先月画像のスコティッシュさんがワクチン接種のためご来院されました。
当院では室内飼いで多頭飼育ではない猫ちゃんに対しては今年からワクチンの接種を1年ごとから3年ごとに変更させていただいております。
このスコティッシュさんのオーナー様にもその理由をご説明し2年後の接種予定としました。
ところで3年ごとの接種になりますと病院に来院していただく機会が減ってしまいます。
当然病院を利用する機会は少ない方が良いのですが、病気の早期発見という視点にたちますとその機会が損なわれてしまいます。
ワクチン接種時のオーナー様の何気ないお話から病気が診断つながることが結構あるからです。
そこで病気の早期発見につなげるために当院では年齢にかかわらず若い時期からでも年1~2回健康診断でご来院していただく事を推奨しています。
このスコティッシュさんもワクチン接種を取りやめ健康診断を実施することになりました。
お話を聞く限りでは特に困っているようなことはないようで、触診や聴診、血液検査も問題ありませんでした。
ところが心エコー検査でスコティッシュさんに多い肥大型心筋症という状態になっていることがわかりました。
心臓の壁が分厚くなっており将来問題となってくる可能性があります。あくまでも可能性です。
上2枚の画像は主に心臓の壁の分厚さを何か所かで測定しています。例えば上側の画像では心臓の壁の厚さがある場所では6.2㎜、ある場所では7.1㎜となっています。
心臓の壁の厚さが6㎜以上になってくると肥大してきていると考えます。
この上の画像は心臓の左心房と呼ばれる場所の大きさを調べています。
肥大型心筋症の症状が進むとその場所が段々大きくなり様々な問題を起こすようなるのでその状態を見ておくのですが今は問題ないようです。
LA/AOという数字が1.46となっています。この数字が1.6を超えてくると要注意です。
この上の画像は心臓から大動脈へ血液が流れていく場所で血液の速度を測定しています。
カタカナの「エ」みたいなマークがありますよね、その場所で測っています。
この場所の血液の速度が速くなってきたらお薬を開始する一つの指標になるのですが今は問題ないようです。
また高血圧が心筋肥大につながることがあるのですが血圧は正常でした。
このスコテッッシュさんは肥大型心筋症がありますがしばらくは治療の必要がなく経過観察で行きましょうということが言えます。