本来はクッションの上で関節が動いているのに対して、今は硬い板どうしが直接こすれているような状態です。

「若い猫との違い」

比較として、3歳の猫の同じ部位のレントゲンも見てみます。

同じ場所でも、若い猫では白さが均一でやわらかい印象です。

少し分かりにくいかもしれませんが、この白さの違いが負担の蓄積の違いです。


     ※若齢猫の肘関節。白さが均一で滑らかです

「診断と今後の対応」

今回の猫ちゃんは、変形性関節症が疑われる状態と考えられました。

猫では非常に多い病気ですが、鳴いたり足を引きずったりしないため、見逃されていることが多いです。

今回のケースでは、ソレンシア(月1回の注射による痛みのコントロール)をご提案しました。

「最後に」

猫は「なんとなく元気がない」「動きが鈍い」といった形で痛みを抱えていることがあります。

爪が太くなってきた、ジャンプしなくなった、動きがゆっくりになった、グルーミングが減ったといった変化があれば、一度関節のチェックをおすすめします。

小さな変化の中に、ヒントが隠れていることがあります。
2026-04-29 05:00:00

京都で猫の浮世絵展を見てきました

カテゴリ : その他

先週の土曜日、京都で開催されている猫の浮世絵展に行ってきました。

「昔の人も、やっぱり猫にやられてたんなだな」と感じる内容でした。

「猫は昔から変わらない」

窓辺で外を眺める猫、

遊びに夢中になる猫、

気ままにくつろぐ猫。

描かれている姿は、今の猫とほとんど同じです。

時代が違っても、
猫という生き物の本質は変わらないんやなと感じました。

「猫の行動は、やっぱり理にかなっている」

例えば、窓際で外を見る猫。



これ、単にぼーっとしてるわけじゃなくて、
縄張りの確認でもあり、外の刺激を取り込む行動でもある。

診察していても感じますが、
猫は環境の変化にとても敏感です。

自分のテリトリーを把握しておくことが、
安心して過ごすための前提になっている。

そう考えると、あの「窓際でじっとしている時間」も、
ちゃんと意味のある行動なんでしょうね。

「一番印象に残った落書きみたいな猫」

その中で一番印象に残ったのは、
いわゆる“きれいな浮世絵”ではなく、
完全に落書きみたいなタッチの猫でした。



壁に描いた落書きみたいな、力の抜けた線の猫。

天才バカボンの赤塚不二夫が描いたような猫で、
それが単純におもしろかったです。

「着物と小道具の細かさ」

もうひとつ印象に残ったのは、
着物や小道具の柄の細かさです。

よく「日本人はおしゃれ」と言われますが、
あれは最近の話じゃなくて、昔からそうやったんだなと。

「まとめ」

猫って、昔から猫なんだなとあらためて思いました。

それだけで十分おもしろい展示でした。

※5月10日まで開催されているので、猫好きの方はぜひ。
2026-04-22 05:00:00

注射でよくなる呼吸の病気、その正体は?

カテゴリ : 呼吸器


今週も呼吸促拍、食欲低下の猫ちゃんのお話です。

先だって、呼吸が速くなり、食欲も落ちてしまう。
そんな症状を繰り返している猫ちゃんが来院されました。

今回はセカンドオピニオンとしてのご相談です。

「これまでの経過」

去年の冬に3回、今年に入ってからも3か月前、今回と同じ症状を繰り返しており、
これまでの治療では、
抗生剤の注射をすると、翌日には楽になる
という経過だったそうです。

ただ、内服はうまくできていなかったとのことでした。

「元の病院での説明と今回の受診」

かかりつけの先生からは、
原因の追及を希望される場合は他の病院で
と言われたそうです。

当院も特別な設備があるわけではなく、
いわゆる普通の施設の動物病院です。

どうしたものかと少し迷いましたが、
よくよく話を聞いてみると、
これまでレントゲン検査が行われていないようでした。

「まず考えたこと」

それであれば、
まだできることはあるのではないかと考え、
まずはレントゲンを撮影することにしました。

症状から考えると、

・感染症(肺炎や膿胸)
・循環器の問題
・気管支の炎症(喘息など)

が鑑別に上がります。

「違和感のあった点」

ただ、ここで気になったのは
抗生剤の注射で翌日には改善する
という点と、
内服がうまくできていなかったという点です。

細菌感染であれば、
一度の注射でしかも内服の継続が難しい環境で、すぐに改善する経過もやや不自然です。

また、循環器の問題であれば、
心筋炎など特殊なケースを除いて、
抗生剤でここまで速く回復することは通常ありません。



さらに今回、
血液検査では白血球数(WBC)の上昇は認められませんでした。

細菌感染であれば、
必ずしも上昇するとは限らないものの、
この経過と合わせて考えると、
感染症を強く疑う状況ではないと判断しました。


「治療内容の確認」

そのため、元の病院に確認していただいたところ、
注射にはステロイドも使用されていました。

この情報から、
改善していたのは抗生剤ではなく、
炎症を抑えるステロイドの効果ではないか
と考えました。

「診断の方向性」

そうなると、
感染症というよりも
気管支の炎症が主体の病気
が疑われます。

レントゲンでは、
肺全体の強い異常というよりも、
気管支の変化が目立つ像が確認されました。

これまでの経過と合わせると、
気管支の炎症による呼吸のトラブル、
いわゆる猫の喘息に近い状態が疑われます。

「当日の治療」

当日は、

・ステロイドの注射
・6日間の内服

を行い、
この病気は一度治して終わりではなく、
今後うまく付き合っていく必要があることをお伝えしました。

「今後の方針」

ただし今回の猫ちゃんは、
内服が難しいという問題があります。

そのため、吸入治療(スペーサー)をご提案し、
まずは1週間ほど器具に慣れていただくようお伝えしました。


(※今回の処方の吸入薬はステロイド単独のものです。上記はステロイドとα2刺激の混合剤です。)

その間に吸入用のステロイドを手配しました。

「経過」

後日お電話で確認したところ、
注射の翌日には呼吸の改善が見られていたとのことでした。

内服終了後は、
吸入治療に移行し、
まずは数か月コントロールしていく方針としています。

「最後に」

・呼吸が速い
・食欲が落ちている
・元気がない

こうした変化があれば、
一度ご相談いただければと思います。
2026-04-15 04:00:00

呼吸が速い猫でレントゲン判断に迷った一例

カテゴリ : 呼吸器


呼吸が速く、食欲も低下している猫。

この時点で、当然ですがまず胸部疾患を疑います。

しかも「急に」という経過なので、
優先的に考えるのは気管支炎や喘息です。

「レントゲンの第一印象」

レントゲンを撮ると、
印象としては「気管支炎っぽい」。



ただ一方で、
正常でもこの程度の見え方の猫はいます。

つまり、
異常とも正常とも言い切れない画像です。


「過去画像との比較」

こういうときは過去画像と比較します。



9か月前のレントゲンと並べると、
今回(最初の画像)は肺野が白いかなと感じました。

これで「異常はある」と判断しました。

「診断の組み立て」

ただし、レントゲン単独では決め手にはなりません。

そのため飼い主さんには、
「画像としては決定的ではないが、
症状と経過から気管支炎(喘息)を疑う」
と説明し、
その前提で治療を行いました。

「治療反応」

ステロイド投与後、翌日には改善。

この反応からも、
炎症性の気道疾患で矛盾しません。

「今回のポイント」

今回のポイントは、

・症状は明らかに呼吸器
・レントゲンはグレー
・比較すると異常がはっきりする

この3点です。

「まとめ」

猫の呼吸器疾患、
レントゲンではっきりしないケースも少なくありません。

そういうときは、

・症状
・経過
・治療反応

を含めて判断することもあります。

今回は気管支炎(猫の喘息)と診断しました。
2026-04-08 05:00:00

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