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猫の乳腺腫瘍

カテゴリ : 腫瘍


猫ちゃんの乳首は一般的に左右4対で計8個、ワキの下から後ろ足の付け根のあたりまでだいたい等間隔で並んでいます。ときおり片側が一つすくない7個の子を見かけたりもします。

今回「お腹にしこりがを見つけた」との相談を受けました。

胸のあたりにしこりがさわりましたので毛を刈ってみますと、上の画像のよう右側の上から2番目の乳首の周囲に腫瘍を認めました。

拡大した画像です。



猫ちゃんの乳腺腫瘍は腫瘍の大きさ、付近のリンパ節の腫れ(腫瘍細胞の浸潤)、他の臓器への転移などから4つのステージに分けて考えます。数字が大きいほど悪いと考えてください。

今回は腫瘍の大きさが2・5cm、リンパ節の腫れと転移はない事から臨床的にステージ2ではと考えました。

※「臨床的」にとは、「獣医師がその現場でできる検査の範囲で」と言うことです。

治療は外科切除になるのですが、一般的にステージ3以上では腫瘍切除後に抗がん剤療法を組み合わせることが推奨されています。

術後の画像です。



今回臨床的にはステージ2と考えましたが、病理診断(切除した腫瘍を病理専門医に顕微鏡でどのような腫瘍かをしらべてもらう)で「リンパ節に腫瘍細胞が浸潤していましたよ」となりましたらステージ3以上と考えなくてはならず、抗がん剤療法を組み合わせなければなりません。

※周囲のリンパ節に腫瘍細胞が浸潤しているということはそれを超えて他の場所に腫瘍細胞が転移している可能性があります。リンパ節は病原体や腫瘍細胞をできるだけ食い止める関所のような働きをしています。

一般的に猫ちゃんの乳腺の腫瘍はその90%が悪性腫瘍と言われています。




2022-03-30 09:00:00

糖尿病  インシュリン離脱

カテゴリ : 内分泌:ホルモンの異常や糖尿病

今回は糖尿病の治療でインシュリンの投与が必要でなくなった猫ちゃんのお話です。

糖尿病は何らかの理由でインシュリンというホルモンが作られなくなり発症します。

インシュリンは血液の中を流れている糖分(エネルギー)を体(細胞)の中に取り込む働きをしています。

そのインシュリンが無くなってしまうと体はエネルギーを利用することができなくなり弱っていきます。

利用されなくなった糖分は血液中で増えていきます。血液中の糖分が増えるとのどが渇きお水をたくさん飲みます。

そして行き場を失った糖分は最終的におしっこといっしょに捨てられてしまいます。本来おしっこのなかにはないはずの糖分が現れるので糖尿病と呼ばれます。

フードを必要以上にあたえていたりすると、よぶんなフード言い換えれば糖分(エネルギー)のぶんもどんどんインシュリンが利用されやがて無くなってしまいます。

インシュリンを作る工場が疲れてしまい生産をやめてしまうからです。

ワンちゃんでは糖尿病を発症しインシュリンの投与が必要になると生涯投与を続けなければならないことがほとんどですが、猫ちゃんではインシュリンが体の中で再度作られるようになりインシュリンの投与が必要でなくなる子もいます。

先月「急にお水をたくさん飲むようになりおしっこの量が増えた」という猫ちゃんがいました。

当院が休診であったため別の動物病院さんで糖尿病との診断をうけ数日間入院のあと無事退院され、その後当院で引継ぎをさせていただきました。

別の動物病院さんでの血液検査の結果です。



血糖値(GLU:グルコース)が大幅に基準値を超えています。尿検査でも尿中に糖分が出現していました。

治療は以下のインシュリン製剤が投与されていました。



通常インシュリンは1日2回の投与が必要な事が多いのですが、オーナー様のお仕事の時間が不規則なものできちんと時間をきめて2回投与することが困難であったため1日1回の投与としました。

同時に糖尿病用のフードも利用して頂きました。

糖尿病の治療が上手にできているかがご自宅で確認できる目安としてお水の飲む量が正常かどうかみておくというのがあります。

今回の猫ちゃんは1日1回の投与に切り替えても飲水量は正常のままでした。

別の動物病院さんを受診されてからおよそ1か月後の血液検査結果です。



FRU(フルクトサミン)という成分の値を測定しています。フルクトサミンはおおざっぱに言いますと過去2~3週間の血糖値の平均値と考えてください。

結果は309でわずかに<300の判定基準から外れますが、総合的に判断して「インシュリン非依存状態に戻った」言い換えますと、再び自分でインシュリンが生産できるようになり外からインシュリンを注射しなくてもよくなったと考えました。

そこでオーナー様と話し合い、糖尿尿用フードは継続しインシュリンの投与を中止してみることとしました。

経過は良好で投与中止からおよそ2週間後のフルクトサミンの値です。



数値は269でさらに安定していました。

フードの継続、飲水量のチェック、定期的な血液・尿検査をお願いいたしました。

糖尿病用フードは療法食メーカーから何種類か発売されています。

今回利用しました糖コントロールは食後の急激な血糖値上昇をおさえるように開発されているようです。

食後の急激な血糖値上昇はインシュリン生産工場に負担をかけ糖尿病発症のリスクを高めます。










2022-03-23 09:00:00

猫坂

カテゴリ : その他


芸能人が故郷で80万円を使い切るという内容の番組をみました。その回はロッチの中岡さんが故郷の
奈良県橿原市を訪問していました。

その時に尋ねたお店の中に明治時代から続く「だんご庄」というきびだんご屋さんがありました。

とてもおいしそうでしたので休日ツーリングがてらスーパーカブで買いに出かけました。

その帰り道、法隆寺を通り過ぎ少し走ったところで下り坂にさしかかりその途中で気になる標識を見つけました。

小さくて分かりにくいですが「猫坂」とあります。画像は上り方面から撮影したものです。

ネットで由来を調べてみますと猫の背中のように緩やかに曲がっていることから名づけられたと紹介している方がいらっしゃいました。

で実は僕が下っていた坂は猫坂ではなくて本来の猫坂はこの標識のところを(上り方面から見て)左折していく側の坂になります。肝心のところは画像におさまっていません。

この坂を下りきると在原業平の和歌で有名(妻に聞きました)竜田川に差し掛かります。竜田揚げの名前の由来との説もあります。

奈良県にはもう一つ「猫坂」とよばれる場所が東大寺にあり、こちらは転ぶと猫になってしまうという伝説が由来だそうです。

お団子は素朴な味でとても美味しかったです。








2022-03-16 09:00:00

尿中ヘモグロビンチェッカー

カテゴリ : 腎・泌尿器


最近発売されたものですがおしっこに血が混じっていないかを調べることができます。

ヘモグロビンは血液(厳密には赤血球)の中に含まれており、それが検出されたということはおしっこに血が混じっているすなわち血尿があるという証明になります。ちなみにヘモグロビンは肺で取り込まれた酸素を体の隅々に運んでいます。

「血尿があったらさすがに見てわかないですか」と思われるかもしれませんが、症状が軽いうちはいつもと変わらない色に見えます。

このヘモグロビンチェッカーを利用することで、血尿を生じる病気、主に腎臓や膀胱の病気を早期に発見することにつながるのではと思われます。

使用方法はトイレの猫砂の中にこの製品を少量混ぜておきます。血尿を検知すると本製品の色が青く変色します。




このような形でおしっこの異常を検出する製品は今までも発売されており広く利用されています。

それらの製品はヘモグロビンの検出ではなく主におしっこの性質が大きく変化していないか、具体的にはおしっこの性質が酸性側、アルカリ性側のいずれかに大きく傾き過ぎていないかを調べています。

おしっこの性質の変化は膀胱内や尿中に石(結石や結晶とよばれるもの)をできやすくします。特にアルカリ性に傾くとストラバイトと呼ばれる石ができやすくなります。

これらおしっこの性質の変化を調べる製品を利用することで結石や結晶が原因でおこるトラブルを例えば膀胱炎などを早期に発見することが期待できます。

ただ膀胱炎には結石・結晶が原因の膀胱炎の他に、特発性の膀胱炎とよばれるタイプのものをよく見かけます。

特発性という言葉は原因があまりはっきりしないものに対して使用します。

特発性の膀胱炎の場合はストレスが原因の一つではないかと考えられています。ストレスは交感神経という神経をまわりまわって膀胱の粘膜を刺激し膀胱炎を発生させます。

この現象はおしっこの性質がどのような状態でも起こりうるため、特発性の膀胱炎のチェックにはヘモグロビンを検出するタイプの製品のほうが良いのかなと思われました。

※何例も検証を重ねたわけではありませんので、今のところ私がそう思うという程度でとらえて下さい。
一応メーカーにも問い合わせましたが、おしっこの性質の変化だけではとらえきれない特発性の膀胱炎や
膀胱の腫瘍の早期発見に既存の製品に比べて有利なのではないかと考えていますとの事でした。


























2022-03-09 09:00:00

片側の眼が黒くなってきた 虹彩メラノーシス

カテゴリ : 眼


毎月爪切りにこられるオーナー様からある日「右目だけ黒くなってきたような気がします。ネットで調べると虹彩メラノーシス?とかなにか怖いことが書いてありました。」との相談がありました。

確認してみますと、この猫ちゃんでは本来薄い緑色であった虹彩と呼ばれる場所の周辺が茶色くなってきていました。

虹彩とは目に入ってくる光の量を調整するために閉じたり開いたりしているところです。

比較のために左目の画像も載せておきます。



明らかに右目の虹彩の周辺部分のほうが茶色いですよね。

このような目を見た時獣医師は「虹彩のメラノーシス」と「虹彩のメラノーマ」のどちらであるかを
考えなければなりません。

メラノーシスは簡単に言いますと黒い色素が沈着したシミのようなものですがメラノーマは黒い色素を作り出す細胞が癌化したものです。

メラノーシスはシミですのでそれほど悪いものではないように思われるかもしれませんが、それが変化してメラノーマになることもあります。

初期の段階ではその見極めが難しいこともあり、獣医眼科専門医であるどうぶつ眼科専門クリニックを受診していただきました。

診断は「虹彩メラノーシス疑い」との事でした。

経過観察をしていき、以下のような症状が現れたら要注意とのことでした。

①色素の沈着が班状におこってくる。色素沈着部が盛り上がってくる。

②瞳孔(いわゆる黒目の部分)の大きさが左右で違ってくる。虹彩が反転してくる。

③前房(目のレンズの前にある空間で眼房水と呼ばれるお水で満たされている)内に細胞が浮いている。

④シミの領域が広がる。

⑤眼圧の上昇や炎症のきざし。

などです。

※①~⑤の症状について診断書には専門的な用語で記載されています。一般の方にもできるだけ理解していただけるように簡単に表現しています。

















2022-03-02 09:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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