みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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排便困難②

カテゴリ : 消化器



大腸の太さが普通の2~3倍くらいになってしまった猫ちゃんのレントゲン写真です。

この猫ちゃんは子猫の時に何らかの事故で脊椎を損傷していました。そしてその後遺症から排便に問題を生じ常に便秘気味でした。

対策として便秘対応の療法食を利用していただき、最初は少量の硬い便ではありましたが毎日排便しておりました。

それがやがて2日に1回、3日に1回と不規則な排便状態となりました。

あまりにも便秘がひどくなり食欲・元気に問題を生じるような時には浣腸をしたり鎮静剤を注射し指で便をかきだしたりしていました。

上の画像は1週間排便がなかった時のものです。分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。

普通大腸の太さはこれの半分~3分の1位です。


大腸がレントゲンのような状態にまでなり尚且つ排便が全くなされないような状況では、便秘用のフードの利用はかえって問題を悪化させてしまいます。

というのは便秘用のフードは可溶性繊維・不可溶性繊維がバランスよく配合されていて、便に水分をひきつけ便を軟化させたり大腸を適度に刺激したりして便秘の解消につながるのですが通常のフードより便量が増えてしまいます。

全く便が出ない猫ちゃんにはかえって負担となってしまいます。

そこでこの猫ちゃんには前々回のブログでお話ししました他のフードと比べてわずかながら便量の少なくなるフードと便の軟化剤を処方しました。

現在2~3日に1回くらいの排便ペース、日によっては連続して二日排便することもあるようです。

現在のレントゲン写真です。



分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。大腸の太さが通常くらいとなりました。

今後この状態が維持できるか経過を見守っていきます。




2022-10-05 09:00:00

アニメ 「夜は猫といっしょ」

カテゴリ : その他



ねこ医学会という会に参加しているのですが先日「夜は猫といっしょ」というアニメのポスターが送られてきました。

今年の8月上旬からyou tubeで毎週水曜日に配信されています。

1話約1分間程のアニメで、兄フータくんの所に妹ピーちゃんが猫のキュルガを連れて引っ越ししてくるところから物語が始まります。

毎話、何げない生活ので猫がどのように飼い主に接するかかがほのぼのと描かれています。

猫好きには「あるある」が満載で、これから猫を飼ってみようかなと考えている人には猫の習性を知る良い機会となるのではないでしょうか。

エンドクレジットに出てくる脚本・演出の芦名みのるさんは臨床獣医師さんだそうです。

ポストカードも同封されていました。

受付に置いてありますのでご自由にお持ち帰り下さい。

2022-09-28 09:00:00

排便困難

カテゴリ : 消化器




ある日「急に食べたものを嘔吐し、その後胃液を吐き続けている。食欲もない。昨日までは普通だった。」という猫ちゃんが連れてこられました。

問診や触診、検査の結果から肝疾患と診断し治療を始めました。

肝疾患と診断した理由は肝臓に何らかの問題があると血液検査でALT(GPT)という成分が異常値を示すのですが、初診時にALTの値以外は他に目立った異常が見つからなかったからです。

実際猫ちゃんでも急に肝臓に負担がかかり(負担がかかるとALTが上昇したりします)、結果嘔吐・食欲不振につながることが結構あるからです。

そこで治療を開始したのですが反応はあまりよくありませんでした。嘔吐は治まったのですが、1日にチュールをがんばって3~4本食べるのがやっと、軟便・下痢もおこすようになったという状況でした。

その後何とかドライフードも食べてくれることがわかりましたので、軟便対策として下痢・軟便用の病院食も与えてもらうようにしました。

ドライフードに切り替えた数日後「2日間便をしていない。きばるが出ない、途中であきらめてトイレから出てくる」という説明がありました。

この時に初診時「硬い便を少しづつしていた」というオーナー様がされていたお話に思いが至りました。

もう一度初診時のレントゲン(上の画像です)を確認してみますと何やら便が肛門の手前でせき止められているようにも見えます。

理解していただきやすいよう矢印をつけてみます。下の画像です。




オレンジのラインが直腸でその中身が便でなのですが、ピンクの矢印のところでせき止められています。

肛門から人差し指を入れると1cmくらい進んだところ、ちょうど矢印のところで直腸が巾着袋の入口を閉めたように狭窄しておりそれ以上指を進めることができません。

この猫ちゃんには本当に申し訳のない事であったのですが、体調がすぐれなかった主たる原因は肝臓の不調ではなく、この直腸の狭窄により便が出づらいためであったとこの時に気づきました。

チュールだけの時は正常な硬さの便にならず、量もさほど多くなかったので軟便として何とか狭窄部を通過していたものが、ドライフードを食べるようになって正常な硬さ・ある程度の便量になってしまったので狭窄部を通過出来ず2日間便が出なかったのでしょう。

オーナー様にお願いし二次病院で精査を受けていただきました。

狭窄部での腫瘍の発生が心配だったのですがそうではありませんでした。



治療としては狭窄部の外科切除や人工肛門の設置などが提案されましたが、オーナー様の希望により保存療法としました。

具体的には他製品よりも便量の少なくなる下記ドライフードと、ラクツロースと呼ばれる便を軟便ぎみにする水薬りを使用していただくこととしました。

現在、食欲・排便(軟便状態ですが)ともに問題ないようです。





2022-09-21 09:00:00

乳腺腫瘍:リンパ節の切除

カテゴリ : 腫瘍



上の画像は乳腺を切除する時に付属するリンパ節をとっている様子を撮影したものです。

猫ちゃんの乳腺はワキの下から始まり後ろ足の付け根まで続いていますが、乳腺腫瘍の時は腫瘍のある箇所だけを切除するのではなく乳腺すべてを切除します。

と言うのは猫ちゃんの乳腺腫瘍はそのほとんどが悪性で触ってみて何ら変化の無い箇所にも既に細胞レベルでがん細胞が転移をしている可能性があるため、その取り残しをできるだけなくすためです。

下の画像で黒い線で囲ったところをすべて切除します。


乳腺をすべて切除することともう一つ大切なことは付近のリンパ節も一緒に切除することです。

リンパ節は細菌やウイルス、がん細胞が周囲に広がっていかないように関所のような働きをしています。

リンパ節を一緒にとるのは既にがん細胞をとらえているかもしれず、そのままにしておくと一部が転移してしまうかもしれないからです。

乳腺ではワキの下と後ろ足の付け根付近にリンパ節があります。

ワキの下には2か所あるのですが、一番上の画像ではその一つ「副腋窩(ふくえきか)リンパ節」をとっています。

とれた「副腋窩リンパ節」です。




術後の画像です。



2022-09-14 09:01:00

涙目の猫

カテゴリ : 眼



ある日「数日前から右目が涙目になっている。」という猫ちゃんが連れてこられました。

上の画像はその時のものですが、右目の下まぶたの縁があふれ出た涙で濡れています。



上のまぶたをひっくりがえしてみますと裏側が腫れあがっていました。画像には写っていないですが白目の部分も真っ赤に充血していました。

このような時「逆まつげでもあって目を刺激しているのかな」とか「何か目の表面に傷でもあるのかな」とか「バイキンが入って炎症を起こしているのかな」などと考え診察に入ります。

最近は室内飼いの猫ちゃんが多くめったに見かけないのですが自由散歩に出かける猫ちゃんですとまぶたの裏側に東洋眼中という寄生虫が住みつき悪さをしていることもあります。この猫ちゃんは完全室内飼いですのでその心配はなさそうでした。

視診では逆まつげはなさそうでした。

ある染色液を目の表面に垂らした時に傷があれば緑色に染まるという検査があるのですがそれも問題ありませんでした。

また必ずではありませんがバイキンが入り炎症を起こしている時は「あおっぱな」のような目やにを伴う事が多いと考えているのですがそれも認められませんでした。

このような時にもう一つ「ヘルペスというウイルスが悪さしているのかな」と考えたりします。

ヘルペスは猫ちゃんに激しいカゼのような症状を起こすウイルスですが一度かかってしまうと、カゼの症状が治まってからもウイルスは無くならず目の近くの神経に住み着いて時々目の表面に出てきて色々な悪さをします。

そこでヘルペスウイルス用の目薬を1週間点眼していただきました。



この目薬は1日6回の点眼と大変なのですが、その甲斐があってか1週間後に涙目は改善されていました。

2022-09-07 09:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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