みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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Doorkins the Cathedral Cat

カテゴリ : その他


なんだか急に寒くなり冬が近づいてきたなぁって感じですね。

もうクリスマス商戦も始まっているようです。

画像の本は Doorkins the Cathedral Cat という題名のイギリスで出版された絵本です。

題名は直訳すると「大聖堂の猫ドアキンス」といったところでしょうか。

以前ブログで猫寺や猫神社の話題を取り上げたことを思い出し「お寺や神社があるなら教会もあるのでは」と何気なくネットを検索した時にこの絵本を見つけました。

ロンドンにあるサザーク大聖堂にという英国国教会の施設に住み着いたドアキンスという雌猫ちゃんの実話がもとになっています。

2008年のクリスマスのころに大聖堂のドアの前にやってくるようになったそうです。

kinsは小さいものを表す接尾語だそうですので勝手な想像ですが名前のドアキンスは「ドアの前にいるかわいい子」くらいの意味でしょうか。ドゥーキンスの方が実際の発音に近いかも・・・です自信はありません。

絵本には教会のスタッフさんと一緒にティータイムを過ごしたり、聖歌隊に参加したり、教会見学の子供たちを案内したり、女王陛下をお迎えしたり、結婚式に参加したりと日々の楽しそうな暮らしが描かれています。

下は日曜日の礼拝に参加している場面です。



私、英語があまり得意ではありませんので絵本はグーグルレンズを使用して読みました・・・・。

文章を読まなくても凄くカラフルな素敵な絵ですのでそれをながめるだけでも十分に楽しめますし内容も理解できます。

作家のLisa Gutweinさんはお医者さん、絵のRowan Ambroseさんは歯医者さんだそうです。

興味のある方は絵本をお貸ししますのでお気軽におしゃってください。

※ドアキンスちゃんは2020年9月30日にお世話をされていた牧師さんの腕の中でその生涯を安らかに終えました。

2024-11-20 05:00:00

徐脈性不整脈 :第3度房室ブロック

カテゴリ : 循環器



ある猫ちゃんの保護施設から健康診断の依頼がありその一環として心エコー検査を実施しました。

心音の聴診の時から感じていたのですが徐脈という心拍数が減少する状態が確認されました。

画面の右上の方にHR95とありますがこれは現在の心拍数が1分間に95回ですよという事です。

猫ちゃんの正常な心拍数は人に比べて速く文献にもよりますが120以上それこそ病院に来て緊張でドキドキしていると200前後ということも普通で検査中の猫ちゃんならいつもよりさらに速くなります。

ですので検査中の心拍数95はかなり遅いと考えてください。

それで原因を考えたのですがエコー画面の下に出ている心電図を見て「房室ブロック」ではと考えました。

房室ブロックについては後で簡単に説明をさせて頂きますが何種類かあるのですが自信をもって「こういう種類の房室ブロックですよ」と診断できませんでしたので循環器科のある二次病院を受診していただきました。

結果は「第3度の房室ブロック」との診断でした。

ここからは第3度の房室ブロックの説明です。


上はエコー動画のある瞬間の静止画です。

RA:右心房 この動画では大動脈に隠れて見えていませんので白い線で描いています
RV:右心室
LA:左心房
LV:左心室
①:洞房結節 いわゆるペースメーカーで右心房にあります。
②:房室結節

ぺースメーカーで生じた電気信号が緑の矢印を伝わって心房→心室の順で心臓が収縮します。血液は心房から心室へ流れていきます。

①が興奮し電気信号が生じると心房が収縮します。その心房が収縮する時に心電図上ではP波と呼ばれる波形が記録されます。ちなみに①の興奮は心電図でとらえることができません。

①で生じた電気信号は心房を収縮させるとともに②を刺激します。

刺激を受けた②も興奮し心室に電気信号をおくり心室を収縮させます。心室の収縮は心電図上ではQRS波と呼ばれる波形で記録されます。

それでこの猫ちゃんの心電図を見た時に「P波とQRS波の間隔がやけに広いなぁ、①で生じた電気信号が②から先にきちんと送られていない、心房と心室の間がブロックされているんじゃないのかなぁ」と感じました。通常はP波の直ぐ後にQRS波がきます。

第3度の房室ブロックとは上の図のピンクの×印のところで完全に電気的な流れが遮断されている状態の房室ブロックの事で完全房室ブロックとも言います。

でも電気信号が遮断されているのに遅いながらも心室も収縮し心電図でも心室の収縮を示すQRS波が記録されていますよねこれは何故でしょうか。

「心房から心室に電気信号が伝わらないからもう心室は収縮しなくていいや」では体に血液が循環しなくなり大変なことになってしまいます。

そこで体は不思議なもので心室の細胞の一部が自らペースメーカーを務めるようになり血液の循環を保とうとします。

上の画像では③の場所(この場所は僕が適当に決めたもので本当はどこかわかりません)としています。

この心電図でとらえられたQRS波は①の電気信号が伝わって記録されたものではなく③がペースメーカーとなり記録されたものとなります。

治療ですがこの猫ちゃんは今のところ体調に変化はないので経過観察となり何らかの心臓病の症状が出てきた時にそれに対応していくことになりました。
2024-11-13 03:00:00

黒猫ジャックの推理

カテゴリ : その他


私の楽しみの一つはバイクです。

バイクと言ってもスーパーカブなのですがこれがなかなか味わいのある乗り物で遠心クラッチ方式のギアをガチャンガチャンと変速するのがとても楽しいです。

おととしは日の出時間に太平洋側の任意の地点を出発し日の入りまでに石川県の千里浜海岸に到着を目指すSSTRというバイクイベントにもカブで参加しました。甲子園球場近くの甲子園浜を出発し到着まで下道で11時間半かかりました。

普段は通勤にも利用していたのですが昨年ジャックを迎え入れ一緒に通勤するようになってからは自転車に変更していました。

それで自賠責保険が今年の5月に切れましたので手続きだけでもコンビニで行っておこうと病院に書類を持ってきていたのですがカブに乗ることもなく10月末までほったらかしでした。

10月の末に思い出したように保険の手続きをしなきゃとなったのですが書類をどこに置いたのか探せぞ見つかりません。

「どこかにポンとおいたんだろうなぁ見つからなきゃ今日にでも市役所やバイク店に書類の再発行をおねがいにいかなきゃなぁ」と考えていた時に何気なくジャックをみると普段はあまり入っていかないレントゲン室にスルスルと入って行きスタッとレントゲン装置の上に飛び乗りました。

「あーそこは登ったらあかんやんかぁ」とジャックを降ろしに行くとその足元になんと自賠責の関係書類がぁあああ!!!

画像は再現ですが足元にある青いカバーのものが探していたものです。

5か月間毎日目にしていたはずなのに気づかないもんですね・・・・
2024-11-06 06:00:00

インスリン治療から離脱できなかった糖尿病②

カテゴリ : 内分泌:ホルモンの異常や糖尿病


前回の続きです。

先週のブログは「ある糖尿病の猫ちゃんでインスリン注射を一旦終了し経過を見ていくことにしました」との内容でした。

下は経過観察(インスリン投与中止後)10日目 のGLU(血糖)、FRU(フルクトサミン)の結果です。




いずれも高い値を示しておりこの事からインスリンを注射するにしろ新しい内服薬を選択するにせよお薬を使用する必要のあることが分かりました。

詳しくは前回のブログを見ていただきたいのですがインスリン投与開始後25日目のフルクトサミンの結果285μmol/Lを①と判断し投与を中止したのですが②と判断しなければならなかったようです。

インスリン治療中のフルクトサミンの解釈


治療の再開に当たっては9月から利用可能になった内服薬を選択したいところですが残念ながら血液中にケトン体が認められました。



血液中にケトン体が認められた場合はこの内服薬は利用できません。その理由については8月14日のブログを参考にしてみてください。
 
治療はインスリン注射で再開いたしました。

ところで何故私はインスリン注射にしろ内服薬にしろお薬の投与が一旦必要なくなったと考えたのでしょうか。

それはこのような理由からです。

人間の糖尿病には主に

a.インスリンを製造・出荷している膵臓という工場が様々な理由で破壊されインスリンが製造・出荷されずに糖尿病になってしまう1型糖尿病



b.インスリンは製造・出荷されてはいるのですが「何らかの理由」で製造・出荷量が減少したり、インスリンの効果が発揮されにくくなり糖尿病になってしまう2型糖尿病

に分けられます。 

それでワンちゃんでは人間で言うところの1型糖尿病、猫ちゃんでは2型糖尿病が多いと言われています。

ですのでワンちゃんでは生涯にわたってインスリンの投与が必要になることがほとんどなのですが、猫ちゃんでは「何らかの理由」の方を解決してあげるとインスリン注射にしろ内服薬にしろお薬の投与が一旦必要でなくなるケースも見られます。

それでは今回の猫ちゃんの解決した「何らかの理由」とはどういった事と私は考えたのでしょうか。

この猫ちゃんに糖尿病の症状がみられ始めたのが今年8月に入ってからですが
さかのぼること2か月前、6月に茨木市へ引っ越しをされてきていました。

引っ越しという一大イベントは猫ちゃんにとっては相当のストレスとなりそれが糖尿病の引き金になったのではと考えました。今回詳しい説明は省きますがストレスは糖尿病の原因の一つです。

上の画像はこの猫ちゃんの初診時に右側から撮影したものです。画像では分かりにくいのですが右わき腹から太ももにかけて毛が薄くなっています。

その範囲を青いラインで囲ってみます。ピンクの矢印の箇所は特にひどく地肌が薄ピンク色に透けて見えます。左側も同様でした。脱毛は当初もう少しひどかったそうです。



猫ちゃんはストレスを受けると毛づくろいをして落ちつこうとするのですが過度なストレスにさらされるとそれが行き過ぎてしまい毛が抜けてしまうのです。

これをストレスが原因の心因性外傷性脱毛と呼びます。

今回は

引っ越しというストレスが原因となり脱毛や糖尿病を発症。

あたらしい環境にもなれストレスが軽減し糖尿病の原因の方はなくなってきていたが糖尿病の症状は残ってしまい元気・食欲廃絶。

治療により糖尿病の症状が改善。

ストレスという糖尿病の原因が無くなっていたので糖尿病が寛解。

インスリン注射や内服薬の必要が一旦無くなった。

という風に解釈し治療を中断。

糖尿病が落ち着きよかったなあと喜んでいたのですが・・・そう単純な事ではなっかたようです。

現在インスリン注射の再開で糖尿病が良好にコントロールできています。

※寛解とは一旦病気がよくなることで完治という状態ではありません。いつか再発する恐れもあり投薬治療が必要でなくなってもそのような状況にならないように生涯にわたって注意が必要です。
2024-10-30 06:00:00

インスリン治療から離脱できなかった糖尿病①

カテゴリ : 内分泌:ホルモンの異常や糖尿病


今年8月14日のブログで紹介しました糖尿病の猫ちゃんの経過ですがインスリン治療で食欲も回復し、飲水量・尿量とも問題なく順調な経過をたどっていました。

9月に入り待望の飲ませる糖尿病治療薬が発売されましたのでインスリン注射からの切り替えを考え来院していただきました。

1日2回注射でチクリチクリされるよりも1回の内服で済めばそちらの方がいいですもんね。

それで現在の状況を確かめるためGLU(血糖)およびFRU(フルクトサミン)の測定を実施しました。

フルクトサミンはおおざっぱに言いますと過去2~3週間の血糖値の平均値のようなものでその期間に糖尿病が上手くコントロールできていたかの指標になります。

その結果です。

インスリン投与開始から25日目


下はインスリン注射治療開始2週間目と初診時の結果です。

2週間目


初診時


検査で出たフルクトサミンの解釈は以下の通りです。



健康な猫ちゃんのフルクトサミンの基準値は191~349μmol/Lです。

したがって初診時の485は糖尿病を疑います。

インスリン投与開始から2週間目の340は治療によって上手く糖尿病のコントロールが出来ていることを示しています。

そして今回の結果285は

①外から注射でインスリンを投与しなくても自前のインスリンで血糖値がコントロールできるようになった。

②あいかわらずインスリンの投与は必要な状況が続いてはいるのですが「非常に」上手く糖尿病がコントロールされている。

③インスリンが効きすぎて低血糖状態が続いていた。

の3つの可能性が考えられます。

③の低血糖状態はとても危険な状況でとても普通に生活を続けることはできません。現在元気食欲もあることから除外しました。

②は同時に測定したGLU:血糖値が150mg/dlでした。これは直前のインスリン投与から12時間後の値です。通常インスリン投与が必要な糖尿病の猫ちゃんでは前回投与から12時間も経過していますと血糖値がもう少し高くなっている事が多いように感じています。

ですので今回のフルクトサミン値285は①の可能性と一旦解釈しました。

そこでインスリンの投与も内服薬への切り替えもおこなわずに経過観察をしていくこととなりました。

次回に続きます。
2024-10-23 06:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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