
当院ではワンちゃんも猫ちゃんも年齢にかかわらず年1~2回の健康診断をお勧めしています。
健康診断の検査内容としては先ずは血液検査を皆さん思い浮かべられるのではないでしょうか。
血液検査は健康診断では必ず受けていただきたい検査ではあるのですが100の病気があるとしてその中の30くらいの病気しか検出してくれないと言われています。
例えば癌です。
人間の場合、腫瘍マーカーを血液検査でとらえることで癌の検出につなげることが可能ですがワンちゃんや猫ちゃんの場合は基本的には画像診断が必要となります。
※ただし最近ワンちゃんについては腫瘍マーカーの測定が実施可能になり癌の早期発見に利用できるようになってきました。
画像診断には麻酔なしで行えるレントゲン検査、エコー検査とワンちゃん猫ちゃんでは基本麻酔が必要となる内視鏡検査、CT検査、MRI検査などがあります。
当院ではレントゲン検査、エコー検査が実施可能です。
さらなる画像検査が必要な場合は高度医療の提供が可能な二次病院を紹介させて頂いております。
上の画像はある猫ちゃんの健康診断時の胸部レントゲン検査で心蔵の拡大と肺に影が見つかりました。
同時に実施している血液検査には異常は認められませんでした。
画像に説明を入れてみます。

心臓の拡大に関しては院内のエコー検査で肥大型心筋症との診断をすることできました。
一方肺の影に関してはそこに異常があるということはレントゲン検査でわかるのですがそれが炎症性の疾患であるのか腫瘍性の疾患であるのかなどの区別はできません。
確定診断にはCT検査、気管支内視鏡検査、気管支洗浄検査、病理組織検査などの検査を組み合わせて行う必要がありますので二次病院を紹介させていただきました。
そこで呼吸器科を備えている二次病院を受診していただきました。

(二次病院でのCT検査画像です。青いラインで囲った部位がレントゲン画像の
陰に相当する箇所です)
いくつかの検査から「腫瘍の可能性が高い」との判断となり摘出手術が実施されました。
病理組織検査の結果、肺の影は「肺腺癌」との診断でした。
レントゲン検査を加えて頂いたことが癌の発見につながりました。
※癌の摘出手術後は引き続き抗がん剤療法がおこなわれ非常に良い経過だったのですが、心臓病の急な発作がおこり残念ながら天国に旅立ってしまいました。