2年前の少し古いお話になりますがタイガースの試合を観戦に甲子園に行きました。
試合開始までまだまだ時間がありましたので甲子園横のCorowa甲子園内にある書店をぶらぶらしている時に目に飛び込んできたのがこの本でした。
表紙にある 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見 という言葉にひかれたのですが
最初はトンデモ本のひとつかなと思いながらも猫好きとして気になり暇つぶしがてら読んでみるかと購入しました。
結果とても真面目な本で知的興奮をおぼえ、またその時点でAIMの存在を全く認識していなかった自分の無知を恥じました。
AIMとはAppotosis Inhibitor of Macrophage(アポトーシス インヒビッター オブ マクロファージ) の頭文字をとった言葉です。
あえて日本語で表すとマクロファージ(単球)の死を抑制する因子となるでしょうか。
単球は血管の中を流れており、体の中に入ってきた細菌などの異物を食べて消化をし健康をたもつ働きをしています。
AIMはこの単球の働きをアシストしています。
単球は細菌などの異物を食べるだけでなく、体の中でできた老廃物すなわちゴミも食べてくれます。
多くの猫ちゃんを苦しませる腎不全はこのゴミが腎臓に詰まることによっても引き起こされます。
AIMは抗体という体を守る武器に普段くっついているのですが、ゴミを探知すると抗体から離れてゴミに付着し単球に「ここにゴミがあるよ」と教えてゴミを食べてもらいます。
ただ猫ちゃんではこのAIMが抗体から離れにくく、結果単球にゴミの存在をしらせることができずゴミがたまりやすいそうです。
これが猫ちゃんが他の動物に比べて腎不全が多い一つの理由のようです。
本の中ではマウスから取り出したAIMを重度の腎不全の猫ちゃんに投与しみるみる回復していく様子が書かれています。
冒頭、AIMの存在を全く知らなかったことを恥じましたとしたのは
その時点で既にいくつか論文が発表され獣医さんのなかでもある程度話題になっていたのに知らなかったこと、
新聞やテレビでも少し話題にになっていたのでしょうかこの本を手に取る数か月前に二人の猫の飼い主様から「腎不全のすごい薬(おそらくAIMのことだったのでしょう)ができるそうですね。発売されたら教えてくださいね」と言われていことからです(飼い主様の方が先に認識していたということになります)。
残念ながらこのAIM製剤ですが実用化にはあともう少し時間がかかるようです。
それで去年マルカンさんから「AIM30」というキャットフードのシリーズが発売されました。
この本の著者 宮崎徹先生(人間のお医者様でお若い時にサイエンスにもAIMとは別の研究ですが論文が掲載されています)も開発に携わっているようです。
ただAIMが直接入っているわけではなくAIMの働きをサポートすると考えられているA-30という成分が入っているそうです。
この本の中でドリアンからAIMの働きをサポートする成分を発見したとありました。
マルカン社のホームページのAIM30の説明ページにはこの発見についての記載がなかったので、お客様窓口で直接聞いてみたところA-30はドリアンから抽出したとの事でした。