保護猫活動を始めて、今年で4年目になります。
これまで多くの子猫たちが新しいおうちへと旅立っていくお手伝いをしてきました。
毎年この時期は、保護猫さんとの関わりが自然と増えてきます。
多くは1~2か月齢の小さな子猫たちですが、今回は少し珍しい“大人の猫ちゃん”との出会いがありました。
気になっていた大人猫2匹を保護
ある日、妻の友人がずっと気にかけていた大人の猫ちゃん2匹を保護しました。
この方は、我が家の黒猫ジャックを保護してくれた方でもあります。
約1か月、自宅で大切にお世話をされた後、新しい飼い主さんが見つかったそうです。
どちらも警戒心が強く、やっと少しずつ心を開き始めていた頃の譲渡でした。
譲渡後の体調不良。検査でFIPの可能性が浮上
そのうちの1匹、あられちゃんはキジトラの子。
譲渡後しばらくして、妻の友人から「ごはんを食べなくなり、どんどん元気がなくなってきた」と連絡がありました。
ちょうどその方の近所に、私の友人の動物病院があるので、そちらで診てもらうことに。
血液検査の結果、TP(総タンパク)の値が異常に高く10。

さらに、耳に明らかな黄疸も見られたそうです。
※なお、下の写真は治療を始めてしばらく経ったあとのもので、黄疸はかなり落ち着いてきた状態です。
初診時には、もっとはっきりと耳が黄色く見えていたとのことです。
この時点で、猫伝染性腹膜炎(FIP)の可能性が非常に高いと判断されました。
確定診断を待たずに治療を開始
FIPの確定には特別な検査が必要ですが、結果が出るまで数日かかります。
しかしその間にも症状は進行するため、検査を待たずに治療を開始することにしました。
友人の病院にはFIPの治療薬がなかったため、こちらで薬を準備してお渡ししました。
投薬開始後は徐々に食欲が戻り、元気も出てきたとのことです。
そして後日、確定診断の結果もFIPの発症を裏付ける内容でした。
FIPの引き金は環境の変化だったかもしれません
FIPの発症には、ストレスが大きく関与すると言われています。
今回のケースでも、短期間での環境の変化が引き金になった可能性があると感じました。
それでも、あられちゃんは保護されたからこそ治療を受けることができた命です。
もし保護されていなければ、過酷な環境の中でひとり静かに発症を迎えていたかもしれません。
あられちゃんに、これからの穏やかな毎日を
あられちゃんは少しずつ元気を取り戻し、新しい生活にも慣れてきているようです。
これからも体調の波はあるかもしれませんが、そばには見守ってくれる飼い主さんがいます。
今回のような出会いや支え合いが、またひとつの命をつないでくれました。