画像の猫ちゃんですが耳の内側が所々赤くなっています。
2年ほど前から診察させていただいていおりアレルギー性の皮膚炎と考えています。
当院へはお引越しのタイミングで初めて連れて来られました。
もとのかかりつけ医の先生のところで「細菌の感染を除外するために抗生剤のお薬で反応を見てみましょう。反応が悪かったら何らかのアレルギーも考えられます。」とのことで持続性の抗生剤の注射がなされていました。
当院へは注射後2週間目の来院だったのですが、症状が続いておりアレルギーの関与が考えられました。
猫ちゃんでアレルギー性の皮膚炎を疑った時には「原因はノミかな、食べ物かな、あるいはそれ以外の環境の要因(花粉など)かな」と大まかに3つにわけて考えていきます。
原因の追究は大切なのですが先ずは症状をおさえてあげなければいけませんので、アレルギーを強く抑える効果のあるステロイドというお薬を使用したところ直ぐに症状はなくなりました。
オーナー様のお話では「外出はせずフィラリア予防もおこなっている(同時にノミ予防も行えます)」とのことでノミが原因ではなさそうでした。
その後も再発を繰り返しましたので食べ物のアレルギーはないかを確かめるために除去食試験と呼ばれる試験を実施してみました。
理論上アレルギー反応を起こさないように開発されたフードのみを与えて症状が再発しないかを見る試験なのですが症状の再発をみました。
原因はノミでも食べ物でもなさそうなので「猫のアトピー」と診断しました。
「猫のアトピー」という言葉ですがアレルギー性の皮膚疾患でその原因がノミでも食べ物でもない時に使用しています。非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎と呼ぶこともあります。
「それではどのような環境の要因が関与しているの?」となった時に血液を採取してIgE検査をと呼ばれる検査を実施すればわかることもあるのですが、100%原因が突き止められるわけではない事、費用がやや高額である事から実施を見送りました。
その後も症状の再発の度にステロイドの投与をおこなっていたのですがこの猫ちゃんの年齢を考えるとあと10年近くは寿命がありそうですので、長期間投与による弊害が心配となってきました。
ステロイドは免疫力を下げたり、糖尿病、心筋症など様々な病気を引き起こしたりする可能性があります。
そこでワンちゃんでは何年も前から使用されているオクラシチニブ(商品名アポキル)を今回使用してみました。
長期投与による弊害が全くないとは言えませんがステロイドに比べ少ないといわれています。
猫ちゃんは認可外となりますのでオーナー様の了解を得ての使用になります。
1週間使用したところ症状はなくなりました。