
ある日「首にケガをしています」とのことでキジ猫さんが連れてこられました。
左耳の後ろあたりにがケガがみつかりその周囲の毛が膿でベタベタになっていました。
それであるトラブルが考えられましたのでオーナー様に「この子は外出しますか?」と質問しますと「しません」との事でした。
あるトラブルとは「皮下膿瘍」とよばれるケガの事でこれは外出をする猫ちゃんで見られることが多いです。
他の猫ちゃんとのケンカで咬まれその時に皮膚の下にバイキンが植えつけられしばらくするとその箇所が膿んできます。膿がどんどんたまり腫れあがりやがて皮膚が破れて画像のような状況になります。
一昔前はよく見かけたトラブルでしたが猫ちゃんの完全室内飼が当たり前になった近頃は遭遇することも少なくなってきました。
この子は外出しないとのことでしたので「皮下膿瘍でもないかのかぁ、なんだろう」と毛を刈ってみたところです。

皮膚がさけ一部が壊死(黒いところ)していました。皮下膿瘍の時に見られる傷に似ているところもあるのですがそれとはちょっと違うようです。
画像では伝えづらいのですが何か鋭利なもので切り裂かれその後膿んでしまったように感じました、何かに引っかかっり傷になったのでしょうか。オーナー様には傷の原因になるようなものに心当たりがないとの事です。
下の画像は壊死部を切除したところです。

治療は「傷口を消毒し綺麗にし麻酔をかけて縫い合わせてお薬を飲ませれば」と思われるかもしれません。
もちろんそのような方法をとる事もあるのですが今回は自然と傷口がふさがってくるのを待つ方法を選択しました。
具体的には傷口を洗浄しそのあと保湿ジェルと保湿パッドで傷口を保護します。
保湿ジェルをのせたパッドです。

消毒後パッドで傷口を保護します。

パッドを包帯テープで固定します。テープやパッドを取らないようにカラーをつけます。

(※実際の傷の手当中の画像を残すのを忘れてしまいましたのでぬいぐるみで再現しました。)
これを毎日~数日おきに行います。
傷口があるていど小さくなったらパッドや包帯テープはなしで消毒とある軟膏の塗布だけ行っていきます、
およそ3週間後、傷は良くなりました。
