みなさまに心の安らぎをご提供できる「かかりつけ動物病院」を目指しています。茨木市のハリマウ動物病院

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排便困難③

カテゴリ : 消化器





「また便が三日間ほど出ていません。」と連れてこられた猫ちゃんのレントゲン写真です。

大腸にまんべんなく便が認められます。

大腸はお腹の正面から見ますとちょうど「❓ クエスチョンマーク」のような形に見えます。

分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。




大腸もう少し詳しく言いますと上行(頭側に向かっている部分)結腸、横行(画面の左から右へ向かっている)結腸、下行(肛門側へ向かっている)結腸内すべてに便が認められます。

幸い前回のブログで紹介いたしました猫ちゃんのように大腸が2倍にも3倍にも太くなっているということはないようです。

2倍にも3倍にも大腸が太くなっていると大腸が機能的に働けていないと考えますが、この猫ちゃんの場合は4日前までは毎日排便していたようですし大腸の太さも普通ですので大腸は充分機能的に働けるものと思われます。

このような時にはまず緊急の処置として浣腸や指での便のかきだしを行います。

その後療法食を利用してあげると便秘の解消が期待できます。

療法食の1例です。






これはヒルズ社製のものですが他にもロイヤルカナン社から消化器サポート(可溶性繊維)というフードも出ています。

このようなフードは可溶性繊維、不溶性繊維と呼ばれる成分が程よく配合されています。

可溶性繊維は便の中に水分を引っ張ってくる働きで便を軟化させ、不溶繊維は大腸を刺激しその運動をうながします。

私は使用経験はありませんが可溶繊維はサイリウムとよばれる成分でサプリも利用されているようです。

また大腸の運動をうながすために嘔吐止めとして利用されるモサプリドと呼ばれるお薬を一緒に処方したりすることもあります。

今回「また出ていません」とおっしゃられているように一年ほど前にも同じ症状でのご相談があり上記フードを処方しておりましたが便秘が解消されてからは市販フードを与えられていたそうです。

便秘の原因は様々でありフードだけで問題が解決するわけではありませんがオーナー様には療法食を継続していただけるようお願いいたしました。








2022-10-12 09:00:00

排便困難②

カテゴリ : 消化器



大腸の太さが普通の2~3倍くらいになってしまった猫ちゃんのレントゲン写真です。

この猫ちゃんは子猫の時に何らかの事故で脊椎を損傷していました。そしてその後遺症から排便に問題を生じ常に便秘気味でした。

対策として便秘対応の療法食を利用していただき、最初は少量の硬い便ではありましたが毎日排便しておりました。

それがやがて2日に1回、3日に1回と不規則な排便状態となりました。

あまりにも便秘がひどくなり食欲・元気に問題を生じるような時には浣腸をしたり鎮静剤を注射し指で便をかきだしたりしていました。

上の画像は1週間排便がなかった時のものです。分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。

普通大腸の太さはこれの半分~3分の1位です。


大腸がレントゲンのような状態にまでなり尚且つ排便が全くなされないような状況では、便秘用のフードの利用はかえって問題を悪化させてしまいます。

というのは便秘用のフードは可溶性繊維・不可溶性繊維がバランスよく配合されていて、便に水分をひきつけ便を軟化させたり大腸を適度に刺激したりして便秘の解消につながるのですが通常のフードより便量が増えてしまいます。

全く便が出ない猫ちゃんにはかえって負担となってしまいます。

そこでこの猫ちゃんには前々回のブログでお話ししました他のフードと比べてわずかながら便量の少なくなるフードと便の軟化剤を処方しました。

現在2~3日に1回くらいの排便ペース、日によっては連続して二日排便することもあるようです。

現在のレントゲン写真です。



分かりやすくオレンジのラインを入れてみます。大腸の太さが通常くらいとなりました。

今後この状態が維持できるか経過を見守っていきます。




2022-10-05 09:00:00

アニメ 「夜は猫といっしょ」

カテゴリ : その他



ねこ医学会という会に参加しているのですが先日「夜は猫といっしょ」というアニメのポスターが送られてきました。

今年の8月上旬からyou tubeで毎週水曜日に配信されています。

1話約1分間程のアニメで、兄フータくんの所に妹ピーちゃんが猫のキュルガを連れて引っ越ししてくるところから物語が始まります。

毎話、何げない生活ので猫がどのように飼い主に接するかかがほのぼのと描かれています。

猫好きには「あるある」が満載で、これから猫を飼ってみようかなと考えている人には猫の習性を知る良い機会となるのではないでしょうか。

エンドクレジットに出てくる脚本・演出の芦名みのるさんは臨床獣医師さんだそうです。

ポストカードも同封されていました。

受付に置いてありますのでご自由にお持ち帰り下さい。

2022-09-28 09:00:00

排便困難

カテゴリ : 消化器




ある日「急に食べたものを嘔吐し、その後胃液を吐き続けている。食欲もない。昨日までは普通だった。」という猫ちゃんが連れてこられました。

問診や触診、検査の結果から肝疾患と診断し治療を始めました。

肝疾患と診断した理由は肝臓に何らかの問題があると血液検査でALT(GPT)という成分が異常値を示すのですが、初診時にALTの値以外は他に目立った異常が見つからなかったからです。

実際猫ちゃんでも急に肝臓に負担がかかり(負担がかかるとALTが上昇したりします)、結果嘔吐・食欲不振につながることが結構あるからです。

そこで治療を開始したのですが反応はあまりよくありませんでした。嘔吐は治まったのですが、1日にチュールをがんばって3~4本食べるのがやっと、軟便・下痢もおこすようになったという状況でした。

その後何とかドライフードも食べてくれることがわかりましたので、軟便対策として下痢・軟便用の病院食も与えてもらうようにしました。

ドライフードに切り替えた数日後「2日間便をしていない。きばるが出ない、途中であきらめてトイレから出てくる」という説明がありました。

この時に初診時「硬い便を少しづつしていた」というオーナー様がされていたお話に思いが至りました。

もう一度初診時のレントゲン(上の画像です)を確認してみますと何やら便が肛門の手前でせき止められているようにも見えます。

理解していただきやすいよう矢印をつけてみます。下の画像です。




オレンジのラインが直腸でその中身が便でなのですが、ピンクの矢印のところでせき止められています。

肛門から人差し指を入れると1cmくらい進んだところ、ちょうど矢印のところで直腸が巾着袋の入口を閉めたように狭窄しておりそれ以上指を進めることができません。

この猫ちゃんには本当に申し訳のない事であったのですが、体調がすぐれなかった主たる原因は肝臓の不調ではなく、この直腸の狭窄により便が出づらいためであったとこの時に気づきました。

チュールだけの時は正常な硬さの便にならず、量もさほど多くなかったので軟便として何とか狭窄部を通過していたものが、ドライフードを食べるようになって正常な硬さ・ある程度の便量になってしまったので狭窄部を通過出来ず2日間便が出なかったのでしょう。

オーナー様にお願いし二次病院で精査を受けていただきました。

狭窄部での腫瘍の発生が心配だったのですがそうではありませんでした。



治療としては狭窄部の外科切除や人工肛門の設置などが提案されましたが、オーナー様の希望により保存療法としました。

具体的には他製品よりも便量の少なくなる下記ドライフードと、ラクツロースと呼ばれる便を軟便ぎみにする水薬りを使用していただくこととしました。

現在、食欲・排便(軟便状態ですが)ともに問題ないようです。





2022-09-21 09:00:00

乳腺腫瘍:リンパ節の切除

カテゴリ : 腫瘍



上の画像は乳腺を切除する時に付属するリンパ節をとっている様子を撮影したものです。

猫ちゃんの乳腺はワキの下から始まり後ろ足の付け根まで続いていますが、乳腺腫瘍の時は腫瘍のある箇所だけを切除するのではなく乳腺すべてを切除します。

と言うのは猫ちゃんの乳腺腫瘍はそのほとんどが悪性で触ってみて何ら変化の無い箇所にも既に細胞レベルでがん細胞が転移をしている可能性があるため、その取り残しをできるだけなくすためです。

下の画像で黒い線で囲ったところをすべて切除します。


乳腺をすべて切除することともう一つ大切なことは付近のリンパ節も一緒に切除することです。

リンパ節は細菌やウイルス、がん細胞が周囲に広がっていかないように関所のような働きをしています。

リンパ節を一緒にとるのは既にがん細胞をとらえているかもしれず、そのままにしておくと一部が転移してしまうかもしれないからです。

乳腺ではワキの下と後ろ足の付け根付近にリンパ節があります。

ワキの下には2か所あるのですが、一番上の画像ではその一つ「副腋窩(ふくえきか)リンパ節」をとっています。

とれた「副腋窩リンパ節」です。




術後の画像です。



2022-09-14 09:01:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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