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猫の高血圧 爪切りで気づいた小さなサイン

カテゴリ : 循環器


ある日、久しぶりに来院した猫ちゃんがいました。

特別な診察ではなく、爪切りだけです。

爪を切りながら、ふと顔を見たときに少し気になることがありました。

瞳が、やけに大きく開いているように見えたのです。

猫は暗い場所では瞳孔が大きくなりますが、診察室はそれほど暗くありません。

それでも瞳が開いたままのように見えました。

「最近、何か変わったことはありませんか?」 そう飼い主さんに聞くと、 「最近、ものに当たることがあるんです」 という話が出ました。

もしかすると、網膜の異常があるのかもしれない。 そう思いました。


猫も高血圧が目に出ることがある


猫も高血圧が起きると、 網膜に出血や剥離が起こることがあります。

その結果

・瞳が開いたままになる
・見えにくくなる
・物に当たる

といった変化が出ることがあります。

そこで飼い主さんに、 「念のため血圧だけ測ってみましょうか」 と提案しました。


血圧を測ってみると

猫の血圧は、一度の測定だけでは判断できないことが多いので、 何回か測って平均を見ます。



しかし、この猫では 190〜200mmHg台 という数値が出ました。

これは明らかに高い血圧です。


猫の高血圧の背景にある病気

猫の高血圧は

・慢性腎臓病
・甲状腺機能亢進症

といった病気に伴って起こることも多いです。

その話をすると、飼い主さんから 「そういえば、水をよく飲んでおしっこも多いです」 という話が出ました。

この飼い主さんは、別の猫で腎不全を経験している方でした。


まず甲状腺ホルモンをチェック

高血圧の治療では降圧剤を使うこともありますが、 もし甲状腺機能亢進症が原因なら、 まずその治療を優先することがあります。

そこで 「甲状腺ホルモンだけ調べてみませんか」 と提案しました。

検査結果は 正常値ではあるものの、グレーゾーン にも近い結果でした。



すぐに治療が必要な値ではありませんが、 今後の経過は注意して見ていく必要があります。


血圧はもう一度確認

猫の血圧は ・緊張 ・環境 ・測定条件 によっても変わることがあります。

そのため 「数日後にもう一度血圧を測ってみましょう。

それでも高いようなら、降圧剤を使った方がよいと思います」 とお伝えしました。


腎臓のチェックは尿比重から


本来であれば血液検査で腎臓の状態を確認することも多いですが、 費用のこともあります。

そこで今回は まず尿比重で腎臓の働きをチェックしてみましょう と提案しました。

尿比重は、比較的負担の少ない検査ですが、 腎臓の状態を知る手がかりになります。


爪切りから見つかる病気もある


今回のきっかけは、ただの爪切りでした。

ですが

・瞳の変化
・見えにくそうな様子
・血圧の上昇

といったことから、体の中の問題が見えてくることがあります。

猫では 高血圧は意外と気づかれにくい病気です。

しかし

・目
・脳
・腎臓
・心臓

などに影響することがあります。

小さな変化でも、 気になることがあれば相談していただければと思います。
2026-03-18 05:00:00

アムロジピン単独では不十分だった猫の高血圧症例 ― テルミサルタン併用で安定した一例

カテゴリ : 循環器

     ※入院翌朝の血圧で来院時直ぐのものではありません。

猫が、突然の嘔吐と元気消失を主訴に来院しました。

診察時に血圧を測定したところ、200mmHgを超えていました。

この猫には、もともと血圧を下げるお薬をだしていました。

入院とし、まずはこれまでと同じ内容(アムロジピン)で投薬を行い、経過を観察しました。

翌朝(2月3日8時)の血圧も202mmHg(最初の画像)で、大きな変化はありませんでした。

この時点で、今までの治療だけでは血圧が下がりきっていないと判断し、作用の仕組みが異なるテルミサルタンを追加しました。

アムロジピン2.5mg錠を1/4錠で1日2回、テルミサルタン20mg錠を1/4錠1日1回としました。


同日17時半の血圧は182mmHgでした。



翌日(2月4日朝)の血圧は185mmHgでした。

まだ十分な低下とは言えなかったため、アムロジピンを1/2錠1日2回に増量し、テルミサルタンは同量で継続しました。



同日16時前の血圧は156mmHgまで低下しました。



翌日(2月5日朝9時半)の血圧は150mmHgでした。

この時点では、アムロジピンの増量で血圧が安定しているのであれば、テルミサルタンは不要かもしれないと考え、一度中止しました。



同日夜の血圧は174mmHgに再上昇しました。



翌朝(2月6日9時前)の血圧も174mmHgでした。

この経過から、アムロジピン単独では血圧を維持できていない可能性が高いと判断し、テルミサルタンを再開しました。



同日夕方の血圧は146mmHgでした。

確認後退院としました。

この推移から、この猫ではアムロジピン単独では不十分で、テルミサルタンの併用が血圧の安定に大きく関与していると判断しました。

また今回詳しい説明は省略させていただきますが、初診時の検査で、胸水の貯留や左心房の拡張など、一般的には心臓の病気を示すことが多い所見が認められました。




そして血液検査では心臓に負担がかかっていることを示す指標であるproBNPの高値も確認されていました。



ただし今回の経過をみる限り、心臓そのものの病変というより、血圧が高い状態が続いたことによる影響が、これらの所見として現れていたと考えています。

血圧が安定するにつれて、嘔吐や元気消失といった初診時にみられた症状は改善し、退院時には認められなくなっていました。

あわせて、初診時に認められていた上記の画像所見についても、退院時には改善傾向が確認されました。




2026-02-11 06:00:00

尿閉と高カリウム血症:猫を襲う静かな心臓の危機

カテゴリ : 循環器


二日前からおしっこが出ていない、食欲がなく吐いている――そんな主訴で雄の猫ちゃんが来院しました。

診察室に入ってきたときにはぐったりと横たわっており、固く緊張感のある膀胱が触診されたことから尿閉が強く疑われました。

血液検査では尿毒症に加え、カリウムが8.4mEq/L(基準値はおよそ3.7〜4.6)と非常に高い値を示していました。

これは非常に危険な状態です。

カリウムと心臓

というのはカリウムは心臓の電気を整える役割を持つ大切なミネラルなのですが、増えすぎると電気の流れが乱れて心臓のリズムが崩れ、心停止に至ってしまうのです。

今回の猫ちゃんも、心拍数は130台と健康な猫にしては遅く、すでに高カリウム血症による影響が心臓に現れていました。

心電図の変化

心電図を装着すると、まず目に入ったのは尖って高くなったT波でした。



心電図にはいくつかの波がありますが、その中でもT波はカリウムの影響を受けやすく、血液中のカリウムが高いと大きく形が変わります。

心電図のT波が高いのは危険なサインです。


治療の流れ

治療はまず酸素を吸わせ、静脈路を確保し、心電図で心臓の動きを監視するところから始まりました。

尿閉の根本治療は尿道にカテーテルを通すことですが、この子は重度の高カリウム血症で心臓が不安定だったため、鎮静をかけて行うのは命に関わるリスクがありました。

そこで、まずは心臓を守る治療を優先しました。

最初に投与したのは グルカゴン です。

グルカゴンは心臓の細胞に働きかけてカルシウムの出入りを増やし、心臓の収縮力を後押しします。

カルシウムは心臓が力強く動くために欠かせない物質であり、この働きで拍動を支えました。

次に 膀胱穿刺 を行い、尿を抜いて腎臓への圧力を下げ、余分なカリウムが体に戻るのを防ぎました。

この二つの処置によって、治療開始から30分ほどで心電図に変化が現れました。

T波はまだ完全に正常とは言えないものの、明らかに低下し改善がはっきり分かる状態になったのです。





ここで次の段階として GI療法 を開始しました。

手順は、まず20%ブドウ糖をボーラス投与し、その直後にインスリンを投与、その後は5%ブドウ糖を持続点滴しました。

インスリンは血液中のカリウムを細胞内へ移動させ、ブドウ糖は低血糖を防ぐために一緒に投与します。

GI開始から1時間半後の血液検査では、カリウムは7.4mEq/Lに下がり、心拍数も160台に回復。

この時点ではT波が逆に小さくなりすぎて、はっきり判別できないほどでした。






このとき、根本治療であるカテーテル通過を試みました。

本来は鎮静をかけて行う処置ですが、依然として鎮静のリスクは大きいと判断し、「強い抵抗を示したらすぐに中止する」という前提で鎮静なしで慎重に行いました。

すると思いのほかスムーズに通過し、排尿を確保することができました。

さらに30分後には心拍数は200台に上がり、T波は陰性化(波の山が逆転)しました。

猫では陰性T波も正常範囲に見られるため、この時点で心臓の急性危機は一旦脱したと判断しました。






まとめ

尿閉は、単に「おしっこが出ない」だけの病気ではなく、尿毒症や高カリウム血症によって命を脅かす危険があります。

今回のケースでは、心電図の波形が治療に応じて変化していく様子を目の当たりにしました。

残念ながらこの子は別の要因により最終的に助けることはできなかったのですが、少なくとも心臓の危機は一度は脱することができました。

こうした経験を通じて、尿閉の怖さを少しでも多くの方に知っていただきたいと思います。
2025-09-24 04:00:00

【猫が突然倒れることも】心臓の病気が原因かもしれません

カテゴリ : 循環器


うちは朝の早い時間にも診察を受け付けています。

ただしその時間は私ひとりですので、重症例には十分な対応が難しい場合もあります。

そんな朝に、「猫が水を吐いて倒れました。すごく苦しそうなんです」というお電話がありました。

「私ひとりでの対応になりますが、それでもよろしければ」とお伝えすると、
「とにかく診てもらえたら」とおっしゃったので、受け入れることにしました。
 
呼吸していない。でも心臓は動いている
 
キャリーに入れられてやってきた猫ちゃんは、すでに意識がなく、呼吸も止まっていました。

口や鼻のまわりには泡のような液体がついており、体の右側の毛もびしょびしょに濡れています。

もう厳しいかもしれない、と思いながらも聴診器を当ててみると、心臓の音はまだしっかり聞こえました。

ただし、かなり強い雑音も混じっています。「やっぱり心筋症だな」と思いました。

気管チューブを入れて人工呼吸をするのが理想ですが、一人ではすぐには難しい。

とにかく酸素を早く届けたかったので、酸素ホースを口に当ててみました。
表現はよくないですが、ぐっと差し込むような形です。

すると、数十秒後に自発呼吸が戻り、しばらくして自力で伏せる姿勢が取れるようになりました。

そこからはフェイスマスクでの酸素供給に切り替え、利尿剤の注射を行いました。
 
吐いたのは胃液や腸液ではなく「肺に溜まった水分」
 
飼い主さまには、こう説明しました。

「おそらく心臓の病気が関係しています。

吐いたのは胃の内容物ではなく、肺に溜まった水分かもしれません。

嘔吐ではなく、喀出(かくしゅつ)といって、肺に水がたまることで起こる症状です」
「えっ、さっきまで普通だったのに」と、飼い主さまは信じられない様子でした。

でも、動物は本能的に不調を隠そうとします。

猫も例外ではなく、どうしても発見が遅れがちになります。

特に心臓病は、外からの変化がとても分かりにくい病気です。
 
心臓から肺へ「血液の渋滞」が起きていた
 
その後、簡易的に心臓のエコー検査を実施しました。

一人で行ったものなので十分な画質とはいえませんが、ある程度の情報は得られました。

前出の動画ですが心臓の左心室から血液が大動脈へ流れる左室流出路という部分に、「モザイク血流」と呼ばれる乱れた血流が見られました。

これは通路が狭くなっており、血液の流れに抵抗があることを示しています。
また、左心房には血栓のような影も見えました。

このように心臓から血液がスムーズに流れないと、「血液の渋滞」が起こります。

その結果、心臓のすぐ後ろにある肺に水分がにじみ出てしまい、まるで溺れたような状態になってしまうのです。

肺エコーでも「Bライン」と呼ばれる所見が確認され、これは肺水腫のサインのひとつとされています。




 
利尿剤で肺の水を抜きたい。でも体がもたない
 
治療の第一歩は、肺に溜まった水を尿として体の外へ出すことです。

そのために利尿剤を使います。

ただし、前提として全身の血液循環がある程度保たれていなければ、薬は腎臓まで届きません。

尿も作れませんし、水分も排出されません。

この子の体温は35℃とかなり低下しており、全身の循環がかなり悪い状態でした。

利尿剤を投与しても60分経っても尿は出ず、膀胱も空っぽ。

もう一度投与しても、反応はありませんでした。

最終的に、循環を助ける薬を最低用量で持続投与しました。
(この薬は、左室流出路に狭窄のある猫では悪化することもあるため、最初からは使いにくい薬です)

案の定、呼吸がさらに苦しそうになったため、投与速度を落としながら様子を見ました。

飼い主さまに状況をお伝えしていた最中に、呼吸が止まり、残念ながらそのまま旅立ってしまいました。
 
心臓病は「突然」のように見えることもあります
 
腎臓病や糖尿病、甲状腺の病気などは、

  • 水をよく飲む
  •  
  • 尿が多い
  • 食べているのに痩せてきた


などのわかりやすいサインが出ることが多いのですが、心臓病はそうではありません。

  • 呼吸が少し速い?
  •  
  • 横になるのを嫌がる?
  •  
  • 抱っこすると嫌がる?
  •  
といったサインがある場合もありますが、それが見える頃には病気がかなり進んでいることも。

また今回のように、本当に突然、発症するケースもあります。
 
じゃあどうすればいいの?
 
やはり定期的な健康診断がいちばんの予防になります。

  • 聴診で心雑音がないかをチェック
  •  
  • 心エコー検査で構造や血流の異常を確認
  •  
  • 血液検査で心臓マーカーを調べる(最近はこれも可能になってきました)
  •  
年齢や品種によっては、心筋症のリスクが高い猫もいます。

「なんとなく元気だけど……」というときこそ、早めに診ておくのがおすすめです。

心臓の病気は、本当に「見た目ではわからない」ことが多いです。

でも、早く見つけられれば対処できることもあります。

「ちょっと気になるな」「定期検査しておいた方がいいかな」と思ったら、
お気軽にご相談くださいね。
 
2025-06-18 07:00:00

ごはんを食べたあとにフラつく猫ちゃんの話【迷走神経反射かも?】

カテゴリ : 循環器


「ごはんを食べだしてしばらくするとふらつくんです。ささえていないと倒れてしまうくらいの感じです。」

ある日、そんなご相談を受けました。

「えっ、そんなことあるのかな。何かあったかな。」
そう思いながら、飼い主さんが持参された動画を見てみると……まさにおっしゃっていた通りのことが起こっていました。

体の状態を調べてみることに

正直そのときは「いったい何なんだろう」と思いながらも、まずは検査をして今の体の状態を確認しましょうとお話しました。

というのも、この猫ちゃんには持病として「拘束型心筋症」と「甲状腺機能亢進症」があったからです。

このふたつの病気、どちらも「心臓がドキドキしやすくなる」特徴があります。

心臓が過剰に働くと、ふらつきや失神の原因になることがあるんですが、それがうまくコントロールできていないのかなと思ったんです。

でも、「なぜごはんのときにだけ?」という疑問は残りました。

迷走神経反射?と思い至るまで

検査日までの間、いろいろと考えていた中で「ひょっとして、迷走神経反射(めいそうしんけいはんしゃ)かも?」と気づきました。

ごはんを食べると、食べ物が喉を通ったり胃が広がったりすることで「迷走神経」という神経が刺激されます。

すると、体はリラックスモードに入ります。

この反応は、健康な体にとってはすごく自然で有益なことです。

エネルギーを効率よく吸収するために、体が無理をしないようにしてくれているんですね。

でも、この猫ちゃんはすでに「心臓を落ち着かせるお薬」を2種類のんでいました。

そこに迷走神経反射が加わると、心臓の動きが抑えられすぎてしまったのかもしれません。

お薬を調整してみると…

検査の結果、持病の心筋症や甲状腺の状態はちゃんとコントロールできていました。

やっぱり今回のふらつきは「迷走神経反射」の影響が強かったと考えられます。

そこで、お薬のうちのひとつをいったん中止してみました。

すると――
ごはんを食べたあとにふらつく様子は、ほぼ見られなくなったんです。

おわりに:ちょっと不思議な「食後のふらつき」

「ごはんのあとにフラつく」という少し不思議なご相談から始まった今回のケース。

迷走神経反射自体は健康な体にも起こるものですが、持病やお薬の影響が重なると、ちょっとしたことで体のバランスが崩れることもあります。
2025-05-14 06:00:00

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