みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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高血圧性眼症による出血

カテゴリ : 眼


高血圧が原因で引き起こされる目の病気を高血圧性眼症と呼びます。

専門的になりますが障害をうけた組織により、さらに高血圧性網膜症、高血圧性脈絡膜症、高血圧性視神経症と使い分けをしたりします。

眼の各々の組織は一般的に豊富な血管で構成されていますので、その分高血圧による障害を受けやすい箇所と言えます。




網膜はカメラで言うところのフィルムの役割をしており目に入ってきた色や形の情報を受け取り視神経に送っています。

脈絡膜はその豊富な血管で目に栄養を届けたり、瞳孔以外からは余計な光が入ってこないようにしています。

視神経は網膜からの情報を脳に伝えています。

高血圧により上記の箇所に障害を受けた子の眼を検査してみますと、網膜剥離や眼底出血といった所見が見られます。当然視力にも問題が出てきます。

今回、眼科専門医に眼底検査を依頼しましたところ左右両眼で眼底出血が確認されました。

上記画像で見られる出血痕(時計で言う4時から7時の部位)は眼底ではなく前房に存在するものです。角膜の内側に付着しています。

高血圧がよりすすむと毛様体と呼ばれる組織にまで障害が生じ前房内にも出血が認められるようになります。

毛様体は眼の水晶体(レンズ)の厚みを調整しています。

この猫ちゃんの高血圧症の原因は腎臓病によるものでした。

現在血圧を下げるお薬を2種類内服していただいています。



2022-05-25 09:00:00

 おしっこづまりを発症した時の腎臓の様子

カテゴリ : 腎・泌尿器


石のもとになる結晶のため尿道がつまりおしっこがでなくなってしまった猫ちゃんの右側の腎臓をエコーで見た時の横断面です。

腎臓でつくられたおしっこは腎盂とよばれる場所にあつまりそこから尿管→ぼうこう→尿道という尿路を通過し排泄されます。

尿道がつまってしまいますと尿が行き場をうしなってしまい尿路内の圧が上がり最終的に腎臓に負担がかかります。

上の画像でも尿路内の圧が上がり腎盂が拡張し腎臓に負担がかかっている様子がうかがえます。

皆様が普段このような画像を見られることはまずないと思いますのでわかりやすく腎盂と尿管への入り口に色を付けてみます。



次は尿道につまった結晶を排除しおしっこが出るようになったあとの同じ腎臓のエコー画像でです。
腎盂が正常の大きさに回復しています。



わかりやすく色を付けてみます。










2022-05-18 09:00:00

高齢猫の夜鳴き 追加情報②

カテゴリ : 問題行動


4月6日と4月8日のブログでお話をさせていただいた高齢猫ちゃんですが、結局メロトニンの投与
では問題の解決には至りませんでした。

メロトニンを投与に至る考察は4月6日のブログでお話させていただきましたが、もう一つ重要な情報をその後得ました。

それはこの猫ちゃんは以前は夜になると自由に外出させていたそうです、ただ耳や目の衰えがわかった時から出先での事故を心配し外出させないようにしていたとの事でした。

この情報は最初から丁寧に聞き出しておくべきでした。

オーナー様は猫ちゃんが鳴きだしたらしばらくの間ご自宅の庭に連れ出したりし対応されていたようですが、家の中に戻すと再び鳴きだしてしまったとの事でした。

猫ちゃんが十分満足するまで外出に付き合うのは現実的に無理があります、かと言って事故の事を考えると自由に外出させることも出来ません。

夜鳴きの問題がいよいよ切羽詰まったものとなってきておりましたので、オーナー様には効能外使用であること、倫理的にずっと続けていっていいのかという問題があること、長期投与により健康面での問題が起こる可能性があることなどをご了承のもとアセプロマジンという鎮静剤を内服していただくこととなりました。

当院ではこのお薬は主にエコー検査時にどうしても動いてしまう動物に対して投与(注射剤)しています。

現在夜10時頃の内服で朝5時くらいまでは寝ていてくれるようです。


2022-05-11 09:00:00

血圧測定の様子

カテゴリ : その他


猫ちゃんの血圧測定の様子です。

チューブの先端に付属している「カフ」と呼ばれる部分を腕やしっぽに巻き付け測定します。動画の猫ちゃんは右腕に巻かれています。




ところで皆さん白衣高血圧症という言葉を聞かれたことがあるのではないでしょうか。

自宅などリラックスしている場所では血圧が正常なのにも関わらず病院では緊張から血圧があがってしまい高血圧症と診断されてしまう現象です。女性の方に多いようです。

この現象は当然猫ちゃんやワンちゃんにも見られ、緊張による影響が人間以上に測定結果に出ているものと考えられます。

また動物では測定時にじっとしていてくれないという問題もあります。

そこで各病院血圧の測定には色々な工夫をされているようです。

待ち時間が長いと緊張が増しますので時間を決めて来院していただき来院後は速やかに測定をする、血圧測定に慣れたスタッフが必ず測定する、測定専用の静かな部屋を決めておくなどです。

当院ではレントゲン検査室を暗くして私が測定しています。動画が薄暗いのはそのためです。

あるセミナーで「猫ちゃんでは院内での測定時には15~20くらい血圧が上昇してしまっているのではないか」と講師の先生がおしゃっていました。

動画の猫ちゃんは上が180下が111と少し正確性が疑われる結果でています。ただ数度試しましたが
似たような結果でしたので、正確な数字は分からないが高血圧の可能性を考慮し継続してモニターしていく必要があるとの判断ができました。

※資料にもよりますが一般に上は140くらいまでを正常血圧と考えます。

血圧測定はどういった時にされるのでしょうか、猫ちゃんでは腎不全や甲状腺機能亢進症、眼内出血を認めた時などです。

逆に先に高血圧症が見つかった時には上記の病気に高アルドステロン血症と言う病気も加え鑑別診断を進めていきます。




2022-05-04 09:00:00

十二指腸・回腸リンパ腫のおくすり

カテゴリ : 腫瘍


当院では7歳以上の猫ちゃんやワンちゃんには年1~2回の健康診断を、当然万能の検査ではないのですがその入り口の検査としてまずは血液検査をお勧めしています。

昨年末健康診断の血液検査の結果を聞きに来られた12歳の猫ちゃんのオーナー様から「昨日から急に嘔吐し始めた、食欲はあります。」との相談を受けました。

この猫ちゃん血液検査では何も異常がありませんでした。急な嘔吐ですと肝臓やすい臓といったところを血液検査では注目しますが問題ありませんでした。

オーナー様との話し合いでまずは毛玉症や胃炎のお薬、療法食で様子を見ることとしました。

それで症状は一度おさまったのですがしばらくして再発してしまいました。

このように「シニア世代の猫ちゃん・ワンちゃんが食欲はあり比較的元気なのに嘔吐が続いている、血液検査では問題ない」と言った場合は要注意なことがあります。

それは血液検査では調べることができない胃や腸に何か大きな問題、具体的には腫瘍性の疾患がが隠れていることがあるのです。

そのような時はエコー検査や内視鏡による病理検査、CT検査などを組み合わせ診断を進めていきます。

当院ではエコー検査までは可能なのですがその他の設備がありませんので、今回の猫ちゃんには2次病院を受診していただきました。

内視鏡による病理検査の結果以下の診断が得られました。



十二指腸と回腸に小型のリンパ球の浸潤が認められ小細胞性リンパ腫の可能性が高いとの診断でした。

「リンパ腫の可能性が高い」と表現され「リンパ種です」と断言されていないのは何故でしょうか?

それはリンパ球は炎症反応でもその部位に浸潤してきますので、さらに炎症性の反応か腫瘍性の反応かを鑑別しなければならないからです。

鑑別の為、リンパ球クロナリティー検査と呼ばれる検査を行います。

「クロナリティーあり」との結果は「腫瘍性の反応ですよ」と言うことになります。





以上から「十二指腸・回腸の小細胞性リンパ腫」との診断にたどり着きます。

今回「小細胞性」との診断でしたので上記画像のお薬とステロイドを服用していけばで予後は良いものと思われます。

ちなみに「大細胞性」の場合は複数の抗がん剤の注射や内服薬を組み合わせた治療が必要になります。
2022-04-27 09:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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