
今週も呼吸促拍、食欲低下の猫ちゃんのお話です。
先だって、呼吸が速くなり、食欲も落ちてしまう。
そんな症状を繰り返している猫ちゃんが来院されました。
今回はセカンドオピニオンとしてのご相談です。
「これまでの経過」
去年の冬に3回、今年に入ってからも3か月前、今回と同じ症状を繰り返しており、
これまでの治療では、
抗生剤の注射をすると、翌日には楽になる
という経過だったそうです。
ただ、内服はうまくできていなかったとのことでした。
「元の病院での説明と今回の受診」
かかりつけの先生からは、
原因の追及を希望される場合は他の病院で
と言われたそうです。
当院も特別な設備があるわけではなく、
いわゆる普通の施設の動物病院です。
どうしたものかと少し迷いましたが、
よくよく話を聞いてみると、
これまでレントゲン検査が行われていないようでした。
「まず考えたこと」
それであれば、
まだできることはあるのではないかと考え、
まずはレントゲンを撮影することにしました。
症状から考えると、
・感染症(肺炎や膿胸)
・循環器の問題
・気管支の炎症(喘息など)
が鑑別に上がります。
「違和感のあった点」
ただ、ここで気になったのは
抗生剤の注射で翌日には改善する
という点と、
内服がうまくできていなかったという点です。
細菌感染であれば、
一度の注射でしかも内服の継続が難しい環境で、すぐに改善する経過もやや不自然です。
また、循環器の問題であれば、
心筋炎など特殊なケースを除いて、
抗生剤でここまで速く回復することは通常ありません。

さらに今回、
血液検査では白血球数(WBC)の上昇は認められませんでした。
細菌感染であれば、
必ずしも上昇するとは限らないものの、
この経過と合わせて考えると、
感染症を強く疑う状況ではないと判断しました。
「治療内容の確認」
そのため、元の病院に確認していただいたところ、
注射にはステロイドも使用されていました。
この情報から、
改善していたのは抗生剤ではなく、
炎症を抑えるステロイドの効果ではないか
と考えました。
「診断の方向性」
そうなると、
感染症というよりも
気管支の炎症が主体の病気
が疑われます。
レントゲンでは、
肺全体の強い異常というよりも、
気管支の変化が目立つ像が確認されました。
これまでの経過と合わせると、
気管支の炎症による呼吸のトラブル、
いわゆる猫の喘息に近い状態が疑われます。
「当日の治療」
当日は、
・ステロイドの注射
・6日間の内服
を行い、
この病気は一度治して終わりではなく、
今後うまく付き合っていく必要があることをお伝えしました。
「今後の方針」
ただし今回の猫ちゃんは、
内服が難しいという問題があります。
そのため、吸入治療(スペーサー)をご提案し、
まずは1週間ほど器具に慣れていただくようお伝えしました。

(※今回の処方の吸入薬はステロイド単独のものです。上記はステロイドとα2刺激の混合剤です。)
その間に吸入用のステロイドを手配しました。
「経過」
後日お電話で確認したところ、
注射の翌日には呼吸の改善が見られていたとのことでした。
内服終了後は、
吸入治療に移行し、
まずは数か月コントロールしていく方針としています。
「最後に」
・呼吸が速い
・食欲が落ちている
・元気がない
こうした変化があれば、
一度ご相談いただければと思います。



















