FIP(猫伝染性腹膜炎)は猫コロナウイルスによって引き起こされる感染症です。
以前はこれと言った特効薬がなく致死的な恐ろしい病気と考えられていたので
すが、数年前に抗ウイルス薬を使用した治療法が発表され回復の見込める病気
となってきました。
当院では抗ウイルス薬としてモルヌピラビルというお薬のジェネリック薬品を在庫しています。
抗ウイルス薬としては他にGS-441524やレムデシビルというお薬があり海外からの輸入になるのですがとても高価なお薬で当院のような個人病院では在庫しておくことが難しいです。
モルヌピラビルについては先発品の取り扱いが日本であるのですがやはり高額
なため在庫しておけません。
いずれの抗ウイルス薬も84日間投与が必要です。
当院ではモルヌピラビルのジェネリック薬品を現在のところ1日分600円で処方しております。(現時点では1ボトル7000円くらいで入手可能ですのでそこから考えますとかなり高い価格設定になっています。将来的にはもう少し抑えられればと考えています。)
FIPの診断には血液検査、レントゲン検査、エコー検査、胸水・腹水検査などを組み合わせ行うのですが確定をするまでに4~5万円くらいかかります。
ですので合計の費用は抗ウイルス薬以外の内服薬、治療効果判定のための追加検査費用なども含めて考えますと3か月間でおよそ15~20万円くらいになります。
「投薬により体調が回復してきていますので追加の検査を省略しましょうか」あるいは「一部の検査を省略しましょうか」ということでよろしければもう少し費用を節約することが可能です。12~15万円くらいの範囲に収まるかと思います。(できれば追加の検査は受けていただいたほうが良いのですが・・)
治療を希望される方はまずはお電話でご相談ください。
注意事項
①モルヌピラビルのジェネリック薬品を使用します。
②現在いくつかの理由でモルヌピラビルの使用については否定的な意見があり
ます。
③モルヌピラビルは内服薬になりますので食欲が完全になくなってしまった猫
ちゃんには使用が難しいです。
④モルヌピラビルの在庫は1~2匹分となり常に確保できているわけではあり
ません。
⑤今後モルヌピラビルの取り扱いを中止することもあります。
次週は実際にモルヌピラビルを使用した猫ちゃんについてお話をします。