みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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ブルーインパルス体験記 in 万博記念公園

カテゴリ : その他

いよいよ夏本番という感じで、蒸し暑い日が続いていますね。

先週の7月12日、開院前の準備中に、今年初めてセミの声が聞こえてきました。

いよいよ来たな……と、ちょっと身構える音でした。

この日は土曜日で診察は午前中のみ。

診察が終わった後、妻が「万博公園にブルーインパルスが飛んでくるみたい。見に行ってみる?」と。

ここ最近は家と病院の往復だけ、ずっとエアコンの効いた室内で過ごしていたので、急に炎天下はちょっと不安でしたが……思い切って病院から自転車で出かけました。

途中少しクラクラっとして、「これはちょっと危ないかも」と思いながらも、「いや、昔は野球部だったし(ずいぶん昔だけど)」と自分に言い聞かせて、なんとか万博公園へ。

今回の飛行は、関西万博が折り返し地点に入ったことを記念した、ブルーインパルスの大阪一周飛行だったようです。

関空を出発し、舞洲→万博会場→通天閣→大阪城→太陽の塔(旧万博)と北上し、ひらパー(ひらかたパーク)で折り返すというルート。

ちなみに関西の方ならおなじみかもしれませんが、私たちが向かったのは「旧万博」、太陽の塔がある万博記念公園の方です。

真上を通過!塔の裏手で見た特等席

公園に着くと、すでにたくさんの人が集まっていました。

特に太陽の塔の正面側は、スマートフォンを構えて空を見上げる人でいっぱい。

木陰などもすでに埋まっていたので、私たちは塔の裏手の広場へ。

結果的に、この裏手の位置こそが、ブルーインパルスが真上を通るベストスポットでした。

これがまさに大正解。

スマホを見ていた人たちから「関空、飛び立ったみたい」との声。

そこから10分ほどして、午後2時40分ごろ、「きた!」というざわめきとともに北西の空にブルーインパルスが登場。

そして、白煙を引きながら自分たちの真上を駆け抜けていった瞬間には、ただただ圧倒されて見上げるしかありませんでした。

小学生だったら目指す進路が変わっていたかも

もし自分が小学生だったら、「将来はブルーインパルスに乗る! 獣医さんじゃなくて!」って言ってたかもしれません。

ここ数年でいちばん感動した出来事でした。

暑さに文句を言いながらも、見に行こうと連れ出してくれた妻には感謝です。

帰り道、マカロンアイスを買って、隣接するららぽーとでしばらく涼んでから帰宅しました。

久しぶりに、夏らしい午後を過ごした気がします。

2025-07-16 05:00:00

あきらめない想いが命を救った――FIP胸水型ラグドールさんの記録

カテゴリ : 感染症・予防

 
 ある日、当院に1本の電話がかかってきました。

「当院のブログを見て」とのことで、半年ほど前の出来事になります。

記憶がやや曖昧な部分もありますが、たしかこのような内容でした。

1か月ほど前からドライフードを残すようになって、ここ1週間はチュールしか食べないんです。
近くの動物病院でFIPの疑いがあると言われたんですが、その病院では治療が難しいと言われてそれで、先生のブログを見つけて電話しました」

といったお話だったかと思います。
 
 
FIPの治療薬と当院のスタンス
 
 
私はこうお答えしました。

「ブログにも書いていますが、当院で使用しているのはモルヌピラビル(抗ウイルス薬)です。
ただし、この薬の使用については獣医師の間でも賛否があります。
実際は、GS-441524レムデシビルが現在の第一選択薬として主流になっており、当院のモルヌピラビルはあくまで第二選択薬という位置づけです。
そのため、可能であれば、GSやレムデシビルを扱っている病院に相談されることをおすすめします」

と。
 
 
飼い主さんの強い思いが動かした
 
 
すると電話口の方がこうおっしゃいました。

「住んでいるのは○○市で、このあたりではFIPに対応してくれる病院自体がほとんど見つからないんです」

○○
市というと、当院から150km近く。車で2時間半はかかる距離です。

「手前の市町村にも対応病院はあると思うのですが」と伝えかけたところ、
「もう近くのインターチェンジまで来ています。猫の様子を見ていると、一刻も早く治療を始めたいんです。これから病院を探し直すのは厳しい」とのお返事。

診察開始前に出発され、開院に合わせてお電話くださったのかなと考えました。

その必死さが痛いほど伝わり、もはやお断りする理由はありませんでした。
 
 
胸水型FIP――当院では初めての治療例
 
 
到着されたのは、1歳半のラグドールさん。明らかに呼吸が苦しそうな状態でした。

持参いただいた血液検査の結果ではTP(総蛋白)値が異常に高く、症状と合わせてFIPの疑いが強まりました。

胸部のレントゲンは真っ白で、胸水の存在を疑わせる所見。



超音波(エコー)では、ドクンドクンと動く心臓の周囲に、黒いスペース(胸水)を確認。※冒頭の動画です。

少し針を刺して抜いてみると、黄色く粘性のある液体が採取できました。

これを検査センターに提出し、後日「FIP陽性」との診断結果を得ました。

これまで、腹水のたまるタイプ(ウエットFIP)や、腸にしこりができるドライFIPは経験していましたが、胸水型のFIPは初めての治療となりました。
 
 
飼い主さんの行動力が命を救った
 
 
当日はモルヌピラビルをお渡しし、その後のやり取りは電話やメール中心。お薬は郵送にて対応させていただきました。

日を追うごとに「元気になってきました!」という報告をいただき、こちらも本当に嬉しく思いました。

初診から7週目と、最終の12週目には再度ご来院いただき、胸部のエコーを確認。

いずれも胸水は認められず、最終日にはあの「黒いスペース」は完全に消えていました。


 
 
最後に
 
 
今回の治療がうまくいったのは、もちろん薬の力もありますが、それ以上に――
「何としても助けたい」と願った飼い主様の強い想いと行動力によるものだと、心から思います。

猫ちゃんも、本当にがんばってくれました。

FIPは治療が難しい病気ではありますが、適切な判断と早期の対応によって、希望が見えてくるケースもあります。

「うちの子、もしかして?」と思われたときは、どうぞお気軽にご相談くださいね。
 
モルヌピラビルやGSなどFIP治療薬については、獣医療の現場でも議論が続いています。最新情報や診断方針は日々変化しますので、症状や状況に応じた最適な対応を一緒に考えていきましょう。
 
2025-07-09 06:00:00

待合室で出会った『たびねこ』という猫の絵本

カテゴリ : その他


先週の休診日、

患者さんの猫ちゃんを、定期健診のために二次病院へお連れしました。

待合室で名前が呼ばれるのを待っていると、

ふと本棚の一冊の絵本が目に留まりました。

『たびねこ』というタイトル。

何気なくパラパラとめくってみると、

「たびねこ」という猫さんが、世界中の名所を旅している内容でした。

ニューヨークの自由の女神、

ナスカの地上絵、

オーストラリアのハートリーフ、

マレーシアのマーライオン、

エジプトのピラミッド、

バルセロナのサグラダ・ファミリア――。

などなどその他の国々へも

細密なボールペン画で描かれた風景の中に、

ひっそりとたびねこさんが紛れ込んでいて、

それを探していく「さがし絵」絵本です。

もう思わずその場で、Amazonを開いてポチってしまいました。


いま大阪は、万博でにぎわっています。

『たびねこ』は世界を旅する猫。

大阪万博は、世界の人々が集まってくる場所。

方向は違えど、どちらも「世界とつながる」という意味では、

同じような温度を持っているなあ…と、

そんなことを考えながら絵本を閉じました。
2025-07-02 07:00:00

「ねこ内科チャンネル」開設のお知らせ

カテゴリ : その他

 https://www.youtube.com/@nekonaikach

このたび当院では、猫の健康や暮らしに役立つ情報をお届けするYouTubeチャンネル

『ねこ内科チャンネル』
 を開設いたしました。

日々の診察のなかで感じていた

「もっと気軽に相談できたら」

「病気やケアについて、わかりやすく知りたい」

そんな飼い主さまのお声に応えるかたちで、動画というかたちで少しずつ発信をはじめています。


 
どんな内容が見られるの?
 
「それ、うちの子にも当てはまるかも」

そんなふうに思っていただけるような内容を、日常のひとコマからゆっくりと形にしていきます。

まずは、ワクチン接種やマイクロチップ、フィラリア予防、避妊・去勢といった予防医療の基本的なテーマを解説しています。

そして今後は、慢性腎臓病・甲状腺機能亢進症・心筋症・高血圧・糖尿病・関節炎など、猫によく見られる慢性疾患を中心に

その特徴や治療、日常でのケアについても丁寧に取り上げていきます。

さらには、そうした病気と向き合いながら過ごすシニア猫の生活の工夫や、

看取りの時期に感じる迷いや不安に、そっと寄り添えるような内容
もお届けする予定です。

「これでよかったのかな」と思うようなとき、

気持ちの整理がつかないまま時間が過ぎていくようなときに、

静かに寄り添える動画を目指しています。

 
ぜひ一度、のぞいてみてください 
 
チャンネルはこちらから
 https://www.youtube.com/@ねこ内科ch
(または「YouTube ねこ内科チャンネル」で検索)
2025-06-26 12:56:23

保護猫7兄弟の軟便と療法食:子猫のうんちトラブル、意外な原因とは?

カテゴリ : 消化器

※軟便の映像が流れます。苦手な方はご注意ください。


ある日、保護された子猫が7匹やってきました。

黒猫が3匹、黒白(ハチワレやマスク)が4匹。

体重や乳歯の状態から、みんな生後1か月ほどの月齢と思われました。
 
 
最初のステップ:性別チェックとウイルス検査
 
 
まずは性別判定。これがなかなかてんやわんやで……

すでにもらい手が決まっていた2匹については、猫エイズや白血病などのウイルス検査を実施。

どちらも陰性でひと安心。
 
 
誰かが軟便ぎみ?検査で診えたヒント
 
 
その後、「誰かわからないけれど、軟便っぽい子がいる」とのことで検便を行いました。

寄生虫(回虫やコクシジウム)は確認されませんでしたが、「芽胞菌(がほうきん)」と呼ばれる菌がやや多めかな?という印象。

この菌は通常の腸内にもいる常在菌ですが、数が増えすぎると腸内環境が乱れ、軟便や下痢の原因になることがあります。
 
 
まずは整腸剤と子猫用療法食で様子見
 
 
月齢が若いため、刺激の少ない整腸剤と、子猫の軟便・下痢に対応した療法食で対応することにしました。

その後1週間──
 
 
「元気も食欲もあるけれど・・・」届いた動画は激しい下痢
 
 
「元気・食欲はありますが、何匹かがこんな感じで」と動画が送られてきました。

かなり激しい下痢の様子に、「これはまずい」と判断。

そこで子猫軟便スペシャル薬駆虫薬など3種を組み合わせた独自処方)を1週間分お渡ししました。
 
 
薬のあとも軟便?原因は・・・ごはんの与え方だった
 
 
内服終了後、「元気も食欲もあるけれど、便がまだやわらかい」という連絡が。

ちょっとおかしいなと思い、改めて食事の詳細を確認。

すると、
  •  
  • 療法食の食いつきが悪いので、まずチュールを1/3本与えている
  •  
  • その後、療法食を自由給餌している
    とのこと。

「これが原因かも」と思いました。

というのも──
  •  
  • チュールは美味しいけれど、脂質などでまだ幼い腸に負担がかかることがあります
  •  
  • 自由給餌だと腸が休まる時間がなく、慢性的な消化不良を起こしやすくなります
 
 
与え方を工夫したら・・・「うんちがかりんとう」に!
 
 
そこで以下をお願いしました。
  •  
  • チュールはストップ
  •  
  • 療法食は1日の必要量をきっちり量って
  •  
  • それを5回に分けて与える

するとしばらくして、

「うんちがかんりんとうみたいな形になりました!」と報告が。

ようやく正常便に戻ってくれました。


 
 
まとめ:子猫の療法食、与え方も大事なんです
 
 
今回のケースで感じたのは、療法食を「出すだけ」で終わらせないことの大切さ。

特に月齢が若い子猫では、 与える内容だけでなく回数もしっかり伝える必要がある と改めて実感しました。

軟便や下痢が続く場合は、食事内容とあわせて「与え方」もぜひ見直してみてくださいね。
 
2025-06-25 05:00:00

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  1. 週齢はどれくらい?
  2. まず行うこと
  1. ワクチン接種
  2. 寄生虫予防
  3. 避妊去勢
  4. デンタルケア
  5. 体重管理・食事管理
  6. 定期健診

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▼月・火・木・金
早朝 6:00~8:30
午前 9:30~12:30
  予約診療※のみ
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▼水曜日
予約診療※のみ
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