みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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猫の高齢性認知機能不全症(認知症)

カテゴリ : 問題行動


「VISHDAAL(ヴィッシュダール)」という言葉があります。

  以下の英単語の頭文字をとってつなげたものです。

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Vocalization(過剰に鳴く):やたらと鳴くことが増える、特に夜鳴き。昼夜問わず鳴く。
              混乱したように鳴く。飼い主の関心や愛情を求めて鳴く。

Interaction       :飼い主と交流しなくなる。攻撃性がたかまる。
   Changes        そっけなかった子がやたら甘える。
(社会的交流の変化)

Sleep-Wake Cycle    :夜間に頻繁に起きる、または起きて過ごしている。
  Changes         以前より増して昼間に寝ている。
(睡眠サイクルの変化)

House Soiling      :トイレ以外の場所で排泄してしまう。トイレまでたどり着けない。
(不適切な場所での排泄)

Disorientation      :隙間などに入り込んでしまう。ぼーっと一点を見つめている。
 (見当識障害)

Activity Changes    :家のどこかに引きこもってしまう。うろうろ徘徊する。
(活動性の変化)     過剰にグルーミングをする、またはしなくなる。
             フードに興味を示さなくなる、食欲が低下する。

Anxienty(不安)   :今まで平気だった状況を怖がる。刺激に対して過敏に反応する。
             飼い主がそばにいないといないと呼ぶように鳴く。
             飼い主の後を行いて回る。

Learning        :トイレや猫グッズの場所を忘れる。
  and memory      フードを食べたことを忘れ何度もねだる。
(学習能力と記憶力の低下)

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上記項目は「猫ちゃんの認知症」の時に見られる症状です。

認知症とは簡単に言いますと物事を認知する機能が衰えてくる病気のことで、日常生活での支障や生活の
質の低下を招いてしまいます。

認知症は「完全に治す」ことは不可能ですので、可能な限り認知症を発症させないことが大切であると考えます。

具体的にはシニア期になりましたら毎年一度は健康診断を受け様々な病気の早期発見につなげていただきたいです。すべての病気は何らかのストレスにつながり、、ストレスは認知症を発症させる一つの要因と考えられています。

またご家庭においては上記のような行動がないかよく観察してください。少しでも怪しい行動がみられる場合は認知機能改善のサプリンメントなどを利用(本格的に症状が出る前に早期介入)することで症状の進行の緩和をはかることができます。

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上記症状は他の疾患でも認められますので、症状が認められましたら直ぐに動物病院を受診してあげてください。

夜鳴きや徘徊は猫ちゃんに多い甲状腺機能亢進症や高血圧症のあらわれかもしれません。

腎機能不全では体温が下がることがあり夜寒くて動き回っているのかもしれません。

変形の関節症も猫ちゃんでは多く、関節が痛くてトイレの出入りがおっくうになり違う場所で排泄してしまうのかもしれません。

※記事は 緑書房刊)猫の困った行動 予防&解決ブック 監修:水越美奈 著:藤井仁美
 を参考にしています。


2022-08-17 09:00:00

猫の喘息:夜中から明け方にみられる咳発作

カテゴリ : 呼吸器


おうちの猫ちゃんが「夜中から明け方にかけて咳きこんでいたりなんだか呼吸がくるしそうだな」ということはありませんか?

それはひょっとしたら猫喘息かもしれません。喘息はよく知られているようにアレルギー性の病気です。

アレルギーの原因となる物を、猫ちゃんが吸い込んでしまうと気道と呼ばれる空気(酸素)の通り道がせばめられてしまい息が苦しくなります。

少し専門的になりますが夜間は体をリラックスさせる方に働く副交感神経という神経が優位で、この神経は気道を収縮させようとします。

さらに秋から冬にかけては明け方の冷たい空気が気道を刺激します。

これらのことが夜中から明け方に喘息発作がよくみられる理由です。もちろんこれらの時間帯以外にも発作はおこります。

アレルーギーを引き起こす物としては、ダニ、花粉、フード、タバコの煙、香水などが考えられています。

ひどい発作が出ているときは、酸素室でお預かりしステロイドとよばれるアレルギーをおさえるお薬や
気道を広げるお薬を注射で投与し症状を落ち着かせます。

症状が落ち着いてきましたら、飲み薬をお渡しし自宅で様子を見ていただきます。

この時お渡しするステロイドとよばれるお薬は喘息には非常に有効なのですが、ある猫ちゃんにとってはあまり好ましくないこともあります。

そういう猫ちゃんの場合は飲み薬ではなく、吸入するタイプのお薬をお渡しすることがあります。

飲み薬は全身に作用してしまいますが、吸入タイプはおもに気道に作用しますので猫ちゃんがうける影響を小さくできるからです。

その吸入タイプのお薬を利用する時にスペーサーと呼ばれる上記写真のような器具を使用します。


2022-08-10 10:00:00

猫の膵外分泌腺癌

カテゴリ : 腫瘍


ある日「3日前から元気がなく、食べては嘔吐していた。昨日今日は食べておらず嘔吐が続いている。」との相談を受けました。

嘔吐はたくさんの病気で認められる症状ですので決めつけはよくないのですが、「膵臓や肝臓、腎臓が問題をおこしてるのかな」、「高齢なので胃腸にデキモノがあるのかな」、「2日前までは食欲はあったようなので単純に毛玉でも胃にたまっているのかな、それとも何か飲み込んだかな」などと考えながら診察に当たります。

まず触診をしてみました。小腸などにできたデキモノがある程度おおきくなっていり、腸で何か詰まっていたりすると触診で発見できるケースがあるからですが、今回は問題ないように感じられました。

次に毛玉のチェックのために簡単に胃にエコーを当ててみましたがこれも問題ありませんでした。

膵臓・肝臓・腎臓の問題は血液検査でみていきます。

血液検査では猫膵特異リパーゼという値が異常値を示しましたので、オーナー様には「膵炎かもしれませんね。」とお話ししました。

リパーゼは膵臓から分泌される消化酵素の一つで脂肪の分解にかかわっています。膵臓が炎症をおこすとリパーゼが漏れ出し自分の体を消化するようになり、腹痛・食欲の減退・嘔吐・下痢などの症状を引き起こすようになります。

ただ膵炎などの激しい炎症の場合、猫SAAという数値が異常に跳ね上がることが一般的ですが今回正常値
であったことが心に引っかかりました。

SAAは血清アミロイドAというものですが、膵臓に限らず体のどこかで炎症があると急激に増えてくると考えてください。

先ほどの続きになりますがオーナー様には「膵炎かもしれませんね。症状は膵炎と一致します。だた膵炎と診断するにはSAAが正常であるのが気になります。4,5日膵炎の治療を行ってみて改善が乏しいようなら二次病院での精査をお願いします」と説明し治療を開始しました。

5日間治療を続け嘔吐はおさまりましたがチュールを2,3本食べるようになっただけで改善には至りませんでしたので二次病院にCT検査を依頼しました。

その結果が上記の画像です。ピンクの矢印で示した部位になるのですが、膵臓に癌がみつかりました。その右上の三日月状に見えている臓器は脾臓です。

病理細胞診検査の結果「膵外分泌腺癌の疑い」とのことでした。

膵外分泌腺とは膵臓にありリパーゼなどの消化酵素を分泌しています。

今回癌化し異常に増えた外分泌腺のため通常よりも多くのリパーゼが分泌されたため猫膵特異リパーゼが上昇し、癌であり炎症ではないので猫SAAは正常であったのかもしれません。

また当院でも画像検査としてレントゲン検査を実施していたのですが、膵臓領域に少し違和感を感じましたが「膵炎を反映した像かな」と考察していました。








2022-08-03 09:00:00

毛色の変化

カテゴリ : その他



 画像の猫さんは少しだけ変わった配色をしているでしょう、頭から首は黒いのに体は焦げ茶色です、手足は黒です。

クロちゃんって言うんですが名前の通りもとは真っ黒でした。

去年腎臓のリンパ腫という病気になってしまい抗がん剤の投与を行っていましたのでその影響が考えられます。

経過は去年11月17日のブログで紹介しています。今年の5月まで抗がん剤の投与を行いリンパ腫は寛解(癌が一応抑えられている状態)しました。

その抗がん剤治療を開始して9か月目くらいから毛色に変化が表れてきました。

下は去年11月に抗がん剤を投与中の黒ちゃんです。毛色を比較してみてください。











2022-07-27 09:00:00

皮膚の良性腫瘍

カテゴリ : 皮膚病



ある日「左わき腹にイボのようなものがものがります。1月前に気づきました。」と猫ちゃんが連れてこられました。

触診しますと左肩の後方に1円玉くらいの直径のデキモノが見つかりました。

針を刺し中身を吸って検査センターで調べてもらいますと「角化物貯留病変が疑われる。(角化物が溜まっていますよ。)」との診断でした。





角化とは表皮の一番下にある基底細胞と呼ばれる細胞が順次呼び名・形態を変えながら上に向かって分裂を繰り返し最終的には垢となって表皮から剥がれ落ちていく過程です。

角化物とはその一連の過程で現れる細胞の総称です。

このようなデキモノは一般的に良性の病変であるのですが、中で炎症をおこし悪さをすることもあるので
切除することとなりました。


上の画像は切除手術前に毛を刈った時のものです。

切除したデキモノを検査センターさんで調べてもらうと、どうして角化物が貯留したのかがわかるのですが今回オーナー様がその検査を望まれませんでしたので実施していません。

診断書にもありますように毛包嚢胞、毛包上皮腫、皮膚付属器過誤腫と呼ばれる病変などが考えられますがいずれも良性のものです。

7月6日のブログで紹介しました病変は一見ただの皮膚炎に見えて悪性病変、今回の方が悪そうに見えて
良性病変です。












2022-07-20 09:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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