病院に入ってこられる前から、大きな鳴き声をあげている猫ちゃんがいました。
お話をうかがいますと「もう1年も前から夜鳴きが続いている。」とのことでオーナー様の苦悩が伝わってきました。もちろん猫ちゃん本人も大変なのですが・・・。
動画は問診後の様子を収めたものです。 この鳴き声が夜中ずっと続くと考えると困ってしまいますよね・・・。
このようなご相談を頂いた時、以下のようなことを考えています。
①耳や目、嗅覚がおとろえまわりの状況が理解できず、ご家族が寝静まる夜は特に不安になり鳴いているのでは?
この猫ちゃんは特に耳がおとろえているようでしたので不安を考えましたが、オーナー様とご一緒の布団で寝ており夜中にそこを抜け出して鳴きだすとの事でしたので不安ではないのかなと思われました。
ちなみに鳴き声が必要以上に大きくなるのは聴覚の衰えから少しでも聞こえるようした結果かもしれません。
②高齢になりますと熱を作り出す筋肉の量なども落ち体温の維持が難しくなります。特に秋から冬は寒さで目覚めてしまうこともありますので、寒さ対策ができていないのでは?
前述のようにオーナー様と一緒に寝ており、また夏場も夜鳴きをしていることから寒さが原因でもなさそうでした。
③高齢の猫ちゃんは腎臓の働きがおとろえていることが多いです。腎臓がおとろえてきますと尿量が増えおトイレがちかくなります。そのため夜間に目覚めているのでは?
この猫ちゃんも血液検査から腎臓のおとろえが見つかりましたが、まだ尿量の増加はないようです。
④甲状腺機能亢進症や高血圧症があるのでは?これらの病気や症状はまわりまわって夜鳴きの原因となります。
これらの病気や症状は検査で否定できました。
⑤メラトニンが不足しているのでは?
メラトニンは睡眠や覚醒のリズムを調整していますので不足すると質の良い睡眠の妨げになることが考えられます。
①~⑤以外にも睡眠の妨げや夜鳴きの原因となることは当然ありますが、今回①~④は否定できましたのでメラトニンの不足を考えました。
不足しているメラトニンを補ってあげれば質の良い睡眠がとれ、起きだして夜鳴きをするということも少なくなるのではと考えました。
そこでメラトニン製剤を投与し経過観察としました。
投与開始後およそ1週間目にお話をうかがいますとある程度効果は出ているようで投与前にくらべ起きだしてしまう回数が減り1~2回になり、オーナー様も寝むれているとの事でした。