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胸腺組織の残存

カテゴリ : その他

      ※胸を横向きに撮影しています。向かって左が頭側になります。

このレントゲン写真は生後7か月目の雌猫さんで避妊手術時の術前検査のため撮影したときのものです。

写真を見たときに直ぐに「おやっ」となりました。というのも本来黒く撮影される部位が真っ白に写っているからです。

皆様には何のことだかとなってしまうと思いますので写真に印をつけてみます。






ピンクの線で囲んでいる部位が「おやっ」と感じた箇所です。本来ここは黒く写ります。

これは本来生後半年目頃には退縮しレントゲンでは写ってこない胸腺と呼ばれる組織が残存しているため白くなっていると考えられました。

念のため二次病院でCT検査を受けていただきましたが「胸腺組織の残存」という診断でした。

胸腺は心臓の頭側にあり幼若な時期の免疫に関わっています。免疫とは病原菌と対峙する武器です。

胸腺は成長とともに脂肪組織に置き換わりやがて退縮していきます。生後2か月目くらいですとまだ普通にレントゲンで確認できます。

一部残った胸腺が胸腺腫という腫瘍にになることもあります。

上の写真から4年後のレントゲン写真です。




胸腺組織も退縮し心臓の頭側も黒く写っています。
2022-07-13 09:00:00

猫の皮膚型肥満細胞腫

カテゴリ : 皮膚病



ある日「お腹にかさぶたががあり治ったりできたりを繰りかえしている」との相談を受けました。

下腹のあたりの毛をかき分けてみますと皮膚の表面が写真のような状態にになっていました。

一瞬、何かの感染症による皮膚炎のように見受けられオーナー様もそのように考えられていたようです。

ただよく見てみますとなんだか病変部が盛り上がっています。また同じ個所で繰り返しいるのもおかしなことですのでオーナー様には細胞診と言う検査をお勧めしました。

細胞診とは注射ポンプについた針を病変部に突き刺しその中身を吸引し検査センターに送り、その正体が何であるかを調べてもらいます。

結果以下のような診断が得られました。



皮膚型肥満細部腫はなお腹の中、特に脾臓で発生したものが皮膚に転移してきていることもありますので
エコーで脾臓を中心にチェックしてみましたが問題ありませんでした。

猫ちゃんの皮膚型肥満細胞腫は単独で発生した場合は手術で取ってあげると大事に至らないことがほとんどです。


2022-07-06 09:00:00

保護猫にゃんちゅー 経過

カテゴリ : 保護猫応援活動



昨年ブログでお話しさせていただいた保護猫にゃんちゅーのその後の経過報告です。

にゃんちゅーは昨年10月に生後一か月半くらいで保護されました。

保護時右前足は前腕と上腕が皮一枚でなんとかつながっている状態、右後ろ足は太ももから下が完全に無くなっている状態でした。前後とも残っている部分はウジが湧き一部壊死していました。

当時の経過は昨年12月15日のブログ記事を参考になさってください。動画もあります。

治療としては壊死している足を前後とも切断しなければなりません。通常は前足は肩関節から下を、後ろ足は股関節から下を全部切断します。

私はいつも整形外科症例は他院に依頼しておりますが、オーナー様との話し合いで当院で実施させていただくこととなりました。

前後とも一部足を残す方法を選択させていただきました。この方法は上記の方法に比べ簡便に実施できる為です。

ただこの方法は一部残した足を使用してしまい切断面を負傷してしまう、あるいは生涯にわたって服などを着せ切断面を保護するような処置をとらないといけなくなるかもしれないというようなデメリットなどがあります。

にゃんちゅーも、今年3月になり前足の切断面からお汁がにじむようになりクッションなどを付けた服を着せ切断面の保護を試みたりしたのですが最終的には皮膚が破れてくっつかないとう状態になってしまいました。

オーナー様には関節からの断脚が可能な病院での受診をお願いしましたところ、義足の取り扱いもある病院をご自身で探してこられましたので転院をしていただきました。

義足も視野にしばらく通院をされていたようですが、最終的には断脚がベストとの判断になったようです。

先日術後の様子を見せに来てくださいました。写真はその時のものです。

家の中を元気に走り回っているとのことで一安心です。























2022-06-29 09:00:00

胆汁嘔吐症候群:自動給餌器

カテゴリ : 消化器


「朝起きると黄水をよくもどしているんです。」というご相談を受ける事が時々あります。

これは晩ごはんから次の日の朝ごはんまでの間隔が空きすぎ、空腹にもかかわらず小腸に分泌された胆汁酸という消化液が胃や食道に逆流し刺激するためと考えられています。

ご飯の間隔に偏りのないよう12時毎にしていただいたり、2回のところを3回に分けていただいたりして空腹時間を短くしていただくと問題が解決することがあります。

たいていワンちゃんのオーナー様からの相談であることがほとんどなのですが、ごくまれに猫ちゃんのオーナー様からも相談があります。

以前こう言うことがありました。

その猫ちゃんは仕事場でお世話されており、朝ご飯は午前9時頃、夜ご飯は午後5時頃となっていました。

最後に退社される方がだいたい午後9時前になるとの事でしたので「晩ごはんを退社直前にしてみてください」とアドバイスしましたが、朝出社してみるとやはり黄水をもどしているとのことでした。

そこで自動給餌を用意していただき、御飯の時間を午前9時、午後5時、深夜0時にしていただきました。

この方法で問題は改善されました。


2022-06-22 09:00:00

猫パルボウイルス感染症

カテゴリ : 感染症・予防

猫パルボウイルス感染症は突然の下痢と嘔吐、食欲不振を主な症状とする致死性の高いウイルス感染症です。

血液検査では白血球数の減少を特徴的に認めますので猫汎白血球減少症とも呼ばれます。

このウイルスの恐ろしいところは消毒や乾燥に強よいという事です。汚染場所にとどまりいつまでも感染源となる可能性があるという事です。

先月生後1か月くらいの子猫が保護されてきました。

結膜炎を患っており目やにを認めましたが、フードを与えてみるとよく食べてくれました。

保護猫さんで心配になってくるウイルス感染症はいくつか存在するのですが全てを直ぐにチェックすることはできません。院内では猫エイズウイルス感染症、猫白血病ウイルス感染症は直ぐに調べる事が可能ですのでチェックしてみますと陰性でした。

ただ心配だったのがこのお宅にはワクチン未接種の先住猫さんが居ました。当院へは保護してから7時間後くらいに来院されており先住猫さんとの接触はさせていないという事でしたので、オーナー様には引き続き安全のため1か月は隔離期間を設けていただくようお願いし目薬と内服薬をお渡ししました。

それから1週間後「最初の2日間は非常によく食べていたがそれ以降食欲が低下し黒いウンチをするようになった」との事で再来院されました。目やには改善しておりました。

血液検査をしますと白血球数が減少をしておりパルボウイルス感染症が頭をよぎりました。

抗体検査を実施しますとIgM抗体 陰性、IgG抗体 陽性(20倍)との結果でした。




抗体とは病原体を退治するための武器で、その存在は過去にその病原体に感染していた、または現在感染しているという事が言えます。

IgMやIgGは抗体の種類です。IgMという武器は感染初期に作られやがて消えていき、前後するように今度はIgGという武器が作られてきます。

IgGのみ陽性であることから感染からある程度時間が経過していることが推察されます。

この保護猫さんは生後直ぐあるいはお母さんの体内で既に感染していたのかもしれません。

この感染症には特効薬がなく点滴などで体力を維持しその子の生命力に期待するしかない致死率の高い病気です。

この保護猫さんも治療開始2日後に残念ながら亡くなってしまいました。

それからもう一つ恐れていたことが現実となってしまいました。

保護猫さんが亡くなってから5日後、今度は先住猫さんが「突然食欲が無くなり嘔吐・下痢が始まった」との事で連れてこられました。

血液検査では白血球数の減少が見られ、抗体検査ではIgM(40倍)、IgG(160倍)ともに陽性でした。

今回は糞便を使った抗原検査も行うことができました、結果は陽性でした。FPV-Agという項目のところです。


抗原とはウイルスそのものの事です。抗原検査陽性ということは便からウイルスが見つかったということです。

IgM、IgGがともに陽性であることから感染初期から中期にさしかかったところではと推察されます。

オーナー様は1階と2階で保護猫さんと先住猫さんを分けるなど注意されていたようですので、手や足、
衣服に付着したウイルスを運んでしまっていたのかもしれません。

また直接の接触はなかったが先住猫さんが保護猫さんの匂いを嗅いでいる瞬間がわずかながらあったとの事でした。

あらためてこのウイルスの恐ろしさを見せつけられた思いでした。

パルボウイルスは一般的な3種混合ワクチンで予防することができます。

猫好きさんは子猫が鳴いていると何とかしてあげたくなってしまいますよね、ただ子猫に触れる前、保護する前にご家庭の猫ちゃんがワクチン接種済みであるかを再認識してください。

お家に猫がいない方に保護をお願いする事も考えてみてください。

どうしてもご家庭に連れて帰られる場合でも、最低でも1か月は隔離期間を設けて、手洗い衣服を着替えるなど感染対策には十分配慮ください。


先住猫さんは支持対症療法で回復し現在元気よく暮らしています。




2022-06-15 09:00:00

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猫のフィラリア症ムービー(リンク先に動画があります)
https://www.nekomamo.com/parasite/filaria/movie/

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