
今年8月14日のブログで紹介しました糖尿病の猫ちゃんの経過ですがインスリン治療で食欲も回復し、飲水量・尿量とも問題なく順調な経過をたどっていました。
9月に入り待望の飲ませる糖尿病治療薬が発売されましたのでインスリン注射からの切り替えを考え来院していただきました。
1日2回注射でチクリチクリされるよりも1回の内服で済めばそちらの方がいいですもんね。
それで現在の状況を確かめるためGLU(血糖)およびFRU(フルクトサミン)の測定を実施しました。
フルクトサミンはおおざっぱに言いますと過去2~3週間の血糖値の平均値のようなものでその期間に糖尿病が上手くコントロールできていたかの指標になります。
その結果です。
インスリン投与開始から25日目

下はインスリン注射治療開始2週間目と初診時の結果です。
2週間目

初診時

検査で出たフルクトサミンの解釈は以下の通りです。

健康な猫ちゃんのフルクトサミンの基準値は191~349μmol/Lです。
したがって初診時の485は糖尿病を疑います。
インスリン投与開始から2週間目の340は治療によって上手く糖尿病のコントロールが出来ていることを示しています。
そして今回の結果285は
①外から注射でインスリンを投与しなくても自前のインスリンで血糖値がコントロールできるようになった。
②あいかわらずインスリンの投与は必要な状況が続いてはいるのですが「非常に」上手く糖尿病がコントロールされている。
③インスリンが効きすぎて低血糖状態が続いていた。
の3つの可能性が考えられます。
③の低血糖状態はとても危険な状況でとても普通に生活を続けることはできません。現在元気食欲もあることから除外しました。
②は同時に測定したGLU:血糖値が150mg/dlでした。これは直前のインスリン投与から12時間後の値です。通常インスリン投与が必要な糖尿病の猫ちゃんでは前回投与から12時間も経過していますと血糖値がもう少し高くなっている事が多いように感じています。
ですので今回のフルクトサミン値285は①の可能性と一旦解釈しました。
そこでインスリンの投与も内服薬への切り替えもおこなわずに経過観察をしていくこととなりました。
次回に続きます。