みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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糞便スコア

カテゴリ : 消化器



最近診察中に重宝している図表です。

便秘から下痢まで6段階に分けて便の状態を写真で表しています。

「先生、昨日から下痢をしてるんです。」「どんな感じの便ですか?」

答えが「水下痢です」となればオーナー様がご覧になった便と私が頭に思い描いた便はだいたい一致するのですが、「軟便です」となった時には少し注意です。

この場合もだいたいの方は4番か5番の状態のことをおっしゃっていることが多く、オーナー様が伝えたかった状況を私が間違ってとらえてしまうことはないように思います。

ただ時々便が3番くらいの状態で「軟便」と表現されている方もいらっしゃいます、それはその方の感じ方ですので決して間違いではありません。ただ私は4番か5番くらいをイメージしています。

例えば診察で「元気食欲はあるけれど便がやわらかいです。」となった時に便が4番か5番の状態の場合は「下痢用のおなかにやさしい療法食を使用してあげたほうがいいかな」とか「整腸剤をおだししようかな」などと考え対応させていただいていることが多いのですが、3番であれば「いつものフードのままでかまいませんので一日二日給餌量を減らしておなかの負担を軽減しましょうか」などの対応になっているのではと思います。。

この図表を使えば簡単にオーナー様との認識をそろえられより適切な対応が可能となります。

※便の状態に限らず気になる症状を画像や動画に記録して来院してくださいますと非常に診断の助けになります。







2023-10-11 09:00:00

排便カレンダー

カテゴリ : 消化器



先月のブログで便秘症の記事をあげさせていただきましたが、うちの猫も便秘症です。

主に便を柔らかくするためのラクツロースという水あめのようなお薬と腸内バイオームという便秘対応のフードを利用し、何日も排便せず嘔吐や食欲・元気の消失がみられるようになったら鎮静麻酔下で便を指で掻き出すという対応をとってきました。

良い時で2日に1回、ひどい時は4日に1回くらいの間隔で排便をするしかもほんの少しづつという感じでした。

ある日の便を書き出す前のレントゲン写真で何倍にも太くなった大腸を確認してからは、便秘対応のフードを利用するよりも少しでも便量が少なくなるフードの方が良いのかなと判断しフードの変更をおこないました。

排便ペースは相変わらずでしたが、おなかに抱える便量がわずかながらでも減った分感覚的なものですが
快適さが少し改善されたのかなと様子を見ていて思いました。

ラクツロースの投与は奥さんに任せっきりだったのですが、「飲ませにくく凄く嫌がる。他に何か試す方法はないのかなぁ」と常々言われていました。

そこで最近出席した猫専門病院の先生のセミナーで得た知識からモビコール、サイリウム、プロナミドと
呼ばれるお薬やサプリメントを利用してみることにしました。

モビコールは便中に水分を引き寄せ便を柔らかくする作用があります。ラクツロースも同じ目的で投与していましたが、モビコールの方が格段に飲ませやすいとの事でした。

サイリウムは可溶性繊維と呼ばれる繊維分で便の体積を増すことで大腸を刺激し排便を促す効果があります。実は便秘対応の療法食に含まれています。であれば便秘対応のフードから便量が少なくなるフードに
変更したのは間違いじゃないですかと言われそうですが・・・

プロナミドは嘔吐止めとして使用されるお薬ですが大腸の運動機能の改善を期待して投与します。

これもまたうちの猫がたまたまかもしれませんがこれら3つを使用するようになってから明らかに排便状況が改善されました。

それを視覚的にわかりやすく理解していただくためにあげさせていただいたのが最初のカレンダーの画像です。

 カレンダーの中の「かりんとう」みたいに描かれたマークは「うんち」です。例えば1日の日には1回の排便で中小一個ずつ排便したことをあらわしています。

カタカナの「ラ」はラクツロースを、「プ」はプロナミドを、「粉(モ)」や「モ」はモビコールを、
「サ」はサイリウムを投与したことを表しています。

「腸」は療法食の腸内バイオームを少し療法食の低分子プロテインに混ぜたことを示しています。低分子プロテインのみでは食いつきが悪くなったためです。

8日まではラクツロースのみの投与でその日に鎮静下での便の掻きだし、9日にプロナミドを追加、18日に
ラクツロースをモビコールに変更、19日にサイリウムの追加を行いました。

用手排便後プロナミドを追加してからはほぼ毎日1回の排便、モビコールへの変更・サイリウムを追加後は
1日に複数回排便する日も認められるようになりました。

便の質も変な表現ですがもちもちっとした感じになりました。これはサイリウムの影響が大きいものと考えます。少し混ぜた腸内バイオームの影響も否定できませんが・・・。

サイリウムは粉末状の製品でそのままウエットフードに混ぜて利用できますが、





うちの猫はウエットを嫌がりますので水を混ぜて団子状にして手で与えています。

2022-11-02 09:00:00

排便困難③

カテゴリ : 消化器





「また便が三日間ほど出ていません。」と連れてこられた猫ちゃんのレントゲン写真です。

大腸にまんべんなく便が認められます。

大腸はお腹の正面から見ますとちょうど「❓ クエスチョンマーク」のような形に見えます。

分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。




大腸もう少し詳しく言いますと上行(頭側に向かっている部分)結腸、横行(画面の左から右へ向かっている)結腸、下行(肛門側へ向かっている)結腸内すべてに便が認められます。

幸い前回のブログで紹介いたしました猫ちゃんのように大腸が2倍にも3倍にも太くなっているということはないようです。

2倍にも3倍にも大腸が太くなっていると大腸が機能的に働けていないと考えますが、この猫ちゃんの場合は4日前までは毎日排便していたようですし大腸の太さも普通ですので大腸は充分機能的に働けるものと思われます。

このような時にはまず緊急の処置として浣腸や指での便のかきだしを行います。

その後療法食を利用してあげると便秘の解消が期待できます。

療法食の1例です。






これはヒルズ社製のものですが他にもロイヤルカナン社から消化器サポート(可溶性繊維)というフードも出ています。

このようなフードは可溶性繊維、不溶性繊維と呼ばれる成分が程よく配合されています。

可溶性繊維は便の中に水分を引っ張ってくる働きで便を軟化させ、不溶繊維は大腸を刺激しその運動をうながします。

私は使用経験はありませんが可溶繊維はサイリウムとよばれる成分でサプリも利用されているようです。

また大腸の運動をうながすために嘔吐止めとして利用されるモサプリドと呼ばれるお薬を一緒に処方したりすることもあります。

今回「また出ていません」とおっしゃられているように一年ほど前にも同じ症状でのご相談があり上記フードを処方しておりましたが便秘が解消されてからは市販フードを与えられていたそうです。

便秘の原因は様々でありフードだけで問題が解決するわけではありませんがオーナー様には療法食を継続していただけるようお願いいたしました。








2022-10-12 09:00:00

排便困難②

カテゴリ : 消化器



大腸の太さが普通の2~3倍くらいになってしまった猫ちゃんのレントゲン写真です。

この猫ちゃんは子猫の時に何らかの事故で脊椎を損傷していました。そしてその後遺症から排便に問題を生じ常に便秘気味でした。

対策として便秘対応の療法食を利用していただき、最初は少量の硬い便ではありましたが毎日排便しておりました。

それがやがて2日に1回、3日に1回と不規則な排便状態となりました。

あまりにも便秘がひどくなり食欲・元気に問題を生じるような時には浣腸をしたり鎮静剤を注射し指で便をかきだしたりしていました。

上の画像は1週間排便がなかった時のものです。分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。

普通大腸の太さはこれの半分~3分の1位です。


大腸がレントゲンのような状態にまでなり尚且つ排便が全くなされないような状況では、便秘用のフードの利用はかえって問題を悪化させてしまいます。

というのは便秘用のフードは可溶性繊維・不可溶性繊維がバランスよく配合されていて、便に水分をひきつけ便を軟化させたり大腸を適度に刺激したりして便秘の解消につながるのですが通常のフードより便量が増えてしまいます。

全く便が出ない猫ちゃんにはかえって負担となってしまいます。

そこでこの猫ちゃんには前々回のブログでお話ししました他のフードと比べてわずかながら便量の少なくなるフードと便の軟化剤を処方しました。

現在2~3日に1回くらいの排便ペース、日によっては連続して二日排便することもあるようです。

現在のレントゲン写真です。



分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。大腸の太さが通常くらいとなりました。

今後この状態が維持できるか経過を見守っていきます。




2022-10-05 09:00:00

排便困難

カテゴリ : 消化器




ある日「急に食べたものを嘔吐し、その後胃液を吐き続けている。食欲もない。昨日までは普通だった。」という猫ちゃんが連れてこられました。

問診や触診、検査の結果から肝疾患と診断し治療を始めました。

肝疾患と診断した理由は肝臓に何らかの問題があると血液検査でALT(GPT)という成分が異常値を示すのですが、初診時にALTの値以外は他に目立った異常が見つからなかったからです。

実際猫ちゃんでも急に肝臓に負担がかかり(負担がかかるとALTが上昇したりします)、結果嘔吐・食欲不振につながることが結構あるからです。

そこで治療を開始したのですが反応はあまりよくありませんでした。嘔吐は治まったのですが、1日にチュールをがんばって3~4本食べるのがやっと、軟便・下痢もおこすようになったという状況でした。

その後何とかドライフードも食べてくれることがわかりましたので、軟便対策として下痢・軟便用の病院食も与えてもらうようにしました。

ドライフードに切り替えた数日後「2日間便をしていない。きばるが出ない、途中であきらめてトイレから出てくる」という説明がありました。

この時に初診時「硬い便を少しづつしていた」というオーナー様がされていたお話に思いが至りました。

もう一度初診時のレントゲン(上の画像です)を確認してみますと何やら便が肛門の手前でせき止められているようにも見えます。

理解していただきやすいよう矢印をつけてみます。下の画像です。




オレンジのラインが直腸でその中身が便でなのですが、ピンクの矢印のところでせき止められています。

肛門から人差し指を入れると1cmくらい進んだところ、ちょうど矢印のところで直腸が巾着袋の入口を閉めたように狭窄しておりそれ以上指を進めることができません。

この猫ちゃんには本当に申し訳のない事であったのですが、体調がすぐれなかった主たる原因は肝臓の不調ではなく、この直腸の狭窄により便が出づらいためであったとこの時に気づきました。

チュールだけの時は正常な硬さの便にならず、量もさほど多くなかったので軟便として何とか狭窄部を通過していたものが、ドライフードを食べるようになって正常な硬さ・ある程度の便量になってしまったので狭窄部を通過出来ず2日間便が出なかったのでしょう。

オーナー様にお願いし二次病院で精査を受けていただきました。

狭窄部での腫瘍の発生が心配だったのですがそうではありませんでした。



治療としては狭窄部の外科切除や人工肛門の設置などが提案されましたが、オーナー様の希望により保存療法としました。

具体的には他製品よりも便量の少なくなる下記ドライフードと、ラクツロースと呼ばれる便を軟便ぎみにする水薬りを使用していただくこととしました。

現在、食欲・排便(軟便状態ですが)ともに問題ないようです。





2022-09-21 09:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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