ときおりご自身の出産を考えておられる猫の飼い主様から「猫のトキソプラズマ感染症」についてのご質問を受けることがあります。
トキソプラズマは原虫という単細胞生物です。猫ちゃんの様々な臓器に住み着きます。
猫ちゃん自身は悪さをうけることなく過ごしていることが多いのですが、子猫や免疫力が弱くなってしまった猫ちゃんでは悪さをうけることがあります。
その症状は感染臓器ごと様々です。
このトキソプラズマはオーシストとよばれる形態の時に猫ちゃんのウンチに出てきます。
このウンチを人間がかたづけるときに接触したり、このウンチに触れたゴキブリやハエ、ネズミが知らないうちに食品に接触しそれを口にしたりして人間に感染します。
妊婦さんが感染すると赤ちゃんにも影響がおよぶことがあります。
ご家庭の猫ちゃんがトキソプラズマに感染していないかどうかを確かめるためには、血清学検査といって猫ちゃんの体の中にトキソプラズマに対しての抗体が存在するかどうかを調べます。
抗体とはトキソプラズマを退治するために体がつくる武器です。この武器が存在するということは現在、あるいは過去にトキソプラズマが体の中に住み着いていたということです。
治療は原虫を退治するおくすりを飲ませます。
感染予防策としては
①感染の機会を与えないよう猫ちゃんは完全室内飼いにする。
②ウンチといっしょに出てきたオーシストは感染力を持つようになるまで24時間くらいかかるといわれていますので、ウンチをしたら直ぐに片づける。
③トイレ容器もできるだけ清潔にしておく。週一くらいで洗浄する。
④上記の処理後は直ぐに手をあらう。
⑤上記の処理を可能であれば妊婦さん以外の方がされる。
などになるかと思います。
今回は獣医師としての立場から猫ちゃんに焦点をあて記事をかいています。
トキソプラズマは猫ちゃん以外から、たとえば「生肉を食べる」なども感染理由としてあげられます。
妊婦さん自身がトキソプラズマに感染していないかどうかや、その他の予防策についてはお医者様にご相談ください。