毎月爪切りにこられるオーナー様からある日「右目だけ黒くなってきたような気がします。ネットで調べると虹彩メラノーシス?とかなにか怖いことが書いてありました。」との相談がありました。
確認してみますと、この猫ちゃんでは本来薄い緑色であった虹彩と呼ばれる場所の周辺が茶色くなってきていました。
虹彩とは目に入ってくる光の量を調整するために閉じたり開いたりしているところです。
比較のために左目の画像も載せておきます。
明らかに右目の虹彩の周辺部分のほうが茶色いですよね。
このような目を見た時獣医師は「虹彩のメラノーシス」と「虹彩のメラノーマ」のどちらであるかを
考えなければなりません。
メラノーシスは簡単に言いますと黒い色素が沈着したシミのようなものですがメラノーマは黒い色素を作り出す細胞が癌化したものです。
メラノーシスはシミですのでそれほど悪いものではないように思われるかもしれませんが、それが変化してメラノーマになることもあります。
初期の段階ではその見極めが難しいこともあり、獣医眼科専門医であるどうぶつ眼科専門クリニックを受診していただきました。
診断は「虹彩メラノーシス疑い」との事でした。
経過観察をしていき、以下のような症状が現れたら要注意とのことでした。
①色素の沈着が班状におこってくる。色素沈着部が盛り上がってくる。
②瞳孔(いわゆる黒目の部分)の大きさが左右で違ってくる。虹彩が反転してくる。
③前房(目のレンズの前にある空間で眼房水と呼ばれるお水で満たされている)内に細胞が浮いている。
④シミの領域が広がる。
⑤眼圧の上昇や炎症のきざし。
などです。
※①~⑤の症状について診断書には専門的な用語で記載されています。一般の方にもできるだけ理解していただけるように簡単に表現しています。