
猫ひっかき病(バルトネラ感染症)はバルトネラと呼ばれる菌が引き起こす人間の病気です。
この菌をもっている猫ちゃんに人間がひっかかれたり、かまれたりすると熱や倦怠感がでたり傷ができた近くのリンパ節が大きく腫れあがったりします。
この菌は猫ちゃんに対して感染はするのですがほとんど悪さはしませんので我々獣医師が動物病院で「この猫ちゃんはバルトネラ感染症が疑われますね」というような状況はほぼありません。
私自身もオーナー様から「この前ひっかかれて脇のリンパ節が腫れたんです」といったような話を聞き猫ひっかき病をたまに認識するといった感じです。
この菌はノミやマダニが運んでくることが分かっています。
私の手元にある「猫の治療ガイド2020」という本では「日本では7~9%の猫が保有しており、3歳以下の猫での保有率が高い、1~2年は菌を保有している猫もいるが抗体(病原菌を倒す武器)により菌が排除されるので大人の猫での感染報告は少ない。」となっています。
ですので保護したばかりの猫ちゃんにノミが寄生していたらノミを駆除するとともに引っかかれたり・かまれたりしないような注意が必要です。
このバルトネラ菌は猫ちゃんにはあまり悪さしないというのが最近までの認識でしたが、先月参加した猫の心筋症(心臓の筋肉になんらかの障害を生じ心臓病をおこす)に関するセミナーで心内膜炎(心臓の内腔を内張する膜の炎症)が原因の心筋症ではこの菌が悪さしているのではないかとのお話がありました。
猫ひっかき病を人におこした猫ちゃんは将来自身が心筋症になってしまうリスクがそうでない猫ちゃんよりも高いのかもしれません。