みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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耳の治らない傷 白猫さんの扁平上皮癌

カテゴリ : 腫瘍


この前までは「あれまだ梅雨なの?」といった感じでしたが、急に息苦しくなるくらいの暑い日が続くようになりましたね。

昼間外に出ると肌がジリジリ痛いです。紫外線が心配になりますよね。

それで少し前の出来事を思い出しました。

ある日「消毒をしいてますが耳の傷が治りません。もう1か月くらい経過しています。」との事で白猫さんが連れてこられました。

お話を聞いてみますと白猫さんでしかも外猫(保護猫)さんという事でしたので少し嫌な予感がしました。

それはある癌の事が頭に浮かんだからです。

外猫さんは室内猫さんに比べて圧倒的に紫外線を浴びています。

この紫外線の影響で耳や鼻、瞼に「扁平上皮癌」という癌が出来ることが分かっています。

紫外線から皮膚を保護する働きのあるメラニン色素が少ない白猫さんは特に影響を受けやすいのです。

傷口から組織を少し取り病理検査を実施したところやはり心配していた「扁平上皮癌」でした。

室内猫さんでも発生します。

少しオーバーかもしれませんが日向ぼっこや窓辺から外を眺めるのが好きな猫ちゃん特に白猫さんの場合は紫外線対策も考えてあげてくださいね。
2024-07-24 07:00:00

猫の糖尿病新薬・センベルゴ、飲む治療薬

カテゴリ : 内分泌:ホルモンの異常や糖尿病


本年6月12日のブログで紹介しました糖尿病の猫ちゃんですが治療開始からおよそ一か月のフルクトサミン値を測定したところ以下の結果を得ました。

フルクトサミン値は簡単に言いますと過去2~3週間の血糖値の平均を表すような数値でその期間に糖尿病が上手にコントロール出来ていたかどうかを見る指標になります。



今回276μmol/Lという結果でこれはインスリンの投与が必要でなくなった可能性があります。

そこで一度インスリンの投与を中止するとともに再度リブレを装着し血糖値の変化を追いながら2週間後にもう一度フルクトサミンを測定してみました。



リブレで血糖値の変化を見てみますと治療を要するほどの高血糖になっている時間帯は無く、2週間後のフルクトサミン値は262μmol/Lでした。



以上の結果から糖尿病が寛解(完治ではありません)し現在のところインスリンの投与は必要なくなったと判断しました。

これは何故でしょうか?

猫ちゃんの糖尿病は人間の2型糖尿病に近いと言われています。2型糖尿病は生活習慣の乱れの結果(例えば肥満で)インスリンが出にくくなったりインスリンが効きにくくなったりすることで発症するのですが、自分の体からインスリンが全く出なくなったわけではありません。

インスリンは太るためのホルモン(体の細胞が糖分:エネルギーを取り込むためのホルモン)とも言われており、肥満の子は普通の体重の子に比べてインスリンが必要以上に分泌されている状態とも言えます。

そうするとやがてインスリンを分泌している膵臓が疲れてしまいインスリンの出が悪くなり血糖値がコントロールできなくなり糖尿病が引き起こされるのです。

猫ちゃんの場合は糖尿病の治療で外部からインスリンを投与してあげるとそれは膵臓を休憩させる時間をつくってあげることになります。その結果再度自身で十分なインスリンを出すことが可能になり糖尿病が寛解することがあるのです。

今回の猫ちゃんもインスリンの十分な分泌が再開されたものと考えられます。

前置きが随分長くなりましたが、このインスリンが分泌はされているという2型糖尿病の性質を利用した全く新しい糖尿病治療薬が9月1日より利用できるようになります。人では以前より普通に利用されています。

このお薬は血液中の余分な糖分をおしっこと一緒に捨てることで高血糖値状態が継続しないようにし膵臓を疲れさせないようにして自前のインスリンの分泌を程よく保っていきましょうという戦略のようです。

これは画期的なお薬になりそうです。

1日1回の内服薬となりますので今までのインスリン注射のように毎回猫ちゃんはチクっとされる必要がなくなり痛い思いをせずに済みオーナー様の心理的負担もかなり軽減されるのではないでしょうか。

また細胞への糖分:エネルギーの取り込みは自前のインスリンに頼りますので
インスリンの過剰投与によりおこる危険な低血糖の心配もないようです。

さらにインスリンの投与量はその子その子によって違うため適切な量が決まるまで時間がかかるのですがこのお薬は体重当たりで投与量が決まっているので余分な時間を省くことができます。

インスリン量決定の為にリブレなどを装着し血糖値の変化を追うようなことが基本必要ないという事になりそのための費用も節約できます。

現在インスリン投与中の猫ちゃんもこのお薬への切り替えが可能です。

このお薬は余分な糖分をおしっこに捨てる作用しかありませんので糖分の細胞への取り込みは自前のインスリンに頼らなければなりません。ですのでインスリンが全く出ていないいわゆる1型糖尿病のタイプ(ワンちゃに多い)の子には利用できません。

以上のお薬の作用についての説明は先日製薬メーカーに電話で問い合わせて聞いたものになります、9月にセミナーがありますのでメリット・デメリット合わせてさらに詳しいお話を聞いてこようと思います。
2024-07-17 08:00:00

健康診断を受けていますか?:猫の肺腺癌

カテゴリ : 腫瘍


当院ではワンちゃんも猫ちゃんも年齢にかかわらず年1~2回の健康診断をお勧めしています。

健康診断の検査内容としては先ずは血液検査を皆さん思い浮かべられるのではないでしょうか。

血液検査は健康診断では必ず受けていただきたい検査ではあるのですが100の病気があるとしてその中の30くらいの病気しか検出してくれないと言われています。

例えば癌です。

人間の場合、腫瘍マーカーを血液検査でとらえることで癌の検出につなげることが可能ですがワンちゃんや猫ちゃんの場合は基本的には画像診断が必要となります。

※ただし最近ワンちゃんについては腫瘍マーカーの測定が実施可能になり癌の早期発見に利用できるようになってきました。

画像診断には麻酔なしで行えるレントゲン検査、エコー検査とワンちゃん猫ちゃんでは基本麻酔が必要となる内視鏡検査、CT検査、MRI検査などがあります。

当院ではレントゲン検査、エコー検査が実施可能です。

さらなる画像検査が必要な場合は高度医療の提供が可能な二次病院を紹介させて頂いております。

上の画像はある猫ちゃんの健康診断時の胸部レントゲン検査で心蔵の拡大と肺に影が見つかりました。

同時に実施している血液検査には異常は認められませんでした。

画像に説明を入れてみます。



心臓の拡大に関しては院内のエコー検査で肥大型心筋症との診断をすることできました。

一方肺の影に関してはそこに異常があるということはレントゲン検査でわかるのですがそれが炎症性の疾患であるのか腫瘍性の疾患であるのかなどの区別はできません。

確定診断にはCT検査、気管支内視鏡検査、気管支洗浄検査、病理組織検査などの検査を組み合わせて行う必要がありますので二次病院を紹介させていただきました。

そこで呼吸器科を備えている二次病院を受診していただきました。


(二次病院でのCT検査画像です。青いラインで囲った部位がレントゲン画像の 
 陰に相当する箇所です)

いくつかの検査から「腫瘍の可能性が高い」との判断となり摘出手術が実施されました。

病理組織検査の結果、肺の影は「肺腺癌」との診断でした。

レントゲン検査を加えて頂いたことが癌の発見につながりました。

※癌の摘出手術後は引き続き抗がん剤療法がおこなわれ非常に良い経過だったのですが、心臓病の急な発作がおこり残念ながら天国に旅立ってしまいました。
2024-07-10 07:00:00

群衆の中の猫

カテゴリ : その他


もう7月だというのに梅雨なのか梅雨が開けたのかなんだかはっきりしない日が続いていますね。
  
皆さん自宅への帰り道、特定のある場所で猫を見かけることはないですか、じっとこちらをを見つめていてある距離になるとサッと居なくなる。

「今日も居るなぁ。」と思っていたらある日を境に急に見なくなり、忘れたころにまた居合わせたリ「あっ、よかったー」とか「あれこの前のキジトラとは違うんじゃないか・・・」みたいなことありませんか。

飼い猫さんの自由散歩じゃなく地域猫さんだと思うのですが、雨の日なんかは「今日はさすがにいないよなぁ、どこかで雨宿りしているんだろうな、大変だなぁ」と思うのですが、私には保護をして里親を探すような行動力はなく何もできないので次に見かけた時なんかは「あの子はあの子で自身の知恵で生き抜いていてたくましいやんか、何よりも自由だし。」と何か尤もらしい理由をつけて自分に言い聞かせその場をやり過ごしています。

ある時そういう地域猫さんをみかけ尾崎豊のこの曲を思い出しました、曲名を知ったのはずっと後になるのですが。

この曲と言いますか尾崎豊を知ったのは自身が19歳の時でした。既にデビューから4年くらいたっていたと思います。

当時私は浪人中で予備校の授業料捻出の為に和歌山の実家を出て高槻市の新聞店で住み込みで働いていたのですが、同じように専門学校の授業料の為に働いていた同僚から教えてもらいました。

カセットテープに録音してあったものを聴かせてもらったのかライブのビデオを観せてもらったのか記憶があいまいですが衝撃でした。

音楽的には何も新しいことはなかったと思うのですが歌詞の内容がリアルに体に入って来ました。

もちろん中学・高校生時代にもメッセージ性の強い曲を聴いてはいましたが当たり前の事ですが自身より少し上の世代の方が作詞・作曲されてますよね、おそらくその方が若かった60年代、70年代の頃の気分が反映されてますよね、ですので80年代の肌感覚とは微妙なズレがあったかと思います。あと邦楽では今海外で持てはやされている 松任谷由美などのシティ・ポップも好きだったのですが歌詞的にはおしゃれすぎて田舎の学生には現実感がなくて・・・何だか話が脱線してきました。

とにかくほぼ同世代の人間が80年代の若者が感じていたあのモヤモヤした気持ちを的確に言語化していることに驚かされました、しかもメロディも美しく。
(曲自体はバブル期突入前夜に作詞・作曲されていたと思いますので当時は既に時代感覚に少しズレが生じていたかもしれません。)

曲名は有名な「15の夜」とか「卒業」は理解していたのですがその他は理解せず聴いていました。

その中でこの曲はメロディと「家路」とか「やさしく肩を抱きよせよう」とか「君が悲しみに」とか「子猫のように」などの歌詞が頭に残りました。
(このライブバージョンはバラード調ですが元歌はもう少しアップテンポな曲調です。)

それらのワードが頭の片隅に残っていてそれで後年地域猫を見た時にふと頭にこの曲がよぎったのでしょうね。

当時は、配達、勧誘、集金などの業務で疲れてしまい(私の意志の弱さもありますが)勉強どころではなくなっていたのと、一人で寂しかったのでしょうね(家に明かりが灯ったり帰宅する人を見かける夕方に特に感じました)、そんななんともやさぐれた心の中にこの曲が入って来ました。


私はこのあと大学では洋楽を中心に聴くようになり、尾崎豊を聴いていたのはこの浪人時代からの僅か1年くらいでした。

ですのでこの曲のタイトルはずっと知らなかったのですが、最近このyoutube動画を偶然視聴し知るところとなりました。
2024-07-03 07:00:00

慢性気管支炎

カテゴリ : 呼吸器


とある持病で通院されている猫ちゃんの飼い主様から「食欲や元気さは変わらないのですが咳が目立ってきた」とのご相談を受けました。

動画はその時の様子を撮影したものです。

「咳が目立ってきた」とおっしゃるのでよくよくお話を聞いてみますと「はっきりと覚えていませんがもうずいぶん前から時々咳き込んでいました」とのことでした。

レントゲン撮影をしてみますとパソコンやスマフォの画面ではお伝えしづらいのですが「気管支壁の肥厚」という状況が見受けられました。



咳はずいぶん前からとの事でしたので「慢性の気管支炎による咳」と仮診断しました。

このレントゲンをよく見てみますと右側の肺の真ん中あたりに影を認めます。
オレンジのラインで囲った箇所です。


これは炎症の結果であるかもしれませんし腫瘍であるかもしれません。

その鑑別には二次病院での精査が必要なのですが、猫ちゃんが20歳と高齢であることから負荷のかかる検査や治療は希望されませんでした。

そこで対症療法としてステロイドという炎症を抑える作用のあるお薬と気管支拡張剤というお薬で咳をコントロールしていくことにしました。
2024-06-26 07:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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