みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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 ネコ展

カテゴリ : その他

先週は台風10号の影響で変な天候の日が続きましたね。

休診日水曜日もどうなるかなあと思っていたのですが幸いその日は風が少し強かったものの晴れていましたので前から気になっていた「ネコ」特別展を見学に大阪市自然史博物館に妻と行ってきました。

「ネコ」といってもイエネコだけなくいわゆるネコ科全般が取り扱われており、自然史博物館ですから目玉の展示内容はやはり剥製や骨格標本でした。

まず入り口を入ると直ぐにカナダオオヤマネコが出迎えてくれました。


「うわー図鑑の通りや、ほんまに耳の先端の毛がピンとたってる(オオヤマネコ属の特徴)なぁ」とテンションがあがりその他の剝製や骨格標本も含めて写真を撮りました。

ネコ科の8系統の剥製がほぼそろっているのではないでしょうか。

トラは猫科最大などと言われていますがではチーターとはどれくらいサイズが違うのだろうって図鑑を眺めていてもあまりピンとこないですよね。

その答えはネコ科8系統を一か所に集めて展示してあるコーナーがあるのですがそこに行けば一目瞭然となります。

 ※チーターはこのアジアコナー正面のアフリカコーナーに展示されています。

南北アメリカコーナーでは日本ではおそらく動物園でも今後見ることはできないと思われるジャガランディ、ジャフロワネコ、コロコロと呼ばれる珍しいネコも展示されていました。後ろは黒ジャガーです。


それで色々な珍しいネコたちの写真を嬉々として撮っていたのですがあるコーナーでメスライオンさんの顔のアップ写真を撮っている時にスマホ画面越しに目が合いましてふと「亡くなってまで・・・ご苦労様です・・・」となってしまいました、傍らに子ライオンの剥製もあって。

※剥製標本を否定しているわけではありません。

こういう展示を見た子供たちの中から将来絶滅危惧種の保護活動などに従事する立派な人物が出てくるかもしれませんもんね。

僕が一番面白かったのは須恵器についた猫の足跡の写真でした。



西暦600年、太古の昔から同じなんですね猫は、今だと流したコンクリートの上を歩いちゃったみたいな感じでしょうかおかしいですよね。

グッズコーナーも充実していました。記念に壁にかける絵を買って来ました。診察室に飾っています。

ネコ展は9月23日まで開催されています、興味のある方はぜひどうぞ。
2024-09-04 07:00:00

肝臓リンパ腫~肝リピドーシス

カテゴリ : 腫瘍

※二次病院で装着していただきました。

上の画像は食道の中へ流動食を流すためのチューブを装着された猫ちゃんの様子です。チューブの先端から注射ポンプを使って流動食を流し込みます。

ある日「2週間近く前から食欲がありません」と三毛猫さんが連れて来られました。

血液検査をおこなってみますと著しい黄疸を認めGPT、GOT、ALP、TBiL(ビリルビン)という血液中の成分がいずれも高くこれらの事は肝臓が弱っていることを示しています。



特にALP(当院での基準値は1歳以上で58U/Li以下)の上昇があると猫ちゃんでは著しい肝臓のダメージがあると考えなければなりません。

ビリルビン(当院での基準値は0.4mg/dl以下)は赤血球が寿命をむかえ壊れると出てくるもので黄色い色をしています。 この値の上昇は肝臓や胆管という場所のダメージをあらわしている可能性があります。

ビリルビンは肝臓に集められ胆管という管を通って十二指腸に排泄されます。
ウンチが黄色いのはビリルビンの影響です。

肝臓や胆管に何かの問題(例えば胆管が詰まったなど)があるとビリルビンが十二指腸に上手く排泄されずビリルビンの渋滞がおこります。

行き場を失ったビリルビンは血液中にあふれ出し血液は黄疸という状況になります。



血液をチューブに入れ遠心機で回すと主に赤血球からなる血球と呼ばれる部分と血しょうと呼ばれるお水の部分に分かれます。

お水の部分はワンちゃん・猫ちゃんでは普通は無色透明なのですが黄色くなっていますね、これを黄疸と呼びます。

血液のお水の部分が黄色くなって全身の血管を流れますので皮膚や粘膜が黄色くなります。


この猫ちゃんのおなかの皮膚です。エコー検査のため毛を刈ってあります。
「えっそうですか?」となると思いますが黄疸のため皮膚が黄色くなっています。

肝臓の状態を確かめるためエコー検査を実施したところ肝臓と十二指腸をつなぐ胆管と呼ばれる管がやや拡張しているように感じました。



これは胆管が十二指腸への排泄口のところで詰まっている可能性も考えられ排泄口付近の状況をチェックしなければならないのですが当院では確実に実施できなかった為、肝臓の精密検査もかねて直ぐに二次病院を受診していただきました。

結果は肝臓のリンパ腫(癌の一種)および肝リピドーシス(脂肪肝)との診断で胆管の拡張も軽度で詰まりもないとの事でした。

今回の黄疸はリンパ腫や脂肪肝により肝臓の働きが弱りビリルビンを上手く処理できなかったためだと考えられました。

脂肪肝はリンパ腫のため食欲の低下がおこり引き起こされたものだと考えられました。

食欲が低下し充分な栄養を取れなくなると猫ちゃんの体は自分が蓄えている脂肪分を分解しエネルギー源にしようとします。

その過程で大量の脂肪分が肝臓に集められるのですが処理しきれなくなった分が肝臓に蓄積され脂肪肝となります。脂肪肝はさらに肝臓の働きを弱めます。

脂肪肝の治療は充分な栄養を与えることが非常に大切になりますので一番上の画像で示したようなチューブを装着します。チューブは自力で採食できるようになるまでつけておきます。

リンパ腫については週1回抗がん剤の投与を実施しました。

治療開始後およそ3週間目ALP値は低下、TBiL(ビリルビン)値は基準値に回復しましたが、自力採食はチュール1,2本のみ。



さらにそのおよそ3週間後にやっと充分な量を自力採食できるようになりましたのでチューブを外しました。外せるまで一か月半を要しました。

皮膚の黄疸も無くなっています。抗がん剤治療はしばらく継続していきます。

2024-08-28 07:00:00

猫砂による喘息?

カテゴリ : 呼吸器

※オーナー様のご厚意で動画を掲載させていただきました。

アレルギーについて勉強していますと言葉の定義が変わっていることがよくあります。

猫ちゃんの皮膚病でアレルギーが関係していそうなもののうち原因がノミでも食べ物でもなさそうなものについては「何かのアレルギーですね、アトピーかなぁ」とお話しをしていました。

ところが10年ちょっと前でしょうかそのような皮膚病については「非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎」と呼びましょうと定義されました。

何だか言いにくく小難しいので飼い主様には「猫のアトピー」ですねとの説明を続けていました。

ただ現在は「猫のアトピー※」と言ってしまうと以下の3つの病気を総称する言葉になってしまうようです。※厳密には猫アトピー症候群

①猫アトピー性皮膚症候群(非ノミ非食物誘発性過敏性皮膚炎から呼び方が変更されました)

②猫食物アレルギー

③猫喘息

単にアトピーと言ってしまうと食物アレルギーや喘息も含んでしまいます。

今後はきちんと使い分けしていかないといけないようです。

前置きが長くなってしまいました。

動画のお話にうつります。

③の猫喘息について文献を読んでいますと喘息の引き金として「猫砂」が挙げられていることがあるのですが実際その瞬間・状況を目にしたことがありませんでした。

今回 健診に来られた猫ちゃんで「トイレに入ると喘息がでる」とのお話がありその様子を動画で見させていただきました。

上の動画ですが激しく咳き込んでいます。

「鉱物系」の一般的な猫砂ですがこれを「おから系」の猫砂に変更すると症状が出なくなったそうです。

これは鉱物系の何かにアレルギー反応をおこしたのかもしれません。

ただ鉱物系の猫砂は砂埃が舞い上がりやすいので単にむせてしまった可能性もあります。
2024-08-21 07:00:00

新しい猫の糖尿病内服薬センベルゴ続き~ケトン体

カテゴリ : 内分泌:ホルモンの異常や糖尿病

先週末「トイレに何回も入りおしっこが臭います。食欲もありません。お水はたくさん飲んでいた。腎臓病でしょうか?」と老猫さんが連れてこられました。

オーナー様には「腎臓病も心配ですが、糖尿病など他の病気も考えられますね。血液検査でチェックしていきましょう」とお話しました。

採血をしながら「万が一糖尿病ならもう少しだけ発症を待ってもらえていたならインスリンの注射ではなく新しい内服薬センベルゴでの治療を提案してあげられるのになあ」と考えてしまいました。

※センベルゴについては7月17日のブログを参考にしてみてください。本年9月1日より発売されます。

糖尿病の治療にはインスリンの注射が基本1日2回必要なのですがセンベルゴは1日1回の内服で済みます。誰だって1日2回チクリチクリされたりしたりするよりは1回の内服で済めばそちらのほうが良いですよね。

ただしこの新しい内服薬の使用には大切な条件があります。

それは血液中にケトン体とよばれる成分が出ていないという事です。

糖尿病はとういのは何かの理由で血糖というエネルギーを体にとりこむ助けをするインスリンが少なくなったり、効きにくくなったりすることで血糖が利用できなくなる病気とも言えます。

血糖が利用されないままですので血液中に糖分があふれおしっこにも出てくるようになります。これらの出来事は様々な害を体にもたらします。

ところでインスリンの助けを受けられなく糖分を利用できなくなった体は脂肪を分解しケトン体とよばれるものを作りこれをエネルギー源にします。

ケトン体は酸(アッシド)の仲間で溜まってくると血管を傷つけ様々な悪さをします。(このような状況をケトアシドーシスと言います)

ケトン体が出ているという事は自前のインスリンの助けを受けられなくなっている可能性があるという事です。

新しい内服薬センベルゴは増えすぎた血糖をおしっこと一緒に体外に捨てる働きがあります。

余分な糖分を捨てることで血糖値を程よい状態に保ち血糖が高いことでもたらされる害から体を守りましょうという戦略です。

センベルゴは余分な血糖を捨てる働きはあるのですが糖分をエネルギー源としてからだに取り込む働きはなく、その役割はなんとか頑張ってくれている自前のインスリンに頼らなければなりません。

ですのでケトン体が出ている子では自前のインスリンによる糖分の取り込みが全く期待できない可能性がありセンベルゴによる治療の選択はできません。

外部からのインスリン投与による治療が必要になります。

血液検査や尿検査の結果から連れてこられた猫ちゃんは腎臓病ではなく糖尿病でした。


 GLU(血糖値)


FRU(フルクトサミン):おおざっぱに言いますと過去2~3週間の血糖値の平均値のようなものです。

GLU、FRUともに高値で尿検査で尿糖も出ていましたので糖尿病と診断しました。

合わせて血液中にケトン体の存在が証明されましたので今手元にセンベルゴがあったとしても治療には利用できませんでした。

老猫ちゃんには入院していただきインスリン投与による治療を実施しました。

血液をチューブに入れ遠心機にかけると血漿と呼ばれるお水の部分と主に赤血球からなる血球とよばれる部分に分かれます。

お水の部分は普通は無色透明なのですが糖尿病が酷いと薄めた牛乳のような色になることがあります。それを「乳び」というのですが下の画像で確認できます。

このお水の部分をある試験紙に垂らしたのですがケトンを調べる箇所が紫色に変化しています。これはケトンが存在するという事です。



インスリン治療を開始しますと体調が回復し食欲も元にもどりました。

下の画像はその時の血液検査時のものですが治療開始前に見られた「乳び」
が消えケトンの反応が無くなっています。

ケトンが消えていますのでセンベルゴへの切り替えを試み毎日の注射チクリから解放してあげられるかもしれません。

2024-08-14 07:00:00

変形性関節症バイオマーカー CⅡネオエピトープ

カテゴリ : 運動器:関節や骨





7月10日のブログで「健康診断時の血液検査は100ある病気の中で30ぐらいの病気しか見つけてあげることができません。例えば高齢のワンちゃんや猫ちゃんを苦しめることになる腫瘍性の疾患がそうで発見には基本的には画像診断が必要です。」との話題をしました。

腫瘍性疾患と同じように高齢のワンちゃんや猫ちゃんを苦しめている病気に変形性関節症があります。

関節の軟骨に障害がおこることにより痛みが生じます。

痛みは生活の質を著しく下げてしまいます。

この病気の検出にもやはりレントゲン検査などの画像診断が必要なのですが初期の頃は画像上の変化が乏しく気づいてあげられないこともあります。

ところがこの病気は尿中の「CⅡNE:Ⅱ型コラーゲンネオエピトープ」という成分を調べることで初期の段階から検出することが可能となってきました。

変形性の関節症の痛みは関節の軟骨が障害を受けすり減ることで発生するのですが、関節の軟骨がすり減ると尿中のCⅡNEが増加することが分かっています。

今回7歳の猫ちゃんと20歳の猫ちゃんの飼い主様にそれぞれご協力いただき検査を実施してみました。

その結果が上の画像です。

二人とも検査結果がそれぞれ1.5pM/mg、1.9pM/mgと基準値の0.8pM/mgを超えていますので軟骨の障害があることが分かります。

実はこの猫ちゃん達は普段から明らかに足をかばっていることが一目でわかる子たちです。

この検査の本来の利用方法としては「まだあきらかに足をかばったりしていない子で実施し異常が認められ場合には早い目に対応してあげましょうね」というものになります。
2024-08-07 07:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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