みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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慢性気管支炎

カテゴリ : 呼吸器


とある持病で通院されている猫ちゃんの飼い主様から「食欲や元気さは変わらないのですが咳が目立ってきた」とのご相談を受けました。

動画はその時の様子を撮影したものです。

「咳が目立ってきた」とおっしゃるのでよくよくお話を聞いてみますと「はっきりと覚えていませんがもうずいぶん前から時々咳き込んでいました」とのことでした。

レントゲン撮影をしてみますとパソコンやスマフォの画面ではお伝えしづらいのですが「気管支壁の肥厚」という状況が見受けられました。



咳はずいぶん前からとの事でしたので「慢性の気管支炎による咳」と仮診断しました。

このレントゲンをよく見てみますと右側の肺の真ん中あたりに影を認めます。
オレンジのラインで囲った箇所です。


これは炎症の結果であるかもしれませんし腫瘍であるかもしれません。

その鑑別には二次病院での精査が必要なのですが、猫ちゃんが20歳と高齢であることから負荷のかかる検査や治療は希望されませんでした。

そこで対症療法としてステロイドという炎症を抑える作用のあるお薬と気管支拡張剤というお薬で咳をコントロールしていくことにしました。
2024-06-26 07:00:00

猫ちゃんサマーカット

カテゴリ : お世話

 サマーカット後

少し前にヒマラヤンさんをサマーカットにしました、その時はまだ春でしたが。

通常のトリミング室では受け入れが難しい猫ちゃん達のカットの依頼を数は少ないのですが年に何頭か受けます。

一般的には暑さ対策として実施されることが多いサマーカットですが実施にはメリット・デメリットがあります。

そもそも毛には日差しから身をまもる役割もありカットすることによって直接日が当たり飼育環境によってはかえって暑いかもしれません。また紫外線から肌をまもる効果も薄れてしまいます。

メリットとしては毛玉対策があげられます。

長毛種の猫ちゃんなどで特にお腹側のブラッシが難しく毛玉だらけになってしまう事があります。

毛玉の存在は猫ちゃんには非常にストレスで生活の質の低下につながりますのでサマーカットはその対策として効果があります。

写真のヒマラヤンさんも毛玉対策としてカットを実施しました。

トリマーさんて凄いですよね、どんなに動き回り興奮するワンちゃんでも表現が合っているのか分かりませんがなだめすかしながら手際よくカットを施していかれますよね。

そのトリマーさんたちをもってしても興奮する猫ちゃんのカットは難しいようです。

当院ではオーナー様に「鎮静麻酔をかけての処置になります。カットは私やスタッフで行いますので素人の散髪になります。」とお話しお引き受けしています。

↓ カット前


↓カット直後 鎮静がかかっています。
2024-06-19 07:00:00

糖尿病とフルクトサミン

カテゴリ : 内分泌:ホルモンの異常や糖尿病

  
以前ブログで糖尿病の話題を特に血糖値センサー(リブレ)についての話題をさせて頂いたあとから、糖尿病についてのセカンドオピニオンを求められる機会が何回かありました。

「他動物病院の獣医師と比べて糖尿病について特に詳しいというわけではありませんが宜しいですか」と最初にお断りの上ご相談をお受けしています。

それで全てのケースでそうだったのですがワンちゃんも猫ちゃんも糖尿病の治療を開始されたばかりの飼い主様からのご相談でした。

基本的にワンちゃん猫ちゃんの糖尿病の治療にはインスリン投与が必要なのですがその量がその子その子により違い投与量の決定に時間がかかることが普通に多いのです。

特に猫ちゃんの糖尿病は人間の2型糖尿病に近いと考えられており、生活習慣が原因で単にインスリンが出にくくなっていたり、効きにくくなっていたりするだけのこともあり、そこに外部から投与するインスリの量を合わせていくことの難しさがあります。

インスリン量の決定に少し時間を要する事が飼い主様に不安を生じさせ「他の病院でも聞いてみよう」となるようです。

ご相談を聞いてみますと「私もそちらの先生の治療方針を尊重します。当院でも治療方針は変わらないと思います」ともとの病院での継続治療をお願いするケースがほとんどでした。

今回の画像の猫ちゃんも糖尿病治療が始まって3週間くらいで最初は飼い主様のみでご相談にこられました。

お話を聞く限りでは多飲多尿といった糖尿病に特徴的な症状も改善してきているようでしたので治療は順調なように感じました。

ただ段々と体重が減少(インスリン量が適切でないと体重が減って来ます)してきていることから「もう少しインスリンの投与量を増やしてあげる必要があるのかな」と感じましたのでそうお伝えしたところこの猫ちゃんの性格から入院が難しいとの事でした。

入院が難しいとはどう言う事を意味するかといいますとインスリン投与量の決定には病院でお預かりしある量のインスリンを投与しその後その量で血糖値が適切にコントロールできているかを数時間毎にチェックしていかなければならないのですがそれが難しくインスリン量がきちんと決められないという事です。

それで「自宅で血糖値をチェックしインスリン投与量を決めたいのでリブレを装着してほしい」とのご依頼でした。

そのような事情がありましたので今回はお引き受けすることにしました。

まずお話の印象から糖尿病の治療は上手くいっているように感じられましたので一度フルクトサミンあるいは糖化アルブミンを調べてみられてはと提案しました。

これらの測定値は過去2~3週間のインスリンの投与量が適切であったかどうかをみる指標になります。

ここに問題なければわざわざリブレを装着する必要も転院していただく必要もありません。

下はフルクトサミン(FRU)の測定結果で532μmol/Lです。



この値が450以上の場合はインスリン量の再考が必要という事です。

フルクトサミンの測定結果からインスリン量の再考が必要な事が示されましたので一番上の画像のように血糖値センサーを装着しリーダー(読み取り器)をお貸しし自宅で血糖値の測定をしていただく事にしました。

↓リーダー


下のように自宅での測定結果をメールで送って頂き、電話やメールでインスリン投与量をアドバイスをさせて頂きました。

2024-06-12 07:00:00

猫の介護ハンドブック

カテゴリ : その他

本のご紹介です。

相棒猫ジャックですが今年の四月に推定ですが1歳となりました。

まだ1歳になったばかりだというのに深夜にジャックの寝顔をみていると
「ジャックが死んでしまったらどうしよう」とふと考えてしまうことがあります。

自身の年齢から考えるとその生涯をきちんと見届けてあげられる最後の猫になりそうな事と、今まで8匹の猫と暮らしてきたのですが一緒に出勤するなど今までのどの子よりも親密な時間を過ごしている事がそういうふうにふと思わせてしまうのもしれませんね。

少し寂しい事実なのですが今までの子はどちらかというと妻によりなついていたのじゃないかなぁと思います。

妻は猫に好かれる何かが自然と体から出ており僕はそれを「魔法」と呼んでいます。

ジャックはその魔法をかいくぐって僕に寄って来てくれます。

妻にはよく「魔法をかけないでね」とお願いしていますが・・・

皆さんも一度は自分のペットの最後の時について考えたことがあるのではないでしょうか?

あるいは今まさにその最後の時に向き合われている方もいらっしゃるのでは・・・・

最後の時は必ずどの子にも等しくやってきます。

この本はまだまだ若く元気なペットの飼い主様にはその時が来ても慌てない心構えを示し、今その最後の時に向き合っている飼い主様には心強い助言を与えてくれることでしょう。

介護のさまざまな場面で役立つケア方法が具体的にわかりやすく紹介されています。また弱りゆく動物と向き合い何かと気弱になりがちな飼い主様に執筆者の先生がところどころでかけられる言葉がとても暖かく慈愛に満ちたもので前向きな気持ちにさせてくれます。

第1章の終わりに心に残る言葉がありました。

「私は、最期を迎えるこの子に何をしてあげたらいいのか」というマインドではなく「私は、最期を迎えるこの子に何をしてあげたいか」というマインドへの切り替えが大切ですという言葉です。

これは人はある困難に直面した時に「どうしたらいいんだろう」って色々考えますよね、それでその答えを求めて色々な情報を集め、特に今の時代ならネットに答えを求めることも多いですよね。

それで色々な情報が頭に入って来て、あれもしてあげなきゃこれもしてあげなきゃってなって、それがしてあげられたならまだいいのかもしれませんが、そうでないと自分はあれもしてあげられないこれもしてあげられないって、してあげられたらしてあげられてで本当にこれで良かったのかなって、後悔ばかりですよね。

そうではなくて「こうしたい」って心構えのほうが前向きな気持ちになりそのために本当にすべきことに的がしぼれ、すべきと思い行ったことにも後悔はあるかもしれませんが 、前向きな気持ちで選択した行いですからきっと肯定的な気持ちが心に残るはずです。

執筆者の先生が伝えたかったこととは少しニュアンスが違っていると思いますが僕はこのようにとらえました。実際のニュアンスは皆さん本で確認してみてください。

介護と向き合われている飼い主様はもちろんですが、(各章を通して若いころからの備えの大切さが示されており)今まさに猫ちゃんワンちゃんのお世話を始めた飼い主様にこそお勧めの本です。
2024-06-05 07:00:00

一過性の心筋肥大

カテゴリ : 循環器

※緑の線は心電図です。

糖尿病で来院した猫ちゃんに著しい徐脈(心拍が遅くなること)が認められました。

その状況を確かめるため心臓のエコー検査を実施したところ、心臓の壁(筋肉)が分厚く、また左心房と呼ばれる場所が大きくなっていました。

上の動画はその時のものです。

下の2つの画像はその動画のある瞬間の静止画で心臓の壁(筋肉)の厚さと左心房のサイズを測っています。



少し専門的になりますが点線1では心室中隔と呼ばれる心臓の左と右を分ける壁(筋肉)の厚さを点線2では心臓の左側の壁の厚さをそれぞれ測っています

点線1は6.2mm 点線2は8.3mm とあり、ここが6.0㎜以上になってきたら心筋肥大があると考えます。



この場面では左心房と呼ばれるか場所のサイズを点線のところで測っています。

17.3㎜とありますが、17.0㎜を超えてきたら心不全をおこすリスクが高まると言われています。

ちなみにこのエコー動画の場面では(少し角度の違いはあるのですが)心臓が下の絵のように見えています。


※①心室中隔 ②左心室壁

また上の動画の右上にHR124とあります。これは心拍数が1分間に124回という事を示しています。

正常な猫ちゃんの心拍数は100~160と言われていますので一見正常なように思えますが、病院につれてこられた猫ちゃんや検査中の猫ちゃんは常にドキドキしていますので124は徐脈気味と考えます。

実際の聴診では80前後でした。

糖尿病はおしっこがたくさん出るため脱水をおこすのですが脱水が激しいと(詳しい説明は省きますが)1次的に心筋が肥大して見えることがあります。

今回も脱水による心筋の肥大が考えられました。

脱水改善のためには血管点滴を行えばよいのですが左心房と言う場所が大きくなっていますので慎重に点滴をしなければなりません。

これも詳し説明は省きますが「左心房の拡大」は「心不全をおこしていますよ」あるいは「慎重にしないと心不全をおこしますよ」というサインです。

この猫ちゃんの糖尿病の治療には血管点滴は必要不可欠です。

そこで点滴のスピードをものすごくゆっくりにし同時に循環不全を改善するお薬も持続点滴しました。

通常のスピードでそのまま点滴をすると心臓がパンクしてしまう可能性が高いからです。

ただ脱水の改善がはかどらなかったので途中から点滴のスピードを様子を見ながらあげていきました。

 

治療4日目のエコー動画です。

HR210とあり徐脈が改善しています、心臓の拍動のスピードが1地番上の動画と比べて速いですよね。



左心房サイズが12.3mm と正常に戻っています。




 

治療12日目のエコー動画です。(心電図にはつないでいません)



点線1が5.2㎜ 点線2が5.6㎜と心臓の壁の厚さが正常の6.0mm 以内に改善しています。

このことから初診時の心筋の肥大は一過性のものと考えられました。
2024-05-29 07:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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