みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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排便カレンダー

カテゴリ : 消化器



先月のブログで便秘症の記事をあげさせていただきましたが、うちの猫も便秘症です。

主に便を柔らかくするためのラクツロースという水あめのようなお薬と腸内バイオームという便秘対応のフードを利用し、何日も排便せず嘔吐や食欲・元気の消失がみられるようになったら鎮静麻酔下で便を指で掻き出すという対応をとってきました。

良い時で2日に1回、ひどい時は4日に1回くらいの間隔で排便をするしかもほんの少しづつという感じでした。

ある日の便を書き出す前のレントゲン写真で何倍にも太くなった大腸を確認してからは、便秘対応のフードを利用するよりも少しでも便量が少なくなるフードの方が良いのかなと判断しフードの変更をおこないました。

排便ペースは相変わらずでしたが、おなかに抱える便量がわずかながらでも減った分感覚的なものですが
快適さが少し改善されたのかなと様子を見ていて思いました。

ラクツロースの投与は奥さんに任せっきりだったのですが、「飲ませにくく凄く嫌がる。他に何か試す方法はないのかなぁ」と常々言われていました。

そこで最近出席した猫専門病院の先生のセミナーで得た知識からモビコール、サイリウム、プロナミドと
呼ばれるお薬やサプリメントを利用してみることにしました。

モビコールは便中に水分を引き寄せ便を柔らかくする作用があります。ラクツロースも同じ目的で投与していましたが、モビコールの方が格段に飲ませやすいとの事でした。

サイリウムは可溶性繊維と呼ばれる繊維分で便の体積を増すことで大腸を刺激し排便を促す効果があります。実は便秘対応の療法食に含まれています。であれば便秘対応のフードから便量が少なくなるフードに
変更したのは間違いじゃないですかと言われそうですが・・・

プロナミドは嘔吐止めとして使用されるお薬ですが大腸の運動機能の改善を期待して投与します。

これもまたうちの猫がたまたまかもしれませんがこれら3つを使用するようになってから明らかに排便状況が改善されました。

それを視覚的にわかりやすく理解していただくためにあげさせていただいたのが最初のカレンダーの画像です。

 カレンダーの中の「かりんとう」みたいに描かれたマークは「うんち」です。例えば1日の日には1回の排便で中小一個ずつ排便したことをあらわしています。

カタカナの「ラ」はラクツロースを、「プ」はプロナミドを、「粉(モ)」や「モ」はモビコールを、
「サ」はサイリウムを投与したことを表しています。

「腸」は療法食の腸内バイオームを少し療法食の低分子プロテインに混ぜたことを示しています。低分子プロテインのみでは食いつきが悪くなったためです。

8日まではラクツロースのみの投与でその日に鎮静下での便の掻きだし、9日にプロナミドを追加、18日に
ラクツロースをモビコールに変更、19日にサイリウムの追加を行いました。

用手排便後プロナミドを追加してからはほぼ毎日1回の排便、モビコールへの変更・サイリウムを追加後は
1日に複数回排便する日も認められるようになりました。

便の質も変な表現ですがもちもちっとした感じになりました。これはサイリウムの影響が大きいものと考えます。少し混ぜた腸内バイオームの影響も否定できませんが・・・。

サイリウムは粉末状の製品でそのままウエットフードに混ぜて利用できますが、





うちの猫はウエットを嫌がりますので水を混ぜて団子状にして手で与えています。

2022-11-02 09:00:00

知覚過敏症の疑い

カテゴリ : 問題行動


「避妊手術後から背中からしっぽにかけての皮膚がブルブルっとなりその後走り回るような事があった。昨日からひどくなりかかりつけ動物病院を受診しました。熱があったので解熱剤の注射と精神安定剤を処方されました。たまにハァハァと犬のような呼吸をする。」とのご相談を受けました。

1歳のロシアンブルーさんで食欲や元気など一般状態に問題はないようです。

「背中の皮膚がブルブルっと・・・」このようなお話が合った時に獣医師は知覚過敏症の事が一つ頭に浮かびます。

はっきりとした原因やメカニズムは解明されていないのですがストレスや恐怖体験が引き金になっているのではとも考えられています。

この猫ちゃんにとっては断定はできませんが避妊手術というイベントが非常に大きなストレスとなってしまったのかもしれません。

他の症状としては過剰なグルーミング、触られるのを嫌がる、攻撃的になる、自傷行為などがあります。

知覚過敏症の対策としては即効性のあるものはなく基本的には「日常的なストレスを減らす」ということになります。

「猫にとって快適な環境づくりりのためのガイドラインにおける5つの柱」と呼ばれるものがあるのですが
その中に

「好意的かつ一貫性があり予測可能な、人と猫の社会的関係を構築する」

という項目があります。難しい表現ですが簡単に言うと猫ちゃんは唐突な出来事を嫌がります、大きな音
、急な来客、お昼寝中に急に抱っこされるなどです、もちろんこれだけではありませんが。

こういう「猫ちゃんがびっくりするような唐突な出来事を極力なくし日々穏やかに接してあげる」と言い換えることができるでしょうか、気長に対応することが大切です。

日々の補助的な療法として、ストレス軽減作用の期待できるフードやサプリ、フェロモン製剤を使用することもあります。

また症状がひどい場合は抗うつ剤の使用も考えます。

「背中をブルブルさせる」症状は病院内では再現されず確認できないこともあるのですが、今回動画を持参してくださいました。

今後の参考のために動画を提供して頂くことができました。







2022-10-26 09:00:00

 マイクロチップ装着

カテゴリ : その他



少し古い話題になりますが令和4年6月1日よりペットショップさんやブリダーさんが販売する猫ちゃんやワンちゃんに対してはマイクロチップの装着が義務化されました。

保護した個体やご家庭で生まれた個体に対しては努力義務(任意)となっています。

マイクロチップは人間で言うマイナンバーカードみたいなものでその個体だけのナンバー情報が記録されています。

環境省や獣医師会にそのナンバーを登録しておけば迷子になった時などにそのナンバーからご家族のもとに帰してあげる事ができます。

装着は一瞬で終わります。

ナンバー読み取り機でマイクロチップがきちんと装着されているか最後に確認をします。





2022-10-19 09:01:00

排便困難③

カテゴリ : 消化器





「また便が三日間ほど出ていません。」と連れてこられた猫ちゃんのレントゲン写真です。

大腸にまんべんなく便が認められます。

大腸はお腹の正面から見ますとちょうど「❓ クエスチョンマーク」のような形に見えます。

分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。




大腸もう少し詳しく言いますと上行(頭側に向かっている部分)結腸、横行(画面の左から右へ向かっている)結腸、下行(肛門側へ向かっている)結腸内すべてに便が認められます。

幸い前回のブログで紹介いたしました猫ちゃんのように大腸が2倍にも3倍にも太くなっているということはないようです。

2倍にも3倍にも大腸が太くなっていると大腸が機能的に働けていないと考えますが、この猫ちゃんの場合は4日前までは毎日排便していたようですし大腸の太さも普通ですので大腸は充分機能的に働けるものと思われます。

このような時にはまず緊急の処置として浣腸や指での便のかきだしを行います。

その後療法食を利用してあげると便秘の解消が期待できます。

療法食の1例です。






これはヒルズ社製のものですが他にもロイヤルカナン社から消化器サポート(可溶性繊維)というフードも出ています。

このようなフードは可溶性繊維、不溶性繊維と呼ばれる成分が程よく配合されています。

可溶性繊維は便の中に水分を引っ張ってくる働きで便を軟化させ、不溶繊維は大腸を刺激しその運動をうながします。

私は使用経験はありませんが可溶繊維はサイリウムとよばれる成分でサプリも利用されているようです。

また大腸の運動をうながすために嘔吐止めとして利用されるモサプリドと呼ばれるお薬を一緒に処方したりすることもあります。

今回「また出ていません」とおっしゃられているように一年ほど前にも同じ症状でのご相談があり上記フードを処方しておりましたが便秘が解消されてからは市販フードを与えられていたそうです。

便秘の原因は様々でありフードだけで問題が解決するわけではありませんがオーナー様には療法食を継続していただけるようお願いいたしました。








2022-10-12 09:00:00

排便困難②

カテゴリ : 消化器



大腸の太さが普通の2~3倍くらいになってしまった猫ちゃんのレントゲン写真です。

この猫ちゃんは子猫の時に何らかの事故で脊椎を損傷していました。そしてその後遺症から排便に問題を生じ常に便秘気味でした。

対策として便秘対応の療法食を利用していただき、最初は少量の硬い便ではありましたが毎日排便しておりました。

それがやがて2日に1回、3日に1回と不規則な排便状態となりました。

あまりにも便秘がひどくなり食欲・元気に問題を生じるような時には浣腸をしたり鎮静剤を注射し指で便をかきだしたりしていました。

上の画像は1週間排便がなかった時のものです。分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。

普通大腸の太さはこれの半分~3分の1位です。


大腸がレントゲンのような状態にまでなり尚且つ排便が全くなされないような状況では、便秘用のフードの利用はかえって問題を悪化させてしまいます。

というのは便秘用のフードは可溶性繊維・不可溶性繊維がバランスよく配合されていて、便に水分をひきつけ便を軟化させたり大腸を適度に刺激したりして便秘の解消につながるのですが通常のフードより便量が増えてしまいます。

全く便が出ない猫ちゃんにはかえって負担となってしまいます。

そこでこの猫ちゃんには前々回のブログでお話ししました他のフードと比べてわずかながら便量の少なくなるフードと便の軟化剤を処方しました。

現在2~3日に1回くらいの排便ペース、日によっては連続して二日排便することもあるようです。

現在のレントゲン写真です。



分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。大腸の太さが通常くらいとなりました。

今後この状態が維持できるか経過を見守っていきます。




2022-10-05 09:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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