もう昨年の出来事なのですが「昨日テーブルに乗ろうとして落下。そのあとから足をひきずって痛そうです」とのことでアメショーさんが連れてこられました。
動画はその時の様子を撮影したものです。
猫ちゃんは院内では固まってしまってワンちゃんのようには歩いてくれないことも多くどの足をかばっているのか、痛がっているのかを把握することが難しいケースもあるのですが、明らかに左後ろ足が痛そうです。
人間でいう「かかと」のあたりに触れると嫌がりました。
そこで「かかと」周辺のレントゲンを横から撮ってみました。
痛い方の左足
正常な右側
骨がぽっきり折れたりヒビが入ったようには見えませんでしたが、人間でいう「ふくらはぎの筋肉」の下あたりが少し腫れているように感じられました。
わかりやすいように腫れているなと感じられる部分にピンクのラインを入れてみます。
痛い左側
正常な右側
左側のラインの幅の方が広いです、少しわかりにくいですかね。
幅が広くなっているのは腫れている証拠です。
当日は痛み止めの内服と安静をお願いし経過観察としました。
それから5日後に再診していただいたのですが症状が続いていましたので専門病院を紹介させていただきました。
診断結果は 「左側腓腹筋もしくは腱の部分損傷を疑う(付着部の裂離骨折を伴う可能性)」 とのことでした。
簡単に言いますと「ふくらはぎ」の筋肉の一つに腓腹筋(ひふくきん)と呼ばれる筋肉があり、その筋肉は「かかと」の骨とつながっています。その筋肉と骨をつなげているスジ、いわゆる「アキレス腱」の一部がちぎれてしまったと言うことです。
ぽっきりと折れるような骨折はなかったのですが裂離骨折とよばれる骨折の可能性があるのではとの診断でした。
裂離骨折とは引っ張られておこる骨折の事です。今回のケースでは落下し着地した時にアキレス腱が過度に引っ張られその一部が骨の付着部からはがれてしまった可能性があるということです。
治療は完全なアキレス腱の断裂ではなく一部断裂の可能性でしたので手術ではなく痛み止めと安静で経過観察していくこととなりました。
その後気になっていたのですが先月予防接種のため来院されたのでお話を聞きますと「普通に歩いています」とのことでした。