
ある日「鼻がつまり呼吸が苦しそう」と猫ちゃんが連れてこられました。
診察台で観察してみますと左の鼻の穴から透明な鼻水が垂れていました。それに伴い呼吸もややしづらそうに見受けられました。
食欲や元気はありましたので、このような時には比較的若い子の場合は「鼻炎による鼻水かな」と考えまずお薬を処方し経過観察とすることもあります。
ただこの猫ちゃんは高齢であったため「鼻の腫瘍が原因による鼻水や息苦しさ」なども考えておかなくてはならないので、手始めの検査として鼻のレントゲン撮影を実施しました。上の画像がその時のものです。
画像に向かって右側が猫ちゃんの左側になります。レントゲンでは空気は黒く写ります。ですので空気で満たされている鼻の穴は黒く抜けて写ります。
このレントゲンでは左の鼻の穴が右と比べて白く濁っています。分かりやすいようにその部位を青い線で囲ってみます。

白く濁っていることから左の鼻の穴に何らかの異常があるということははっきりと言えるのですが、それが炎症であるのか腫瘍であるのかは直ぐに鑑別できません。
鑑別には二次病院でのCT検査等が必要となってきます。
ただレントゲンにはもう少しヒントがあります。絶対ではありませんが鼻の腫瘍性の疾患の場合、鼻の穴の周囲の骨が変形していたりする事があります。
今回はそのような骨の変形はないように思われましたので、「鼻炎」と仮診断し内服薬を処方しました。
下は内服終了後の画像です。左の鼻の穴の白い濁りが消え黒く抜けて写っています。
処方した内服薬では腫瘍の治療はできませんので、今回は鼻炎であったと診断しました。
