10月の終わり頃「今朝ご飯を食べた後から呼吸が荒くなり、口で息をしている。今までも鼻が詰まったような水が入ってしまったような仕草はがあったが今日は長い。」との事で黒猫さんが連れてこられました。
上の動画はその時の様子を撮影したものです。開口呼吸はおさまっていたのですが、お腹かの動きから苦しそうな呼吸の様子がうかがえます。
そこでレントゲン撮影を行ってみました。
猫ちゃんを左横からながめたイメージです。肺、肺に空気を送る気管、心臓、胸とお腹を分ける横隔膜(おうかくまく)、胃が撮影されています。
説明を入れてみます。
呼吸状態が悪い時まずは肺や気管が気になるところですが特に大きな問題がはないようです。
ただ今回詳しい説明は省きますが「横隔膜の扁平化」と呼ばれる状態が確認されます。これはがんばって呼吸をおこなわないとならない時に認められます。
またがんばって呼吸をおこなうと空気を飲み込んでしまう状況が発生し胃の中に大量の空気(ガス)がたまってきますが、その様子も確認できます。
これらの状況から今回の事は「喘息」ではないかと仮診断しました。
喘息をおさえるお薬を注射し様子をみさせていただくことにしました。
下の動画は注射2時間後の様子です。
お腹でおこなっていた呼吸はおさまり症状がなくなっています。
その時のレントゲン写真です。
呼吸が楽になったため空気の飲み込みが無くなり胃の中にあった大量のガスも消えています。
今回のような激しい症状は初めて起こったことで、まだ喘息とは確定できません。
注射をしなくても自然とおさまっていた可能性もあり今後の経過を見ていかなければなりません。
ただし念のために喘息をおさえる吸入薬をお渡し退院していただきました。
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ところで一番上の動画の20秒あたりのところから猫ちゃんの「のど」のあたりを見ていただきますとカエルの「のど」のよう
にふくらんだりもとにもどったりを繰り返しています。息をはいた時にふくらんでいます。
気管の周囲にみられたガスが関係(食道に溜まったガスかなと考えているのですが)しているものと思われます。
実はこの猫ちゃんはこの時点でほぼ5か月の男の子なのですが体重が1.12㎏とかなり小ぶりです。
小猫症と呼ばれる猫ちゃんたちがいるのですが、そのことと何か関連がある可能性も考えられます。
今後喘息の症状が頻発したり、小猫症をおもわせるような症状が認められるようになったら2次病院での精査をお願いする必要があるかもしれません。