みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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変形性関節症バイオマーカー CⅡネオエピトープ

カテゴリ : 運動器:関節や骨





7月10日のブログで「健康診断時の血液検査は100ある病気の中で30ぐらいの病気しか見つけてあげることができません。例えば高齢のワンちゃんや猫ちゃんを苦しめることになる腫瘍性の疾患がそうで発見には基本的には画像診断が必要です。」との話題をしました。

腫瘍性疾患と同じように高齢のワンちゃんや猫ちゃんを苦しめている病気に変形性関節症があります。

関節の軟骨に障害がおこることにより痛みが生じます。

痛みは生活の質を著しく下げてしまいます。

この病気の検出にもやはりレントゲン検査などの画像診断が必要なのですが初期の頃は画像上の変化が乏しく気づいてあげられないこともあります。

ところがこの病気は尿中の「CⅡNE:Ⅱ型コラーゲンネオエピトープ」という成分を調べることで初期の段階から検出することが可能となってきました。

変形性の関節症の痛みは関節の軟骨が障害を受けすり減ることで発生するのですが、関節の軟骨がすり減ると尿中のCⅡNEが増加することが分かっています。

今回7歳の猫ちゃんと20歳の猫ちゃんの飼い主様にそれぞれご協力いただき検査を実施してみました。

その結果が上の画像です。

二人とも検査結果がそれぞれ1.5pM/mg、1.9pM/mgと基準値の0.8pM/mgを超えていますので軟骨の障害があることが分かります。

実はこの猫ちゃん達は普段から明らかに足をかばっていることが一目でわかる子たちです。

この検査の本来の利用方法としては「まだあきらかに足をかばったりしていない子で実施し異常が認められ場合には早い目に対応してあげましょうね」というものになります。
2024-08-07 07:00:00

治らない巻き爪の傷跡  悪性黒色腫(メラノーマ)

カテゴリ : 腫瘍


先週のブログでは白猫さんの扁平上皮癌についてのお話でしたが、今回は「白」ではなく「黒」にまつわる腫瘍のお話です。

ある日「巻き爪が指に食い込んで怪我をしている」とのことでキジ猫さんが連れてこられました。

診てみますと前肢の指の爪が巻き爪状態になり先端が肉球に食い込んでいました。

これは頻繁に見かけるトラブルでこのような場合は爪を切り消毒、(状況により)化膿止のお薬の投与を行えば1週間くらいで傷はよくなります。

1週間後オーナー様から「傷口が乾いてきてよくなってきている」との電話連絡があり「あーそうですか良かったですね」となりました。

すかりその事が頭から離れていたさらに1週間後「まだすっきりしない」との連絡があり「おかしいなぁ」と診せていただいたのが上の画像です。(爪の食い込みはよくあるトラブルなので特に初診時は状況をカルテに記載したのみで画像は残していませんでした)

肉球の爪の食い込んでいた箇所がまだグジュグジュしています。

オレンジのラインで囲ってみます。



少し嫌な予感がしました。

それはメラノサイトという細胞(メラニン色素を作る細胞)が腫瘍化しているのではと思えたからです。

メラノサイトが腫瘍化したものをメラノサイト腫瘍と呼ぶのですがそれには悪性のものもあれば良性のものもあります。

それで先ずはメラノサイト由来の腫瘍であるかどうかを確かめるためにスタンプ細胞診という簡易検査を実施しました。

この検査では悪性、良性の区別は出来ません。



結果はメラノサイトが由来の腫瘍でした。





オーナー様には悪性、良性の判断や治療方針の決定のために腫瘍科のある二次病院を受診していただきました。

※二次病院受診の結果、腫瘍は猫ちゃんではまれな「皮膚の悪性黒色腫(メラノーマ)」との診断でリンパ節への腫瘍細胞の浸潤(あまり良くない出来事)も認められました。

外科切除が実施されました。

2024-07-31 07:00:00

耳の治らない傷 白猫さんの扁平上皮癌

カテゴリ : 腫瘍


この前までは「あれまだ梅雨なの?」といった感じでしたが、急に息苦しくなるくらいの暑い日が続くようになりましたね。

昼間外に出ると肌がジリジリ痛いです。紫外線が心配になりますよね。

それで少し前の出来事を思い出しました。

ある日「消毒をしいてますが耳の傷が治りません。もう1か月くらい経過しています。」との事で白猫さんが連れてこられました。

お話を聞いてみますと白猫さんでしかも外猫(保護猫)さんという事でしたので少し嫌な予感がしました。

それはある癌の事が頭に浮かんだからです。

外猫さんは室内猫さんに比べて圧倒的に紫外線を浴びています。

この紫外線の影響で耳や鼻、瞼に「扁平上皮癌」という癌が出来ることが分かっています。

紫外線から皮膚を保護する働きのあるメラニン色素が少ない白猫さんは特に影響を受けやすいのです。

傷口から組織を少し取り病理検査を実施したところやはり心配していた「扁平上皮癌」でした。

室内猫さんでも発生します。

少しオーバーかもしれませんが日向ぼっこや窓辺から外を眺めるのが好きな猫ちゃん特に白猫さんの場合は紫外線対策も考えてあげてくださいね。
2024-07-24 07:00:00

猫の糖尿病新薬・センベルゴ、飲む治療薬

カテゴリ : 内分泌:ホルモンの異常や糖尿病


本年6月12日のブログで紹介しました糖尿病の猫ちゃんですが治療開始からおよそ一か月のフルクトサミン値を測定したところ以下の結果を得ました。

フルクトサミン値は簡単に言いますと過去2~3週間の血糖値の平均を表すような数値でその期間に糖尿病が上手にコントロール出来ていたかどうかを見る指標になります。



今回276μmol/Lという結果でこれはインスリンの投与が必要でなくなった可能性があります。

そこで一度インスリンの投与を中止するとともに再度リブレを装着し血糖値の変化を追いながら2週間後にもう一度フルクトサミンを測定してみました。



リブレで血糖値の変化を見てみますと治療を要するほどの高血糖になっている時間帯は無く、2週間後のフルクトサミン値は262μmol/Lでした。



以上の結果から糖尿病が寛解(完治ではありません)し現在のところインスリンの投与は必要なくなったと判断しました。

これは何故でしょうか?

猫ちゃんの糖尿病は人間の2型糖尿病に近いと言われています。2型糖尿病は生活習慣の乱れの結果(例えば肥満で)インスリンが出にくくなったりインスリンが効きにくくなったりすることで発症するのですが、自分の体からインスリンが全く出なくなったわけではありません。

インスリンは太るためのホルモン(体の細胞が糖分:エネルギーを取り込むためのホルモン)とも言われており、肥満の子は普通の体重の子に比べてインスリンが必要以上に分泌されている状態とも言えます。

そうするとやがてインスリンを分泌している膵臓が疲れてしまいインスリンの出が悪くなり血糖値がコントロールできなくなり糖尿病が引き起こされるのです。

猫ちゃんの場合は糖尿病の治療で外部からインスリンを投与してあげるとそれは膵臓を休憩させる時間をつくってあげることになります。その結果再度自身で十分なインスリンを出すことが可能になり糖尿病が寛解することがあるのです。

今回の猫ちゃんもインスリンの十分な分泌が再開されたものと考えられます。

前置きが随分長くなりましたが、このインスリンが分泌はされているという2型糖尿病の性質を利用した全く新しい糖尿病治療薬が9月1日より利用できるようになります。人では以前より普通に利用されています。

このお薬は血液中の余分な糖分をおしっこと一緒に捨てることで高血糖値状態が継続しないようにし膵臓を疲れさせないようにして自前のインスリンの分泌を程よく保っていきましょうという戦略のようです。

これは画期的なお薬になりそうです。

1日1回の内服薬となりますので今までのインスリン注射のように毎回猫ちゃんはチクっとされる必要がなくなり痛い思いをせずに済みオーナー様の心理的負担もかなり軽減されるのではないでしょうか。

また細胞への糖分:エネルギーの取り込みは自前のインスリンに頼りますので
インスリンの過剰投与によりおこる危険な低血糖の心配もないようです。

さらにインスリンの投与量はその子その子によって違うため適切な量が決まるまで時間がかかるのですがこのお薬は体重当たりで投与量が決まっているので余分な時間を省くことができます。

インスリン量決定の為にリブレなどを装着し血糖値の変化を追うようなことが基本必要ないという事になりそのための費用も節約できます。

現在インスリン投与中の猫ちゃんもこのお薬への切り替えが可能です。

このお薬は余分な糖分をおしっこに捨てる作用しかありませんので糖分の細胞への取り込みは自前のインスリンに頼らなければなりません。ですのでインスリンが全く出ていないいわゆる1型糖尿病のタイプ(ワンちゃに多い)の子には利用できません。

以上のお薬の作用についての説明は先日製薬メーカーに電話で問い合わせて聞いたものになります、9月にセミナーがありますのでメリット・デメリット合わせてさらに詳しいお話を聞いてこようと思います。
2024-07-17 08:00:00

健康診断を受けていますか?:猫の肺腺癌

カテゴリ : 腫瘍


当院ではワンちゃんも猫ちゃんも年齢にかかわらず年1~2回の健康診断をお勧めしています。

健康診断の検査内容としては先ずは血液検査を皆さん思い浮かべられるのではないでしょうか。

血液検査は健康診断では必ず受けていただきたい検査ではあるのですが100の病気があるとしてその中の30くらいの病気しか検出してくれないと言われています。

例えば癌です。

人間の場合、腫瘍マーカーを血液検査でとらえることで癌の検出につなげることが可能ですがワンちゃんや猫ちゃんの場合は基本的には画像診断が必要となります。

※ただし最近ワンちゃんについては腫瘍マーカーの測定が実施可能になり癌の早期発見に利用できるようになってきました。

画像診断には麻酔なしで行えるレントゲン検査、エコー検査とワンちゃん猫ちゃんでは基本麻酔が必要となる内視鏡検査、CT検査、MRI検査などがあります。

当院ではレントゲン検査、エコー検査が実施可能です。

さらなる画像検査が必要な場合は高度医療の提供が可能な二次病院を紹介させて頂いております。

上の画像はある猫ちゃんの健康診断時の胸部レントゲン検査で心蔵の拡大と肺に影が見つかりました。

同時に実施している血液検査には異常は認められませんでした。

画像に説明を入れてみます。



心臓の拡大に関しては院内のエコー検査で肥大型心筋症との診断をすることできました。

一方肺の影に関してはそこに異常があるということはレントゲン検査でわかるのですがそれが炎症性の疾患であるのか腫瘍性の疾患であるのかなどの区別はできません。

確定診断にはCT検査、気管支内視鏡検査、気管支洗浄検査、病理組織検査などの検査を組み合わせて行う必要がありますので二次病院を紹介させていただきました。

そこで呼吸器科を備えている二次病院を受診していただきました。


(二次病院でのCT検査画像です。青いラインで囲った部位がレントゲン画像の 
 陰に相当する箇所です)

いくつかの検査から「腫瘍の可能性が高い」との判断となり摘出手術が実施されました。

病理組織検査の結果、肺の影は「肺腺癌」との診断でした。

レントゲン検査を加えて頂いたことが癌の発見につながりました。

※癌の摘出手術後は引き続き抗がん剤療法がおこなわれ非常に良い経過だったのですが、心臓病の急な発作がおこり残念ながら天国に旅立ってしまいました。
2024-07-10 07:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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