7月5日のブログで紹介しました保護猫クロちゃん(妻の友人が保護しました)ですが、先日退院していきました。
健康チェックのため病院でお預かりし当初は経過観察を1週間くらいおこない帰す予定でした。
たた色々ありその期間が1か月半近くになってしまいました。
一つは食欲は示すのですがなんとなく食べ方がおかしく、途中で食べるのを休憩する事でした。
それで口を開けてなかを覗いて見たときの画像が上のものです。
本来薄いピンク色の「のど」の入り口が真っ赤に炎症をおこしています。
歯肉も炎症を起こしていました。
食べる時にフードが炎症部にあたり痛いので食べ方がゆっくりになっていたのでしょう。
歯肉口内炎と診断しました。
治療としてはさまざまな方法があり大きく分けて内科療法と外科療法にわかれます。
内科療法は抗炎症薬や抗生剤、インターフェロンというお薬で炎症を抑えていきます。
外科療法は炎症の刺激となってしまう歯を一部あるいは全部抜いてしまうという方法です。
抜歯の理由は歯はバイキンや汚れが付着し炎症刺激の温床となってしまうからです。
ただいきなり歯を抜くということはなかなかできず、まずは歯のおそうじ(歯石・歯垢除去)をしたり内科療法からということが多いです。
今回もステロイドと抗生剤、インターフェンαというお薬の投与から治療を開始しました。
治療開始直後から休憩することなくスムーズに食べるようになりました。
猫の歯肉口内炎にはエイズウィルス、白血病ウイルス、カリシウイルス、ヘルペスウイルスといったウイルスの関与が指摘されておりその中でもカリシウイルスが原因となっていることが多いようです。
これらのウイルス感染があると抵抗力を下げる作用のあるステロイドの投与は慎重にしなければなりませんがエイズウィルス、白血病ウイルス、カリシウイルスは検査を行ったのですが陰性でした。
下はカリシウイルスの検査結果です。結果は陰性でした。
内科療法で痛みを感じず食べだしてくれたことは良いことなのですが、ステロイドの使用はさまざまな弊害(クロちゃんにも現れました)もあることから現在は早期の段階からの外科療法の選択も視野に入れた方が良いようです。
妻の友人にも自宅に連れて帰りクロちゃんが新しい環境になれてきた頃を見計らって、歯科専門医を受診し外科適応かどうか判断を仰ぎましょうと伝えています。
クロちゃんに現れた弊害については次回お話します。