
※fPL 猫ちゃん用膵炎検査キット
猫の糖尿病治療では、「ちゃんとコントロールできているかどうか」がとても大切です。
おうちでチェックできるポイントとしては、
・お水を飲み過ぎていないか
・体重が減ってきていないか
といった点があります。
※糖尿病がうまくコントロールできていないと、喉が渇いて水をたくさん飲むようになったり、体重が減ってきたりします。
病院でのチェック:フルクトサミンってなに?
病院では、こうしたご家庭での観察に加えて「フルクトサミン」という血液検査の値を確認します。
この値は、「過去2~3週間の血糖値の平均的な状態」を反映してくれるものです。
たとえば、インスリンで治療している場合、
- フルクトサミンの値が高すぎる → 「インスリンが足りてないのかも」
- フルクトサミンの値が低すぎる → 「インスリンが効きすぎてるかも」
というふうに判断して、投与量を調整していきます。
実際のケース:体重減少と飲水量増加
最近、糖尿病の治療がうまくいっていた猫ちゃんの飼い主さんから、
「最近ちょっと痩せてきた気がするんです。お水もたくさん飲みます」
とのご相談がありました。
以前は**フルクトサミン336(良好)だったのですが、再検査で402(やや高め)**に上昇していました。


この時点で“可”ではあるものの、「体重が500g減少」「お水の量が増えている」という点を考慮し、インスリン量を1単位だけ増量しました。
ところが、さらに悪化?
2週間後に再チェックすると、フルクトサミンは425まで上昇。

体重は下げ止まりましたが、水を飲む量は相変わらず多いとのこと。
このまま**450を超えると「コントロール不良」**と判断しなければなりません。
考えられる原因:インスリン抵抗性?
ここで、「インスリン抵抗性の糖尿病になっているのでは?」という疑いが出てきました。
飼い主さんのお話では「最近よく吐く」とのことだったので、**膵炎(すいえん)**のチェックを行いました。
糖尿病と膵炎は、膵臓に関わる病気同士。併発していることも少なくありません。
検査では、**ややグレーながら「膵炎の可能性あり」**という結果。
※ブログの冒頭の画像
膵炎と糖尿病、どう関係するの?
膵炎は痛みをともなう炎症で、体がストレスを感じると「ストレスホルモン」が分泌されます。
このホルモンは、インスリンの働きを邪魔してしまい、「インスリン抵抗性」の状態になります。
つまり、同じ量のインスリンでは効きにくくなってしまうのです。
また、膵臓で炎症が起きると、インスリンを作る細胞そのものが傷ついてしまうことがあります。
もともとわずかに分泌されていたインスリンが、さらに減ってしまった可能性も考えられます。
そのほかの原因も確認
今回は、
- 副腎の腫れ(ストレスホルモンが出すぎる病気)
- 歯石や毛玉などの慢性的ストレス
といったインスリン抵抗性の原因も確認しました。
副腎はエコーで問題なし。
歯石などの慢性ストレスも今後の観察対象です。
今回の対応
今回は、
- インスリンの投与量をさらに増量
- 膵炎の治療(制吐剤・制酸剤・痛み止め)
を組み合わせて、猫ちゃんの不快感とストレスを軽減しながら、様子を見ていくことになりました。
最後に:おうちでできるチェック、大切です
猫の糖尿病管理では、
**「お水の量」「体重の変化」**といったご家庭での観察がとても重要です。
「ちょっと気になるな」ということがあれば、ぜひお気軽にご相談くださいね。












